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【3巻発売中!】転生後はのんびりと 能力は人並みのふりしてまったり冒険者しようと思います  作者: 弓立歩
アスカと変わりつつある環境

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与作


 木材を調達するため、ヘレンさんとヘレンさんのお父さんに森の入り口へと案内してもらった。


「え~と、アスカちゃんだったかな。前に引き続いてありがとう」


「いえ、私が欲しいだけですから」


「それで何本ぐらい使うの?」


「それが分かんないんですよね。太さとかにもよりますし、ひとつ作らないことには……」


「ん? いくつも作る気なのか?」


「何言ってるんですか、ヒューイさんとベレッタさんの分ですよ。自分一人だけベッドで寝れませんよ」


「そんなにすぐ作れるものなの?」


「切って乾燥させるのはすぐですから、行けると思います」


「とりあえず切れる木はここからあそこまで。大体、十五本ぐらいだ。もちろんそれより少なくても助かるから頼んだ。私はまだ農作業があるから、何かあったらヘレンに言ってくれ。ヘレン頼んだぞ!」


「分かってるわ」


「それじゃまずは五本ぐらいからいってみますか。ちょっと下がっててくださいね」


 私はみんなに下がってもらうと魔法を使う。


「エアカッター」


 手前の五本をとりあえず切り倒す。


「後は切り株だね」


「切り株は処理が大変だし、別にいいわ」


「いえ、これも使い道があるので。アースグレイブ」


 私は地中から槍を作り出す過程で、根起こしの要ように切り株を掘り出す。


「す、すごい」


「アスカはさすがだな」


「後は土を落として要らないところは切ってと」


 四十センチぐらいの四角柱を作ったらそれを上下に置木材の置き場を作る。この上に板を置いたらまたこれを置いていくことで、間に風が通って乾燥しやすくするのだ。


「ミネル~木の方お願い」


《チッ 》


 ミネルとアルナにはエアカッターで要らない枝を落としてもらう。その後は慎重に皮の部分を切って形を整える。一応、レダたちに洗ってもらったら必要な厚みに切って重ねていく。


