残りのメンバー
もうすぐで撮影が開始する。
だというのに、未だに全員それっていない。
今控室にいるのは、僕、リオン様、ミネルバ様、ハリンさん、めぐる様、キラリ様、ミラン様、ゾーナ様、リューティー様、フータ様、ドラゴン様、光莉さま、ラビー様にはるか様の14人。
司会のパポピ様と福良萩さまは控室には入らずにそのままスタジオインするとのことで、2人も合わせると16人。
今日の出演者だから、あと4人足りない。
「フータくん。後の4人について何か連絡着てない?」
「ああ、さっき連絡が来たよ。何でも夜中3時まで宴会していたみたいで今近くにいるんだってさ。どうしようか?」
「とりあえず、打ち上げの時に説教は確定だね」
未だに来ない4人のメンバーの処遇を考える初期メンバーのお2人。
流石はこの場にいる誰よりも先輩なことだけある。
「ヤマト、後来てないのってどこのユニットだっけ?」
「えーっと、確か『ショタコン同盟』が2人、『イケおじクラブ』が1人、『アダルティック』が1人だったと思います。……ひゃっ!?」
未だにそろっていないユニットを見ていると、誰かが僕の背中にのしかかってきた。
感触で分かるのは、今日体験したのと同じだということ。
「うちのメンバーがごめんね~。お詫びと言ったらなんだけど、打ち上げの後にお姉さんがいいことしてあげる~」
「ら、ラビー様! どいてください!」
「え~。少年は私に抱き着かれるの嫌なの~?」
「い、嫌じゃないです! 嫌じゃないんですけど……」
これは女性であるラビー様に言うのは大変失礼かもしれないので言いよどんでしまう。
来夢に言ってしまえば確実に説教ものだから。
「ですけど、何?」
背中かから感じるのは「さっさと言え」とでも言いたげな圧。
それなら僕は言うしかない!
「ラビー様、思ったよりも重いんですよ!」
「……」
「ぶふっ!?」
「重い」と言った瞬間圧が増し、誰かが笑ったせいでラビー様はさらに体重をかけてきた。
「私が重いのは少年が私の誘いに乗ってくれないからだよ~。少年が少しでもはいって言えば私は軽くなるよ~。それでどうする? この後私の家に来て楽しいことする?」
こ、これはどう答えればいいんだろう。
ここで断ればずーっと重いままかもしれない。
そうなったら僕がつぶれる!
逆に「はい」と答えてしまったら、何をされるか分かったものじゃない。
お持ち帰りされて、僕の貞操の危機!
いや、そっちの方向に考えちゃだめだ、僕!
楽しいことって言うのはもしかしたらゲームをする、と言うことかもしれない。
いや、きっとそうだ!
そうでないと、僕に手を出してしまった場合、ラビー様未成年とエッチをした罪で捕まっちゃうもんね!
「ラビーさん。それ以上ヤマト様に迷惑をかけないでくれない?」
僕がどうこたえようか悩んでいると、キラリ様が助け舟を出してくれた。
叶うことならもう少し早く来てほしかったけどありがとうございます!
「キラリ先輩がそういうなら離しますね~。怒らせたら怖いので」
「分かってくれてよかったよ。じゃないと何しでかすかわからなかったから。ヤマト様、ご無事ですか?」
「あ、はい。ありがとうございます」
ラビー様が離れ、キラリ様は僕の背中の誇りを払ってくれている。
傍から見ると、僕とキラリ様ってどういう風に見えているんだろ。
関係性で言えば今日初めて会った中で、キラリ様は僕の親衛隊ってだけだけど、今の行動一つ一つが僕の家臣のような動きになっている気がする。
こういう時どう反応すればいいかわからない。
「キラリ先輩、少し過保護過ぎでは? ヤマトさんが困ってますよ」
「ミランさん。ごろろっくのメンバーが迷惑をかけてしまったんだから、これくらい当然の行為だよ。それに、あちらにいるお2人に任せてしまったら、それこそヤマト様に疲労を与えるかもしれないからね」
あちらの2人、と言うのは未だに言い争っているゾーナ様とリューティー様のお2人。
今はリューティー様の陣営にハリンさんも混ざっていた。
「それにね、私はヤマト様親衛隊なんだよ。ヤマト様の身の回りのお世話をするのは当然のこと」
あのー、さすがのボクでもそこまでは許してませんよ、と言える雰囲気ではなかったので口には出さずに心の中で思うことにした。
「キラリ先輩がそういうなら、……ヤマトさん。リオンだけではなくごろろっくのメンバーが何かしでかしたら、私に言ってくださいね。しっかりと裁きますので」
「よろしくお願いします!」
今日1、気持ちのこもった言葉が出た気がした。
先ほどまでアビー様を背負っていたのもあって足がふらついてしまったので、キラリ様の力を借りてなんと立ち上がる。
ようやく足腰が安定してきたその時控室の扉が開き雰囲気の暗い4人の男性が入ってきた。
「お、遅くなってすみませ~ん」
「す、すみません……」
「あー、サーセンした!」
「……申し訳ない」
4人組の雰囲気が暗いのは飲み過ぎたせいか、もしくはこの後に待っている説教のせいか……。
多分後者の方だね!
