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【3巻発売中!】転生後はのんびりと 能力は人並みのふりしてまったり冒険者しようと思います  作者: 弓立歩
アスカと冬と旅立ちの準備

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教義


 午後市の見学を終え、教会に戻ってきた私たちは早速ムルムルから聖霊の申請用紙を受け取る。


「まずはここに申請者名と聖霊様の名前を書くのよ」


「えっと、アスカにアラシェル様っと」


 それから司るものなどを書いていき、本拠地の項目になった。


「本拠地かぁ。アルバでいいの?」


「まあ、今はここぐらいでしか信仰ないんでしょ?ならそうしておきなさい」


「分かった」


「その先が教義よ、別に書いておいた方がいいと思うわ。教本とかはないのよね?」


「そうだね。元々は地方神だからそういうのはないかな?」


「う~ん。これだと申請しても通らないと思うから、最低限信徒に守ってもらいたいことを書いていってもらえる」


「分かった。こっちの紙に書いていくね。まず教義はと……心安らかに楽しくっと。他に思いつくことか~、生き物の命をみだりに奪わない、人や物を大切にする、これ以外だと……」


 大まかだけどこんな感じかな?


「ちょっと見せてもらえる? これなら全く問題ないわね。神像のストックはある?」


「あるけどどうして?」


「聖霊様を選んでもらう時に分かりやすいように、教義と一緒に神像を見せることもあるのよ。預けておくと紹介する時に有利だし、信徒になってくれた人が買いに来ることもあるのよ」


「それじゃあ、何体か預けるね」


 私はマジックバッグからいくつかの神像を取り出してムルムルに渡す。


「それにしても見事な神像ね。見た目はちょっと変わってるけど」


「そうかな?」


「普通、神様の格好ってそこまで違いが出ないから。違うとすれば色ぐらいね。活動地区はどうするの?」


「活動地区? 何それ」


「活動地区を決めておくと、最初は時間がかかるけど対象の地区の神殿や教会で取り扱ってもらえるようになるのよ」


「制限とかはないの?」


「残念ながらあるわ。無料なのは二か所まで。三か所目からは一か所に付き、金貨二枚が年間で必要よ。維持管理費ね。その教義とかを理解した人を置かないといけなくなるから」


「う~ん。なら、アルバだけにしておこうかな?」


「分かったわ。アルバと中央神殿ね。受付があったら私かカレンが出来るだけ出るようにするわ」


「いいの?」


「ええ。説明をするだけなら大本であるシェルレーネ教の人間が行っても問題ないもの。書類上は一つ上だから」


「でも、中央神殿はともかくとして、アルバに来てくれた人にはどうしよう? 私が旅に出ちゃったら来てもらってもどうしようもないし……」


「それなら旅に出る前に一体、頑張って良いのを作ったら? 教会の端ぐらいなら貸し出せると思うから、そこに神像を安置させてもらうの。そうすれば、来た人も満足するんじゃない? 巫女は巡礼の旅に出てますって言ってね」


「出来るならそうさせてもらおうかな。さすがにまだ、ラーナちゃんに巫女をしてもらうわけにはいかないしね」


「まだ、十歳ぐらいだっけ? セティがお披露目になったら一緒に立ってもらえばいいんじゃない? 普段どういう行動をしてるか分かるし、いい練習になるわよ。巫女見習いの時って周りも緩いから」


「なら、今度話しとくね」


「じゃあ、日程が決まったらまた連絡するわね」


「日程?」


「もちろんお披露目の日よ。アラシェル教の本部を置くのにまさかアスカだけってわけには行かないでしょう? 知り合いの商人とかもいれば出てもらった方がいいわよ。広義的にはシェルレーネ教だからちょっとだけど今後、融通も利くし」


「へ~、なら色々声かけとくよ」


 その後はラーナちゃんやセティちゃんの近況を報告し合ったりした。私もたまにのぞいているんだけど、普段の生活とかは見きれていないし、勉強の進み具合は私じゃ分からないからね。


「そろそろご飯の時間ね。行きましょうか!」


「うん」


 夕食を取るためにフィアルさんのお店へ行く。お店に着くと二階のの奥の部屋へと通される。そこはいつもと違って仕切りがあり、部屋は大部屋だ。護衛の人も入り口が一つなので、交代しながら食事を取ってもらえる作りだ。


「それにしてもここの食事は美味しいわね。パンもここで教えてもらって神殿でも食べてるけど、種類も豊富だし」


「そうですね。我々もいただきますが、このようなパンは向こうでは出ませんでした」


 神殿騎士が言うには、エスリンさんは菓子パンを数種類作っているみたいだけど、残念ながら総菜パンはないらしい。

 私としては今まで主食と一緒に出されていたから思いつきやすいかなと思っていたんだけど、あくまでパンは付けるものであって、挟むものって意識が持てないみたいだ。


「まあ、あの子も頑張ってくれてるわよ。ここで修業したっていっても短い期間だしね」


「ねえ、ムルムル。それなら帰る前にうちでパンを買っていってどんなのか言ってみたら?」


「そうね。でも、再現は難しいわよね。この前アスカにあげたスープだって、私たちの中じゃ滅多に食べられないものよ。神殿じゃまずは寄付で貰ったものから使っていくから、野菜が多いしね」


