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高校受験に失敗したのでVtuberで才能を発揮します!  作者: 楪桔梗
第十八章 ひふみよ感謝祭 一日目

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開場とドーム外のコスプレイヤー


午前9時になりたくさんのお客さんが一気にホール内に入り込んでくる。

最初の1時間はイベントがないお客さんにとっては物販購入やコスプレイヤー撮影の時間。

サークル側にとってはブースで物品販売の時間。


有名なサークルにはそこにいるだけでたくさんのお客さんが押し寄せてくる。


それは【1234+0】も例外ではないわけで……。


「いらっしゃいませ。お客様、押さずに2列になってお並びください」

「あ、あの、握手してもらってもいいですか!」

「すみません。今回僕の握手は景品になっていますので、最後までイベントに参加して抽選会でぜひ当ててくださいね」

「は、はい!」


既に【1234+0】のブースの前には行列ができていた。

それこそ裏にいたイベントスタッフさんを何名か呼び出してしまうほどに。


開場してまだ10分もたっていないのに。


10時からイベントがあるものの、あまりの多さに司会進行のある獅喰蓮さま、審査委員長の紅葉さま、審査委員の僕と楓さまもぎりぎりまでブースを手伝うことに。


「いらっしゃいませ」

「あ、あの! 3番のコスプレ衣装が欲しいです」

「3番は8万2500円になります」

「9万円からでお願いします!」

「はい。7500円のお釣りになります。今から包みますので少々お待ちくださいませ。モミジン! コスプレ衣装売れた!」

「はーい! 何番?」

「3番!」

「了解! お客様、3番の衣装が売り切れましたのでご了承ください!」


最後尾で列の案内をしていた紅葉さまはスタッフさんに【最後尾】と紙の貼られたプラカードを持たせ、ブースに戻りながら売り切れの案内をする。


「すみません。同人誌各種5冊いいですか?」

「あ、すみません。同人誌はおひとり様各種3冊までとなっていますのでご了承ください」

「あ、分かりました。それじゃあ3冊ずつお願いします」

「分かりましたー! 9冊合計で5940円になります! お支払いは隣にいるシグレンが承っていますのでそちらでお願いします! ギャイ! 同人9!」

「了解」


現在ブースはギャイ先生、楓さま、獅喰蓮さまの3人で回している状態。


コミケでもこの3名で回しているみたいで対応や会計などが入おかげでなんとか行列をさばいている。


それでも人は減るどころか少しずつ増えて行っている。


「あのー、イベントステージって何時からですか?」

「10時からになります」

「すみません! 写真を一緒に撮ってもいいですか!?」

「ここは撮影スペースではないのでご遠慮ください」

「そ、そうですよね……」

「ですが、10時からあるイベントでは撮影オッケーですのでぜひ見に来てください」

「は、はい! 絶対に見に行きます!」

「すみませーん。これ何分待ちですか?」

「えーっと、おそらく60分くらいは待つかと思います」

「分かりました。ありがとうございます」


列の整理をするというのも楽なものではなく、途中道を聞かれたり撮影、握手を求められたり、待ち時間を尋ねられることもありなかなかに大変。


「ヤマト様! あと20分で移動なのでそれまで頑張ってください!」

「分かりました! あ、紅葉さま、僕時計持ってないので時間になったら教えてくれませんか?」

「喜んで!!」


後20分。

短いようで長い時間に感じてしまう。


集合時間になったらスタッフさんたちが代わってくれるとのこと。


それまで頑張らないと!


「すみませーん!」

「はい、今行きます!」




9時35分


コスプレ大会開始25分前。

既にステージ裏の会場外にはたくさんのコスプレイヤーが待機していた。


「ヤマトさん。こちらスコアシートになりますので、5点評価でお願いします」

「ありがとうございます」


スコアシートの評価は【クオリティ】【なりきり】【観客の反応】の3つ。


最初の2つは分かるけど最後の【観客の反応】はレイヤーだけではなく観客の方も見ないといけないので少し難しい。


今回のコスプレイベントはモデルが衣装を見せるときと同じような形式らしく、少し違うのは、モデルは衣装を魅せるために堂々と歩くけど、このイベントではコスプレキャラを演じるためにキャラになり切って歩かないといけない。


