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【3巻発売中!】転生後はのんびりと 能力は人並みのふりしてまったり冒険者しようと思います  作者: 弓立歩
アスカと冬と旅立ちの準備

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護衛と旅路


 エヴァーシ村への護衛依頼が即日で受けられないので、代わりに草原にやってきた私達。ゴブリンの香を使って、早速六頭のローグウルフを倒した。


「さて、解体するとするか。肉はどうする?」


「明日出発できるならお土産にできますし、取っておきましょうか?」


「そうだね。毛皮は今回こっちで使うから、先に分けとこう」


 私が警戒役で、反対側をリュートが。解体はノヴァとジャネットさんだ。


「そういやこいつらって魔石落とさないよな」


「まあ、あれは魔物の魔力の結晶だからねぇ。この辺りの魔物で魔力が強いといったらサンダーバードかオークメイジだね。ゴブリンメイジは……落としたことあったかなぁ」


 私はまだ見たことないけど、一応ゴブリンにもメイジがいるらしい。ただ、この辺では見ない上に、魔力も低く弓を持った個体と大して変わらない強さらしい。

 ちなみにオーガ種にはメイジがいないとのこと。まあ、あれだけの肉体があればそれを生かしたくなるのは分かるけどね。


「よっと、アスカこの分も頼む」


「は~い。エアカッター」


 何時ものように穴を掘って魔物の不要な部分を埋めていく。一応、この近くは街道扱いになってるから放置は厳禁なのだ。でも、草原じゃ襲われる率も高いから、こうやって香を焚いても良いことになっている。

 というか奥地で使ったらそれこそ近くにいる魔物が総出でやってきかねないから誰も使えないしね。ただ、死骸を放置すると確実に集まるからそれだけは駄目なのだ。


「そういえば、先にローグウルフを倒しちゃったけど、これだとガンドンが逃げちゃわないかな?」


「あっ!」


 もちろん、草食であるガンドンがゴブリンの匂いに寄ってくることはない。これに加えて、ローグウルフの血の匂いがしたら、すぐに逃げてしまいそうだ。


「どっかの魔物の狩りに割り込むかね」


「僕もそれがいいと思います。この臭いじゃ、絶対逃げられますよ」


「じゃあ、もうちょっと奥に行くか」


「そうだね」


 私たちは受けた依頼のためにもう少し奥に進む。


「さて、南と東どっちに行く?」


 分岐点まで歩いてきた。ここから東は魔物との遭遇が多いルート、南は街道ルートだ。


「気は進みませんけど東に行きましょう。アルナ、念のためバリア張っててね」


《ピィ》


 ここから先はブリンクベアーの目撃も多いので、十分に注意して進む。三十分ほど歩いて辺りを確認する。魔物は……いた!


「やや北側に反応があります」


「サイズは?」


「大きいからガンドンだと思います」


「他の魔物は?」


「いないみたい。このまま戦います?」


「いや、目で見えないんだし、近づくとばれるだろうね。何とか追い詰めたいから分かれたいところだけど……」


 ここで人数を分けてしまうと、他の魔物との戦いに不利だ。せめて襲われないなら別だけど……。


「そうだ! 私が空から追い立てますから、反対方向に待機してください」


「大丈夫かい?」


「この辺りに空を飛ぶ魔物は少ないです。行けると思います」


「気をつけなよ」


「任せてください!」


 私はアルナと一緒に空を飛んで、作戦に備える。みんなは背の高い草を見つけてそこに隠れている。


「アルナもちょっとでいいから魔法で援護してね」


《ピィ》


 あんまり戦わせたくはないけど、ついてきた以上は少しは戦いに慣れないといざという時に逃げられなくなっちゃうからね。


「行くよ! ウィンドカッター」


《ピィ!》


 風の刃を群れに打ち込む。驚いた群れがいくつかの方向に逃げだしたので、その内のジャネットさんたちがいる方に狙いを定める。


「手前だからね」


 私はアルナに指示を出して、自分はファイアウォールを左右に展開する。こうして相手の逃げ道を限定するのだ。


「アルナ、いい感じだよ。そうやって音が大きくなるようにお願い」


 最初はウィンドカッターだったけど、今はウィンドボールで音を立てるようにしている。


「よし! このぐらいでいいかな?」


 私は合図としてウィンドボールを潜んでいるところに投げる。これでみんなが出ると同時に逃げている先で音がしてガンドンが止まってくれるかもしれない。

 ドンという音とともにジャネットさんたちが飛び出す。ガンドンはさらに混乱して二頭がその場に立ち止まった。


「リュート! 魔槍と投擲で援護だ。今回ばかりは当たらなくてもいいからね」


「はい!」


「行くよノヴァ!」


「おう!」


 ジャネットさんは一頭のガンドンに迫ると、剣を構えて一気に跳び上がり、頭に剣を突き刺した。


「うう~ん、ジャネットってば最近また強くなった気がするなぁ」


 空から見物もとい、みんなの戦いを確認しながら呟く。この前も負けちゃったし、しばらくは勝てる気がしない。ジャネットさんの方は片付いたけど、ノヴァの方はまだだ。やはり皮が硬いので急所に決めないと難しい。


