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高校受験に失敗したのでVtuberで才能を発揮します!  作者: 楪桔梗
第十七章 『1234』主催イベント! 準備の1週間

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二又紅葉



カラクリハウス。


この言葉を聞くとどうしても心が躍ってしまう。


たまにバラエティー番組でカラクリハウスを紹介されているのを見て、「面白い」「行ってみたい」と思うことはあったけど、「住んでみたい」と思った事だけはなかった。


だって、カラクリハウスを作って住むなんて全然普通じゃないもん。


でも実際にカラクリハウスに住んでいるって言うのを聞くと、どうしても思ってしまう。


「住んでみたい!!」


絶対に楽しい!

最初はいろいろと苦労するかもしれないけど、スイッチの場所とか覚えれば問題ない!


「えー。絶対に止めた方がいいよ」

「ほう。ヤマトはこの家の魅力分かってるね」

「はい! この心をくすぐられる様な仕掛け、地下があるという家の構造、絶対に楽しいです!」

「だよね! でも、ギャイもシグレンさんも紅葉もこの素晴らしさに気づいてくれないんだよ……」

「分かるわけないじゃん」


え、勿体ない!

せっかく遊び心をくすぐられる家なのに。


「私たちが初めてこの家に来たとき忘れたの? 楓が寝ちゃって帰ろうとしたらどうすれば家を出られるのか全くの謎。結局、そこにある廊下で寝ちゃったし」


ギャイ先生の言っていることは分かる。

仕掛けの場所がわからない状態で取り残されたら、絶対に外に出られる気がしない。


「あー、あったね。起こしてくれればよかったのに」

「楓の寝起き最悪じゃん。今に始まったことじゃないけど。まぁ、その時は楓の奢りで焼き肉食べたから今更とやかく言うつもりはないけど」

「とやかく言ってない?」

「ヤマトンも取り残されたら何でもねだっていいからね。私たちが許可する」

「は、はぁ……」


い、一応気を付けておこう。


でももし取り残されたら……サーモンでも奢ってもらおうかな。


頭の中で大量のサーモンを思い浮かべて気になったことを思い出した。

この部屋にはキッチンがない。

まぁ、それに関してはカラクリハウスだからどこかに隠し通路があると思うんだけど、それ以上にこの部屋に思い浮かべた違和感。


この部屋、真ん中には机が置かれていてリビングかと思ったけど、それにしては物が少なすぎる。

棚や仕事道具、ソファが置かれていないのは分かるけど、声優である楓さんの家なのにこの部屋にはテレビすら置かれていない。


なんで?


「そういえばシグレンとモミジンは?」

「2人とも今休憩中。多分上にいると思う」

「なるほど。じゃあ私たちも上に行こうか。モミジンもヤマトンに早く会いたいだろうし」

「だね」


二又紅葉さん。

『1234』サークルで僕が唯一であったことのない人。


知っている情報だと、超有名コスプレイヤーでヤマト様親衛隊000002番とかなり初期から僕のファンの人とだけ聞いてるけど、どんな人なんだろう。


「ヤマト、そこの机の前に座って」

「こ、ここですか?」

「あー、もうちょい前……、そう、そこらへん」


上に向かうはずなのにどうして机の前に座る必要があるんだろう。

もしかして、さっきまで僕がいた場所には階段が出現するとか!?


