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高校受験に失敗したのでVtuberで才能を発揮します!  作者: 楪桔梗
第十七章 『1234』主催イベント! 準備の1週間

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メンバーシップ


作業を始めてから半日が立ち、時間は18時を回った。

けど8月ということもあり外はまだ明るい。


あの後楓さんは10時に起きて、メンバーシップの設定が終わった僕と一緒にギャイ先生の同人誌制作の手伝いをした。


元々作業が残っていたのはギャイ先生の同人誌制作など、紅葉さんの衣装づくり、獅喰蓮さんのまとめ作業くらいで、僕の作業は台本を覚えることと衣装制作のための採寸のみ。

楓さんに至ってはしないといけない作業はほとんどない。


だから僕と楓さんはイベントに間に合うように他のメンバーのサポートに徹した。


その中でも一番大変そうだったのはギャイ先生の方で、同人誌の方はコミケで出版したもの以外にも2作品作るとのこと。

同人誌制作以外にも抽選会の直筆イラスト3枚、販売用のイラスト2種類。


時間がない中の仕事量に僕と楓さんはギャイ先生メインのサポートをすることに。


結果、同人誌に作品の方は少し余裕をもって終わる目処が立った。


ただ、イラストを含めると1週間以内に終わらせることなんて流石に無理そうなので、明日にでも抽選会の直筆イラストか販売用のイラストの作業を貰おうかと思っている。


「……よし、今日の作業はここまでにしようか。長時間作業してみんなもつかれているだろうし、ヤマトさんの配信もあるからね」

「や、ヤマト様の配信を間近で見られるなんて……!」

「モミジン、間近じゃないよ。ヤマトンの配信部屋は楓の家にある私の作業部屋で、私たちはこのメインリビングで見るからね。そもそも配信を後ろで見るなんて配信者じゃないモミジンにはできないよ」


思いもしない出来事に喜びの表情を浮かべる紅葉さんだったけど、事実を突きつけられ一気に落ち込んでしまう。


メンバーシップのことを伝えたら明るい表情を浮かべるのかもしれないけどこれはまだ秘密事項だから今は伝えられない。


「え、何? ヤマト今日配信すんの? 配信鑑賞用のお菓子残ってないんだけど」

「それならヤマトさんの配信が始まる前に買いに行こうか。行くのは車の運転ができるギャイと楓ちゃんの2人でいい?」

「了解」

「問題なし!」

「よし、そうと決まれば早くお風呂とご飯を済ませちゃおうか。ヤマトさん。先にお風呂に入って来てもいいよ」

「ではお言葉に甘えて」

「ヤマトさんがお風呂に入っている間は私の監視下の元紅葉ちゃんは衣装づくりね」

「な、なんで私だけ!?」

「だって、そうしないと覗く気満々でしょ?」

「しょっ! しょんにゃ事にゃいでしゅ……」


明らかに嘘をつく時の声になっている。


さすがの僕でも覗かれるのは恥ずかしいので、獅喰蓮さんが監視してくれるのはありがたい。


「そう。まぁどっちにしろ、ギャイちゃんの方がぎりぎりになりそうだから紅葉ちゃんは早く衣装づくりを終わらせて、そっちを手伝ってね」

「……はい」

「じゃあ、私とモミジンは買い出しに行ってくるね」


今日の作業は(紅葉さん以外)これにて終了した。




時刻は19時50分。


あの後お風呂に入った僕だったけど、風呂場もカラクリ式になっていて体を洗い湯船につかるまで30分もかかってしまい、流石にお風呂までカラクリなのは少し引いた。


風呂から上がると、すでに楓さんとギャイ先生は買い出しを終えて夕ご飯の準備に取り組んでいて、僕は紅葉さんが元気になるように近くで見守り声をかけて時間をつぶした。


夕ご飯ができる直前で紅葉さんは衣装づくりを終わらせ、僕はご褒美のなでなでをさせられた。


少し恥ずかしかったけど、これでギャイ先生の負担が減ると考えたら安いものだと思えた。


そして配信開始前。

他人の家で配信するのは、思い返す限りだとゴールデンウィークの時のレベッカさん以来。


ほんの少しだけいつもと違う環境に緊張している気がする。


だけど、多分緊張の原因はそれだけじゃなく、メンバーシップ開設でうまくいくかの緊張もある。


なんだか、こういう新鮮な気持ちって初配信や収益化の時を思い出す。

と言っても、初配信から収益化までの期間はそこまで開いてないから、収益化の時よりはかなり緊張してるけどね。


でも多分大丈夫。

いつも通りにやろう!


時間を確認すると、時間は既に19時58分。


『配信開始』のボタンを押し、オープニングの音楽が流れ始めた。



***


『お帰りなさいませ、ご主人様。あなたの執事、神無月ヤマトです。今日は僕の配信に来てくれてありがとうございます』



待ってました!!