4人顔色はそこまで悪くないから、体調の方はいいと思う。
少なくとも二日酔いではない。
そして、4人組の視線は静かにフータ様とはるか様の方に向いていた。
「4人とも、遅れた理由は後で聞くね。それよりも今日初めて参加する新人さんが二人いるから挨拶!」
「は、はい! えーっと、初めまして。『ショタコン同盟』の楠木ヒタギで~す。好きなものはもちろんショタ! よろしく!」
「あ、『アダルティック』の、イーヴァン・ジェリムって言います。ひ、人見知りなので、うまく話せなかったら、ごめんなさい」
「『ショタコン同盟』の小鳥遊フヨウっす! 基本ショタ好きっすけど、ロリも行けますんでよろしくお願いします!」
「『イケおじクラブ』の天王寺平八郎だ。みんなが楽してからめる問題児担当。よろしくな」
十人十色ということわざがあるけど、ここはまさしくその通りだと思う。
これだけたくさんの人が集まっているのに、かぶったキャラがほとんどいない。
まぁ、ヤバい人は何人かいるけど。
フヨウ様がロリコンでもあると分かったとき、ハリンさん若干引いてたし。
「初めまして。本日は『リトルボーイズ』で参加させていただきます。神無月ヤマトです。よろしくお願いします」
「『黒白』で参加する雨猫ハリンです。えーっと、ロリコンはお断りですが、それ以外の人はよろしくお願いします」
「俺にだけ辛辣すぎないっすか!?」
辛辣ではないし、多分普通の反応だと思います!
それにしても驚いたのはイーヴァン様の方かな。
『アダルティック』っていうから最後の一人も女性かと思っていたけど、出てきたのは高身長の男性。
それも長い前髪であまりわからないけど、髪を巻き上げたら多分イケメンだと思う。
「おい、そろそろ全員揃ったか?」
今度はスタジオ側の扉が開き、そこから顔を出したのは社長さんだった。
「社長。今日はどうしたの? いつもなら撮影現場に来ないのに今日はいるなんて」
「なんだ? フータはボクがいるのが嫌なのか?」
「い、嫌じゃないけど……」
「多分社長がいることが珍しいって思ってるんじゃないか?」
「おお、光莉ちゃん、今日もいい体だな~! 今度鑑賞会でもしようぜ!」
「気が向いたらな」
「約束だからな! それでボクがいる理由だけど、せっかく有名ゲストが来てくれたんだ。社長のボクが参加しないのは礼儀としてどんなことかと思ってな」
「本当は近くで見たいだけなんじゃないんですか?」
「そうともいう! リオンもボクがいてくれると嬉しいだろ?」
「……」
「なんか言えよ!」
社長さんはライバーさんたちと楽しそうに会話をしている。
これだけど、この会社がアットホームで楽しい会社だというのが分かってしまう。
「さて、雑談はこれくらいにして。すでに待機画面には数万人の視聴者が来てくれている。見に来てくれている人に楽しい配信を今日もしていこう! それじゃあ、もうすぐで本番始まるから急いで席に着けよ!」
社長さんの後を追うように、みんなスタジオの中に入っていく。
僕はリオン様、ハリンさんはめぐる様に引っ張られる形でスタジオの中に入った。
クイズ大会の配信シーンですが普通に描くこともできるけれど、キャラが多すぎるがゆえに台本形式にしようか迷っています。
ただ、台本形式が嫌いという読者もいる中で、描いても問題ないのかという心配な自分もいます。
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