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【3巻発売中!】転生後はのんびりと 能力は人並みのふりしてまったり冒険者しようと思います  作者: 弓立歩
アスカと冬と旅立ちの準備

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草原とアイテム


「ふわぁ~」


 レディトで一泊した朝。今日は早速目的となる毛皮を入手するため早めに起きた。


「さて、アルナはと……」


 ちらっと小窓を開いてみると、まだぐっすり眠っていた。


「まあ、普段は好きな時に起きてるし、しょうがないか」


 大きくなってきたとはいえ、まだ睡眠時間はミネルたちより多めだ。


「でも、エミールは朝早くに何時も起きてたような気がする」


 きっと、農作業の手伝いをしたいから昼間に寝たりしてるんだろう。最近はついでに私を起こしてくれるので、朝の目覚ましはエミールの仕事になっている。魔法の扱いにもかなり慣れてきて最近は野菜などへの水まき以外にも、頼まれたら桶に水をためたりしているらしい。

 ちょっと寝顔を眺めていたけど、出発の時間もあるのでアルナを起こす。


「アルナ、朝だよ」


《ピィ……》


 まだちょっと眠そうながら、アルナが動き出す。私も着替えて食事を取りに行く。


「ん~、お姉さんの宿、料理美味しくなったね」


「やっぱり分かる? 実はアスカちゃんたちが良く行くマスターの店と契約してね。調味料とかを卸してもらってるのよ。代わりにここに貼り紙を張ってるわ」


 よく見ると食堂にはマスターの店の貼り紙が張られている。う~ん、でも落ち着いた感じの店だったのにこれじゃ騒がしくなっちゃいそうだな。あの店は雰囲気も好きだったので、あまりに大衆的な店になってしまうと正直、行きにくくなっちゃうな。


「でも、良くあのマスターが卸してくれましたね」


 見た感じだと堅実に人気とかに左右されず商売してそうなんだけどな。


「それがね。マスターの息子さんも店を出すんだけど、この前食堂が一つ新しくなったのアスカちゃん知ってる?」


「あっ、はい」


 多分このお姉さんが言っているのは、この前ノヴァが関わった大衆食堂だろう。


「あそこって料理は美味しいけど、建物も傷んでるし女性が近寄りがたかったのよね。それが改装して中も綺麗だし、ちょっとだけだけど内装の良いエリアも出来て、人気が出たのよ。マスターの息子も腕はいいらしいけど、やっぱり固定客の付いた店は強いからね。こうやって宣伝していくことにしたんだって」


「でも、それだと人気になるのはマスターの店では?」


「それがね。今から新しい店なんて出しても客がつかないだろうからって、来月には息子に店を譲るんですって」


 いいお父さんよね~とお姉さんは言ってるけど、あの料理が食べられなくなっちゃうのか。


「それじゃあ、マスターさんの料理はもう食べられないんですね」


「ああ、それなら安心していいわよ。元々息子が出す予定の店を使って細々とやるんですって。だけど、独立したての店だからあんまり大きくないけどね。通りにも面していないし」


「よかった~。私的にはそっちの方がいいです」


「そう? 私たちには通りに面したところの店の方がありがたいけどね」


 まあ、通りに面してるかどうかは治安に直結するし、街の女性ならそうだよね。大きな町のレディト故に小路とか裏通りも多い。そこまで悪くないけど治安は重要な要素だ。それから食事を取ってみんなでギルドに向かう。


「さて、依頼はと」


 といっても取れる依頼は草原で達成できる依頼だ。他の分は中々難しいもんね。レディトだと王都行きの依頼も多いので、探すのに苦労するのだ。


「おっ! アスカこれどうだ?」


 ノヴァが何やらいい依頼を見つけたらしい。その依頼票を見てみる。


「何々……エヴァーシ村への輸送護衛か」


 一定期間ごとに向かうエヴァーシ村への行商の護衛依頼だ。これなら受けてもよさそうかな。


「でもこれ、出発が朝一だね」


 私たちも早めにギルドに来たものの、この依頼の出発時間は早朝も早朝。日が昇るかどうかぐらいのものだ。きっと、馬車での野営を回避するためなんだろう。まあ、あれだけ冒険者が野営で襲われるのだ。戦えない商人からすれば地獄だろう。


「それによく見てみな。最低随行人数六人だよ、人数が足りないねぇ」


「本当ですね。でも、これじゃあ商人に利益出ないんじゃないですか?」


「そうでもないみたいだよ。ほら、輸送品が細工とか武器って書いてある。あっちから運ぶものも書いてるみたいだよ」


 そっか、確かに行きに物を売って終わりじゃなくて、帰りは仕入れとかもするよね。シャスさんの工房もあるから受け取りがあるんだろう。


「というより、ドーマン商会の依頼みたいだよ。受けてみるかね」


「よく見るとそうですね。いつもお世話になってますし、そうしましょう」


「こちらの依頼をお受けになりますか?」


「はい。ただ、人数が足りていないんですけど……」


「そちらは四名ですね。では、依頼の受注状況を確認いたします……今は一つパーティーが受けておりますね。あちらは三名のパーティーですが大丈夫ですか? 受けられる場合は先行して受けている三名とそちらのパーティーが半々の報酬になりますので、そちらは三名分の報酬しか得られませんが……」