「私も座ってと、それじゃあボタン押すね」


楓さんは机の上にあった赤と青のボタンのうち、青色のボタンを押した。


その瞬間、『ブー、ブー』という警報音が鳴り響く。

それもかなり大きな音で。


「あ、あの! これっていったい……!?」

「ああ、これ? これは上にいる人に教えてるの。『今から上に行くよ』って」

「え、どうやって。……っ!?」


警報音が鳴りやむと、突然床が揺れだす。

何事かと周りを見渡してみると、僕の目の前にある机を囲む一定範囲が上に向かって上がり始めていた。


「顔を外に出さない様にね。首挟んで危ないから」

「は、はい……」


注意されていなければ、顔を外に出してどうなっていたか見ていたかもしれない。


床は徐々に天井へと吸い込まれていく。


このままだと天井に当たる! と思った瞬間、天井が開きその奥から明かりが差し込んできた。


「いつ見てもこの仕組みには驚かされる」

「でしょっ! これがこの家にあるカラクリの中でも一番お金がかかったカラクリなんだよ!」

「お金を使うところ間違ってると思うんだけど……」

「いいじゃん! 私が稼いだお金なんだから」

「まぁ、そうだね」


本当に、この家を建てるだけでいったいどれだけのお金がかかってるんだろう……。


多分、というよりも絶対に1000万は軽く超えてると思う。

だとしたら、楓さんっていったい……。


「さぁ、着いた着いた。ここが家のメインリビング!」

「……凄い」


先ほどまでいたリビングとは違い、今僕がいるメインリビングにはかなり大きめなテレビが壁に掛けられており、ネットなどでよく見L字型ソファにたくさんの本棚。


そして、この部屋にはしっかりとドアが取り付けられたいた。


「この部屋にはちゃんとドアがあるんですね」

「あ、これドアじゃないよ」

「え?」

「……」


楓さんの言葉に疑問を浮かべていると、実際にギャイ先生がドアの取っ手を下ろす。

その時、そのドアの横にある壁が下の方へと埋もれていった。


「あれは横の壁をしまうための取っ手なんだよ。だからあのドアは装飾品、かな」

「早めに知れてよかったです。危うく騙されるところでした……」

「……あ、ヤマトの騙されるところ見てみたかったわ。惜しいことした~」


本当に、先に聞いといてよかった!


「……」


やっぱり僕の間違いじゃない。

ソファの後ろに誰かいる。


「あの、さっきから僕のことを見ている人って……」

「え? あっ! さっきから姿が見えないと思ったら、そんなところに隠れてないで出てくればいいのに。ヤマト、せっかくだから呼んであげて」

「っ!?」

「え、間違ってたら恥ずかしいんですけど」

「大丈夫。間違ってないから」

「分かりました。……二又、さん?」

「……」


あ、あれ?

出てこない……。


「ヤマト、名前名前!」

「あ、はい。は、初めまして、紅葉さん」

「は、ひゃい! 二又紅葉です、ヤマト様!」


ソファの後ろから出てきたのは三つ編みメガネの女子。

アニメとかだと、基本あまり目立たないけど、実はメインヒロインで眼鏡を取り、髪を下ろすとめっちゃ美人って感じでいそう。


ただ、実際に眼鏡をはずさなくても、髪を下ろさなくても今の姿でもめっちゃ美人なのに変わりはない。


……身長も僕よりもでかい。


「や、ヤマト様親衛隊000002の二又紅葉といいます! 先日のコミケではヤマト様のコスプレで参加させていただきました! そ、その時の写真をぜひお納めください!」

「え、あ、ありがとう、ございます……」


渡された写真は全部で三枚。


どの写真もしっかりポーズを決めていて、ヤマトをしっかり再現している。

何よりもいいのが、一枚一枚にしっかりテーマがあること。


1枚目の写真は普通に執事姿で姿勢よくたっている。

2枚目は少し見下ろす形ではあるが、写真からでもわかるかっこよさがあり、男の子ヤマトを表現しているのが分かる。

3枚目は見上げる形で撮られていて、2枚目が男の子ならこれは女の子ヤマトが表現されている。


「お、すげぇ! これ1枚いくらなんだっけ?」

「1枚目は2500円で、2,3枚目は2000円だよ」

「え、値段発生するんですか!?」

「は、はい……。い、一応ヤマト様との取り分はこちらで勝手に決めさせてもらって、ヤマト様が8で私が2の予定なんですけど。……あ、もしかして足りませんか!? でしたらヤマト様が9で——」

「いやいや、そうじゃないですよ。これ、お金かかってるのに売れるんですか?」


コミケでは写真撮影ができるから写真なんていらないはず。

それなのに、写真で商売して売れるの?


「あ、えーっと、……コミケの方で品切れになるほど、売れまして……」

「え、マジですか?」

「マジマジ。紅葉の写真は結構人気だけど完売することなんてないのに、今回のコミケでは開始2時間で完売したんだよな。予定よりも100枚ずつ多く持ってきたのに」


ヤバい。

かなりの大金で頭の中がこんがらがってきた……。


「もしダメでしたら、今後の写真販売は止めますけど……」

「あ、いえ。別にダメじゃないですよ。むしろ僕の方からお願いしたいくらいです!」

「ありがとうございます!」


とりあえずお金のことを考えるのは止めよう。

絶対に時間がかかる。


「あ、ヤマトさん。お久しぶりです」

「あ、獅喰蓮さん! お久しぶりです」

「いつも嵐子がお世話になってます」

「いえ、僕の方も嵐子さんにはお世話になってますので」


獅喰蓮さんも来たことで、この場に『1234』の全員がそろったことになる。

ネットにアップされている写真でしか見たことがないから、少し感動。


今日から僕はこの人たちと一緒に作業するんだ!


「よし、それじゃあ今日から1週間後のイベントまで、みんなで頑張ろう!」




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