「それに今回は皮が目的だからどこを切ってもいいわけじゃないしね」


 敷布団の下に使って、断熱効果を得るためにはできるだけ傷が小さい方がいいからね。


「余ったり、小さい切れ端なんかはリュックに使うから貰おうかな」


 あれから冒険者ショップで売り出したリュックは思ったより早く売れた。戦いのさなかに破れないし、丈夫で長持ちするからと割といい評価みたいだ。

 ただ、冒険者ショップの人には銀貨八枚ぐらいが適正ですって言われて、ちょっとびっくりした。村で銀貨八枚の商品だと売れにくそうだ。もっと簡単な作りの物も用意しないとね。


「お~い、アスカ。終わったぞ~」


「は~い」


 ノヴァの方も片付いたので、下で合流する。うん、皮は結構綺麗だ。


「それじゃ、解体と行くか」


 早速、解体を始める。ただ、大きいのでちょっとアバウトな切り分けになっちゃうけどね。この辺は解体がうまい人がいない、私たちのパーティーの弱点かも。貴重な素材を無駄にしない程度には腕があるけど、綺麗に切り分けられるわけではないのだ。


「ふぅ~、こっちはいいぜ。そっちの方に移るな」


「分かった。ノヴァ、そっちも頼んだよ」


 今回の見張りは私とジャネットさんだ。


「うう~、草原の見張りは緊張しますね~」


「まあ、場所が場所だけにね。でも、肝心の依頼が達成できて良かったよ」


「そうですね……ん?」


 私のセンサーにちょっと引っかかった。おかしいなぁ、別に何かいるわけじゃないけど。


「どうした?」


「いえ、センサーに反応があったんですが……」


「ブリンクベアーかい?」


「多分。北の方角です」


 ジッと北側を見ると、百メートルほど先で景色が歪んで見えた。一瞬、集中力を切らしたみたいだ。


「ノヴァ、リュート、一時中断だ。おいでなすったよ」


「へ?」


「もしかしてブリンクベアーですか?」


「ああ、運がいいのか悪いのかねぇ」


 揺らめいたので位置は大体分かる。私たちは注意深くその場で動きを探る。ブリンクベアーはどうやら私の側面から回り込む気らしい。魔法で音を拾って相手に気づかれないようにアルナをそっと遠くにやる。


「来たっ!」


 ざっとその場から大きく飛びのく。向こうも気付かれたと感じて一気に間合いをつめて、ノヴァを狙って襲いかかる。


《グワァー!》


「おりゃぁー!」


 攻撃の瞬間に姿が見え、それに合わせてノヴァは二刀流で攻撃を防ぐ。そしてそのまま反動を利用して後ろに飛びのくと、すかさずその横にいるリュートが槍を繰り出す。


「やった!」


 素早く槍を引き抜くと、喉元から血が流れる。しかし、最後の力を振り絞ってブリンクベアーが突進する。


「うわっ!」


「ふっ!」


 それを近くにつめていたジャネットさんが頭を落として止めた。


「ふぅ、久し振りで安心したんじゃないかいリュート?」


「すみません。喉元から頭までいったと思ったんですが……」


「それでも何とか反撃に転じる魔物もいるんだよ。オーガとかね」


「気を付けます。ありがとうございました」


「まあ、こうして毛皮も手に入ったし、良しとするか」


 私たちは解体作業を再開する。もちろん、ブリンクベアーも対象だ。皮と爪しか取れないんだけどね。せっかく、大きい体なのにこの臭みでは食べる気にならない。

 ここは街道でもないし、埋めずに放置しておこう。草原は縄張りも重なってるし、相当深く掘らないと掘り返されちゃうしね。最初のところは魔物が少ないから埋めたけど、掘り起こされるとかえってよくないし。


「こいつは土産だな」


 顔をしかめながらもブリンクベアーの内臓を大事にしまうジャネットさん。ジェーンさんに渡すんだろうけど、異臭騒ぎにならないといいな。


「それじゃ、そろそろ帰るとするかね。明日に差し支えても悪いし」


「そうだな。これで飯代は稼げたしな」


「ノヴァったらこれだけあれば相当豪華なものが食べられるよ」


「そっか。なら、町で土産でも買うかな」


 ノヴァもいいお兄さんで、レディトへ行くたびに孤児院の子たちに何かお土産を買っている。ほとんどがみんなで分けられる食糧だけどね。

 不作の年にあんまり食べられなかった思い出が強いみたいで、リュートも保存食なんかを買っていったりしてる。


「そういや、あんたたち武器の手入れはどうだい?」


「ん? 二か月ごとに見てもらってる」


「僕も同じぐらいですね」


「私はたまにゲインさんの店に行ったら見てもらってます」


「う~ん、ちょっと期間が長いかもね。街に帰って時間があったら行ってみるかい?」


「お願いします。レディトだと行きつけのところがなくて……」


「まあ、武器にもよるし手入れも人に寄りけりだからね。たまには他で見てもらうといいよ」


 というわけで、レディトへ戻ったらみんなで武器の点検に行くことになった。そういえば私って、アルバ以外の武器屋に行ったことなかったかも。少なくとも自分の物を見に行ったことはない。ちょっとわくわくしながらの帰路だった。



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