ただいまー!

俺のヤマト様!

違う、私のヤマト様よ!

いいや、ウチのや!

違う、みんなのヤマトよ!

そうだ!



『今日の配信は重大発表が2つあります。是非最後まで聞いていってください』



え、何々?

めっちゃ気になる!

2つもあるのか……。

この雰囲気なら『引退』はないよね。

おい、その言葉出すのは止めろ!



『今コメント欄にチラッと見えましたけど、『引退』はないので安心してください。あと、内容は2つとも明るいものなのでドキドキしながら見てくださいね』



おお!!

それを聞けて安心した!

明るい内容、助かる



『それでは1つ目から行きますね。1つ目はこの度、神無月ヤマトチャンネルにてメンバーシップを開設することが決定しました!』



きちゃぁぁぁぁぁ!!

ついに来たか!

待ってました!

いつ開設するの!?



『ちょっと待ってくださいね。えーっと、メンバー申請の方を朝一にさせてもらい、今日の夕方に申請が通りました。1日以上かかると知ったときは明日配信しようかと思ったんですが、今日のうちに通ってしまったので今日配信で報告しました。メンバーの開設は今からです! 先ほど『有効』というボタンを押しましたので、すでにメンバーに入れると思います』


今日あった出来事のメモを読みながら、メンバーシップ『有効』というボタンを押したことを報告すると、一瞬にしてコメント欄にたくさんの緑バーが流れてきた。


メンバーシップの名前は『特級ご主人様』


最初は普通のご主人様と特級ご主人様で分けてしまうのに葛藤を覚えたけれど、お金を払ってメンバーになってくれると思った瞬間、アイドルやプロ野球のファンクラブでもお金で差があることを思い出し、すぐに葛藤は消え去った。


僕のメンバーシップのプランは490円から。


数年前までは18歳以上でないと申請できなかったらしいけど、今では収益化されていれば申請できるようになっていたので、ものすごく助かった。


『緑色のバーがなかなか止まりませんが、メンバーシップの特典について説明したいと思います』


ギャイ先生が作ってくれていた『メンバーシップの特典について』という資料を画面に映す。


『まず、僕のメンバーに入ると、僕のチャンネルだけのスタンプとバッチが手に入ります。こちらのスタンプとバッチ、本来はカナママが作る予定でしたが、諸事情によりなんと、ギャイ先生に作成していただきました!』



マジでッ!?

プロの漫画家さんじゃん!

流石ヤマトというしかないな。

カナママ、妊娠おめでとうございます!

で、なんでバッチは羊なの?



『あ、今コメントにもありました。なんでバッチが羊なのか、理由は執事と羊の音がかなり似ているからですね。ただ、しっかりと僕の色も残されているのが嬉しいです。あと可愛い』


僕のバッチは確かに羊なんだけど、毛の色は真っ黒で右目が髪の毛で隠れている。羊なのに。

あと、顔の下には赤色のネクタイがつけられてと、かなり可愛い。


もしグッズに出すことになったら、この羊もぬいぐるみとして販売したい!


『スタンプに関してはこのようになってます』


資料をめくり、スタンプ紹介に移る。

今回のスタンプは文字が7個で絵が5個の計12個。

絵の中にはもちろん羊執事の姿も。



可愛い!

最高!

羊配信に出て来てくれないかな?


ヤマト信者

¥10,000

メンバーシップってこれでいい?



『あー、それはメンバーじゃなくてスパチャですよ、ご主人様』


間違える人がいるとはネットで聞いていたけど、まさか本当に間違えるなんて……。



¥2,000

違う。これだよ!


¥500

よく見ろ、この色だろ


¥500

この色か!



『み、皆様!? それはスパチャでメンバーじゃないですよ!』


注意喚起するもスパチャの嵐は止まらない。

これ、どういう風に収拾をつけるべきなんだろう……。


さすがの僕でもこれが悪ふざけって言うのは分かっているけど、このままだと先に進むことができない。


あんまりこういうことをしたくなかったけど、仕方ない。


『……皆様? 収益化直前の時に交わした僕との約束忘れましたか? スパチャを投げるのはいいけど、自分の生活に支障がない程度にしてくださいって言いましたよね? まさか、僕との約束を破る、なんてこと、ありませんよねぇ?』



……

圧つよ!

あ、スパチャ止んでメンバーシップのバーが増えてきた

ごめんなさい、ごめんんさい

新たなヤマトの面を見てしまった……



少し強く言い過ぎたかもしれないけど、これで落ち着いてくれたなら問題なし!


『それじゃあメンバーシップ特典の続きいきますので、切り替えていきましょう!』



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― 新着の感想 ―
[一言] 重大発表はいい話 お知らせは休止などのちょっと不穏な話 大切なお知らせは無期休止や引退 というイメージがありますね~
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