 贅沢な悩みなのよとムルムルは苦笑する。護衛の人たちも新鮮で美味しいんですけどねと同意している。まあ、彼らの身体付きを見るに、かなり訓練しているだろうから、そりゃお肉も欲しいよね。


「私たちもここの料理は好きです。酒場とかの料理はどうも……」


「でも、あんまり肉類は普段食べられないんですよね?」


「ええ、もちろんですよ。ですが、普段から野菜を食べるからでしょうか? 酒場の料理は素材の味より塩がきつく感じられて、ここの料理のように肉の味だったり塩分だけではない味が好きなんですよ」


「なるほど。贅沢な悩みですね」


「全くですよ。こうしてムルムル様の護衛をするようになってからというもの、他の地域に出かけることもあり、神殿にいる者より恵まれているのですがね」


 食事の席ということで話し方も崩してよし! の許可が出たため、私たちは親しげに話す。


「そういえばムルムル。前の護衛の人たちはどうしたの?」


「ああ、彼らね。中央神殿から別の国の神殿に異動になったのよ」


「なんかやっちゃったの?」


「アスカの中で異動って悪いことしたらなるものなの?」


「違うの?」


 左遷かなと思っていたんだけど、どうやら違うらしい。


「当たり前よ。彼らは腕もいいし優秀だったの」


「なら、どうして?」


「前にも言ったことあると思うけど、巫女っていうのは大事な存在だけど、地位はそこまで高くないって言ったことあるわよね?」


「うん。確か……司教の下だっけ?」


「そう。中央神殿には枢機卿もいらっしゃるけれど、巫女がみんないる上に最高の地位にいる人がそこにいたら万が一にも国になっちゃうでしょ? それを防ぐために、教皇様は別の国にいらっしゃるの。彼らはその側付きの人員として異動になったのよ」


「それってすごいことじゃないの!?」


「そうよ。だから栄転も栄転よ。司教でも教皇様に会うのは一生で数えるぐらいだもの。彼らは神殿騎士の中でも名誉ある職に就いているのよ」


「でも、あの人たちムルムルと仲良かったのに寂しくないの?」


「そんなこと言っても仕事だもの。それにどうせ三年だけよ。その重要性から任期も限られているのよ。昔に色々あったりしたみたいでね」


「じゃあ、三年後には戻ってくるんだ」


「どうかしらね。過去に側付きになった人は枢機卿とか大司教になったりしてるからね。そうなったらこっちには来れないわね。権力が集まり過ぎちゃうから」


 本当は枢機卿の人も中央神殿には置きたくないそうだ。巫女が固まっている分、そこには司教で十分という意見が根強いらしい。


「お話が弾んでいるところ申し訳ありません。デザートです」


 そう言ってフィアルさんが出してきてくれたのはシャーベットだ。


「へ~、凍らせたデザートね。本当に珍しいものばかりね。貴方は氷の属性も使えるの?」


「いえ、こちらは魔道具で作っております。ただ、夏に作ることはさすがに難しいのですが……」


「それは残念ね」


「地下室があれば可能ではあるのですが、他にも仕込みがいる物がありまして」


「地下室があれば作れるの? うちの神殿には広い地下室があったわよね?」


「一応ありますが、半分は食料保管庫で残りは倉庫があったかと」


「倉庫ぐらい他へ移せそうよね。これに使ってる魔道具を運び込めないかしら?」


「私が作ったものではありませんので……」


「どこから買ってきたの? これを出せるのなら欲しいわ」


 フィアルさんが困った顔でこちらを見る。あれは私が作ったんだけど、まあ一介の店長としては隠せないよね。私は仕方なく目で了承の合図を送る。


「当店の営業にも関わりますので、巫女様だけであれば……」


「確かにこんな魔道具聞いたことないわね。じゃあ、帰りにこっそり聞くわね」


「ありがとうございます」


「いいえ。この店には以前にも世話になりましたし、こちらが迷惑をかけていますもの。そうだわ! あれを渡しましょう。この町にも正式に支部が置かれるわけだし、ちょうどいいわね」


 そう言ってムルムルは私があげたバッグからステッカーのような物を取り出す。


「こちらは?」


「シェルレーネ教公認証よ。これを店内に張っておけば、シェルレーネ教に認められた店として営業できるわ。これまでのことを考えたら当然ね。先にはなるけど、ここにも支部が出来るから信徒の人たちにも勧めやすくなるわ」


「よ、よろしいのですか!?」


「ええ」


 何だかフィアルさんがすっごく喜んでる。そういえば、フィアルさんも水魔法使いだし、実は信仰してるのかな?


「では、額に入れて飾らせてもらいます」


「そこまでしなくても……」


 いえ、当然です! とテンションも高めだ。身近なところにも熱心な信者さんがいたんだなぁ。まあ、このフェゼル王国の多くの家や商店に神像も置かれてるみたいだし、私があまり注視してこなかっただけかもしれない。

 でも、これでコールドボックスの追加が必要になったな。手間がかかるから魔石だけは向こうで用意してもらおう。



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