つまりそのキャラが内気のキャラならおどおどとしながら、コミュ障ボッチなら緊張のあまり魂を抜かれたような表情で歩かないといけない。


「イベントに参加される皆さん、こちらに注目お願いします!」


スタッフさんの一声で僕たちの方に注目が集まる。

上から見ただけだけど、多分50人くらいいると思う。


「イベントの詳細について軽く説明します! 今回のイベントは点数式でポイントが入ります! 内容は【クオリティ】【なりきり】【観客の反応】です。最高得点を目指して頑張ってください!」

「すみません。質問いいですか?」

「はい、23番さん」

「観客と言いましたが、既にステージ前の席はすべて埋まっており2階席までお客さんがいたのですが、そこまで含まれますか?」

「……紅葉さん、どうしますか?」

「含みます。今回のコスプレイベントは見てくださる皆様に向けてのイベントですので」

「とのことです」

「分かりました」


しれっと僕たちの負担が増えた気がする。

僕と反対側に立っている楓さまは嫌そうな顔で紅葉さまを見ている。


「他に質問はありませんか?」

『……』

「ないようですね。次に商品です。今回は5位まで商品がありますので皆様、入賞目指して頑張ってください! それでは審査員の3名です」

「はい。【1234+0】副リーダー音声担当兼声優の【1234+0】の【3】三条ヶ原楓です。私の持ち点は各項目3点ですので最高合計点は9点になります。皆さん、この点数を目指して頑張ってください」

「【1234+0】アシスタント兼Vtuberでありあなたの執事【1234+0】の【+0】神無月ヤマトです。今回、僕は各項目で5点持たせてもらいますので、合計得点は……」

「15です」

「15点です。今回、ご主人様のために心を鬼にして点数をつけさせてもらいますので、僕の心を揺らすクオリティ、なりきり、観客の反応を楽しみに待ってます。あと、今回は僕が最高得点を出した人には執事としてご主人様のお願いを1つだけ聞きますので頑張ってください」

『おおおおおぉぉぉぉぉ!!』


これはパンフレットに書いていなかったことなので、参加するコスプレイヤーさんたちは大いに盛り上がってくれた。


ただ、隣にいる紅葉さまは何か言いたげな表情で僕の方を見てくる。


「紅葉さま、最後のしめを期待してますよ」

「任せてください! オホンッ。今回審査委員長を務めさせていただきます【1234+0】コスプレ担当兼ヤマト様親衛隊000002の【1234+0】の【2】二又紅葉です。今回の私の持ち点は10点です。私たち3人の合計は54点になりますので満点目指して頑張ってください。後、親衛隊の人はイベントが終わった後に会議を行いますのでイベント終了後、この場でお待ちください」


会議って何をする気なんだろう。


この会議が僕関連であるということはなんとなくわかるけど、何をする気なのか気になる。


「えー、もうそろそろ時間ですね。紅葉さん、掛け声お願いしてもいいですか?」

「分かりました。みんな! 準備はいいか!」

『おおおおおぉぉぉぉぉ!!!』

「お前たちのコスプレは最高か!!?」

『もちろんだ!!!!』

「お前たちは何者だ!」

『コスプレイヤー!』

「何を目指す!!」

『楽しませる!』

「誰を!?」

『会場にいる全員を!』

「そうだ! お前ら、その思い、気持ちを胸に会場にいる客にサークル、スタッフ全員に私たちの思いを魅せつけてやるぞ!!!」

『おおおおおぉぉぉぉぉ!!!』


大きな声がこの広いドームの外に響き渡る。

それほどに皆の意気込みがうかがえる。


「紅葉さま気合入ってますね」

「まぁね。紅葉はコスプレしてないときは基本内気なんだけど、コスプレすると人格が少し変わるから」

「え……」

「意外でしょ?」

「は、はい……」


僕が意外に思ったのは人格が変わるということよりも紅葉さまが内気だということ。


内気って気が弱い人のことを言うはずだけど、そんな姿は今まで一度も見たことがない。

内気になった紅葉さまってどんな感じなんだろう……。


「紅葉さん、ヤマトさん、楓さんイベントが始まりますのでステージ裏までお願いします」

「はい」


ドームの中に入り、ステージ裏で出番が来るまで待機する。

いよいよコスプレイベントが始まる。



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