 一応みんなの反応を確認する。まあ、元々毛皮を取りに行くのが目的で、依頼は受けられたら程度だったので問題ないみたいだ。


「それで大丈夫です」


「では先行して受けているパーティーに連絡いたしますので、また夕方にでも来ていただけますか?後、最短での出発日を確認させていただきます。明日でも可能でしょうか?」


「はい、構いません」


「では、なるべくそれで調整いたしますので、よろしくお願いします」


「こちらこそお願いします」


 とりあえず、今日は依頼を受けられないので、他の依頼を探す。う~ん、ガンドンの皮の入手ぐらいかぁ。確かに手前の方に生息してるけど、他に日帰りで受けられそうなのもなさそうだ。


「一応これ受けとく?」


「そうだな。何もないってのも暇だし、そうしようぜ」


「ではこちらガンドンの皮の確保ですね。達成は一体から、ただし成体のみです。上限が三体となっておりますので以降はギルドで買い取ります」


「分かりました」


 カードを出して依頼を受ける。


「それにしてもかわいい小鳥を連れていらっしゃいますね。従魔ですか?」


「はい! 小さいですけど、これでも魔法が使えるんですよ」


「すごいですね。それでは幸運を」


 受付けのお姉さんに見送られて私たちは草原に出発する。


「う~ん、ガンドンか。大きくて戦いにくいんだよね」


「リュートは槍だからねぇ。心臓を一突きできなきゃ面倒だろうね」


「そうなんですよ。大きい魔物は刺しても得物が抜けないこともあって危険なんですよね」


「そういう時のサブウェポンだろ?」


「それはそうだけどね」


 ノヴァはそこそこナイフとの二刀流ができるようになってきて、ここぞとばかりにサブウェポンを自慢している。というのも、リュートは元々短剣を使っていたけど、魔槍に切り替えてからは、短剣を滅多に使わなくなった。だから、まだ短剣のLVは2止まりで、投擲と同じLVだ。

 そういうノヴァは火魔法もLV1しかないし、ナイフが使えるようになっても遠距離は苦手だから人のことを言えないんだけどね。


「なら、練習してみるかい? 一応リュートは風魔法もあるけど、普段は槍しか使ってないしね」


「でも、投擲もあんまりうまくないんですよね。風魔法を乗せてやれば少しは安定しますけど」


「あのエンゲツリンはどうだ?」


「あれは投げやすくはあるけど、槍の邪魔になるから……」


 そういえば、刃のないやつを持たせてみたら、槍を動かす時にジャラジャラ当たってたっけ。魔槍が短めの槍だとしても、伸びるしそこそこのサイズだ。サブウェポンと言っても邪魔にならないサイズでないといけない。となると投擲なんだけどね……。


「いっそのこと魔道具はどうだい? 最近、戦闘用の魔道具が新しく出たみたいだよ。なんでも手甲に見えて、風の盾を張ることができるらしい」


「へ~、盾ですか。槍だと持てるだけのスペースがないですけど、魔道具ならありかもしれませんね」


「そうだろ? 盾でも邪魔にならないならある程度は近づける。それなら槍を使うリュートの間合いぐらいならカバーできそうだって思ってね」


「でも、ジャネットさんが見たなら、王都の店ですか?」


「いや、帰ってきてからアルバの冒険者ショップでみたよ。まあ、そこそこ値段もするみたいだから売り切れってことはないだろう。防御型の魔道具だしね」


「帰ったら見てみます」


「んじゃ、話もここまでだね。アルナにも注意させておきなよ」


「はい」


 そろそろ草原に着くので、お喋りもいったん終わり。ここからは索敵に注意する。まだ入り口だからそんなに強い魔物は出ないだろうけど、ブリンクベアーがいるかもしれないからね。


「う~ん、さすがにこの辺りじゃ出ませんね」


「みたいだね。このままジッとしてても仕方ないしやるかい?」


「じゃあ、あの木を目印にしましょう」


 そういって、木の根元にあつまってちょっと先でお香をたく。草原にたまに迷い込む哀れなゴブリンの香だ。匂いはよくないけど、魔物寄せの効果がある。そこに生息しない系統の魔物じゃ意味ないけどね。しばらくするとその匂いを嗅いだのか、ローグウルフがやってきた。


「よしよし、これで最低限の収入は確保だね」


 ジャネットさんとノヴァは木を登って裏側に。私とリュートはそのまま木の下で立っている。匂いの先に人間がいるんだから、相手は跳びかかってくるだろうけど、そのおかげで注意が散漫になっているのだ。


《ワォン》


《ガウガウ》


 しかも、当たりが良く六頭ほどの群れのようだ。これぐらいなら相手もしやすいし、そこそこの収入になる。


「アルナは危ないから木に避難してて」


《ピィ》


 アルナが肩から飛んで木のてっぺんに飛び立つ。それを見たローグウルフたちは獲物を捕まえようと跳びかかってきた。


「「ウィンドカッター!」」


 リュートと二人で風魔法を使う。私の刃は大きく遅めでリュートのは早くてやや小ぶりだ。こうしてリュートの刃を回避させて、その後は魔力操作で加速させた私の風の刃でとどめを刺すのだ。

 最初に向かってきたローグウルフは器用に回避し、後ろもそれに続く。しかし、回避するのにジャンプしたためそこを私の刃が襲う。


《ギャン》


 瞬く間に二頭が倒れた。さらに後方から跳びかかってきた相手にはジャネットさんとノヴァが木から飛び降りて相手をする。ウルフは早くて鋭い爪を持っているけど、こうやって回避できない状態で攻撃できれば、防御は弱いので難しい相手ではない。そのまま後続も倒して戦闘は終了した。



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