「すみません、ヒューイさんとベレッタさん。その板を重ねてもらえますか? 間にこの木を挟んでもらって」


「分かった。ベレッタ、そっち頼む」


「了解」


 息の合った動きでどんどん板が積み上がっていく。


「このぐらいで良いかな? そ~っと、ヒートブレス」


 私は火と風の複合魔法を唱えて、乾燥を促進させる。焼かないように気を付けないとね。しばらくして、木が乾燥したので作業に移る。


「まずは長さだね。みんな大きいからニメートル半ぐらいは欲しいかな? ベッドの頭側は小さい引き出しとかあった方がいいし、ちゃんと下にも収納を作らないとね」


 接着剤が十分にないので、収納は溝を彫って枠作ったら、その中に板を敷く形にした。同じ要領でベッドも組み立てる。


「うう~ん。まだ木が足りないや。とりあえず後二本用意して」


《チィ 》


 ミネルたちに木の追加をお願いする。その間に私は板に切り込みを入れて、出来上がりの形を作っていく。


「う~ん、飾りを作る時間はないなぁ。ニスとかもあれば塗りたかったけど、ないしなぁ」


 ひとまずは収納を完成させる。左右か上下にひとつ置けるようにベッド一つにつき二つ作る。そして、一応一つベッドが完成した。


「ベッドって簡単にできるものなのね」


「ベレッタ、そんなわけないだろう。そもそも素人が作ったんだぞ。こんな綺麗にもうできたなんてあり得ないぞ」


「布団がないとさすごに寝心地は分かりませんね。フライ」


 私は風の補助魔法を使って、出来立てのベッドを浮かせて宿に運び入れる。


「ベレッタさんちょっと来てください」


「行ってくるわ」


「頑張れよ」


 何だかおかしな会話をしているヒューイさんはほっといて、部屋に運び込んだベッドに置いてあった布団を敷く。


「ちょっと寝てみてもらえますか?」


「分かったわ……ううん、ちょっと背中が板に当たるわね」


「やっぱり、布団薄いですよね。ちょっと退いてもらえますか」


 私は自分の布団を敷いて、二重にした。


「これでもう一回寝てもらえます?」


「分かったわ。うん、いい感じよ。でも、こんなに早くベッドが出来るなんてきっと夢ね。ちょっと寝るわね」


「?」


 よく分からないけど、ベレッタさんは眠いらしい。


「分かりました。ゆっくり休んでくださいね」


 ベレッタさんを部屋に残して、私は再びベッド製作のため森の入り口に戻る。


「ベレッタは?」


「何だか夢を見たいって言ってました」


「そうか。で、小鳥が木材を完成させてるんだが……」


「あっ! ミネルたち頑張ってくれたんだね。ありがとう~。それじゃ、早速乾かさないと!」


「都会の魔法使いはこんなにすごいんですか?」


「アスカは都会でも異端児だ」


 私は新たに二本分の木材もヒートブレスで乾燥させて、材料不足で中途半端なベッド二つに割り当てた。


「乾燥させてちょっと縮むとサイズがずれるから調整しないとね」


 僅かな差は持ってきた細工用の魔道具を駆使して埋める。こうしてわずか二時間足らずで三つのベッドを作り上げた私は、満足して宿に戻ったのだった。


「あっ、そうだヘレンさん。来がけにアルナたちが魚を獲ったのでどうぞ。今日の夕飯にでも使ってください」


「そ、そう。ありがとう。何から何まで世話になっちゃったわね」


「いいえ。あっ、それと申し訳ないんですけど、ベッドだと厚みのある敷布団が要るので、差し当たっては今用意してもらってるやつを二枚敷くので、後で出してもらえますか」


「布団ぐらいなら予備があるからすぐに出すわね」


 ヘレンさんに机も出してもらって、ちょっとベッドでくつろいでいる私だったけど、ふと部屋を見回す。


「アスカどうした?」


「この部屋ってベッドを入れた以外だと、家具らしきものが何もないですよね」


 唯一あるのは服をかける壁に沿わせたハンガー掛けぐらいだ。


「まあ、村の宿屋なんだからこんなもんだろ」


「せめて机ぐらいあってもいいと思うんですよね。私たちも三日は滞在するじゃないですか」


「アスカお前……」


「まだ、十六時ぐらいですよね? 行けますって!」


 再び現場に戻った私は、さっき追加で使った二本の木の切り株に目を付ける。


「切り株の大きさだとテーブルとか机の天板にし易いんだよね~」


 形を簡単に整えるだけでそれなりの形になるし、丈夫だしいいことづくめだ。ちょっと厚めに切るとその下の部分を平の引き出しにする。もう一つの切り株も同じように加工すると、さらに1本追加で木を切る。


「これで引き出しとか骨組みを確保っと。ついでにこの切り株を使えば3つ目の机にもなるね。今回は引き出しとかも作るから、薄めの板も用意しなきゃ」


 ベッドとかの丈夫な板が必要だったから、さっきは厚めに全部切ったけど、今回は引き出しとかが多いからバランスよく切っていかないとね。


「そういえば接着剤が少ないから、引き出しも組み合わせて作れるようにしないとね」


 鉄芯と木で作った滑車にオイルを塗って引き出しのコマを作って、3段式の引き出しと平の引き出しを付けた机を3つ作る。


「うう~ん、飾りっ気がないなぁ。時間がもうちょっとあればな~」


「も、もうそのぐらいでいいだろ? ずっと使うわけじゃないんだし」


「そうなんですけどね。作るからにはもうちょっと良いのを作りたかったんですよ」


「だが、もうすぐ夕ご飯の時間だろう? それにヘレンさんの親父さんとも約束してただろ?」


「そういえば、弟さんの弓を見るんでした。じゃあ、仕方ないですね」


 残念だけど机とかは私のわがままだし、約束は守らないとね。


「アスカちゃ~ん。そろそろ夕飯の時間よ」


「は~い」


 ヘレンさんに呼ばれて私たちは寝ていたベレッタさんを起こす。


「目が覚めたら、ベッドが増えて机もあった……」


「もう気にするな。ご飯にしようベレッタ」


 寝ぼけ眼なベレッタさんを連れて食堂へ下りると、料理の他にヘレンさんのお父さんたちもいた。


「あれ? どうしてこちらに」


「ほら、昼間も言ったけど今宿にいる人って村を出た人たちだから食事も家で取ってるの。家も別に作るのは手間だから、こっちで一緒にね。宿の食堂はそれなりに広いし」


 みんな揃ったので、まずは自己紹介からだ。


「改めて、私はこの宿の責任者のヘレンです。何かあったらこの時期は宿か裏の畑にいるので言ってください」


「ヘレンの父のデレクです。以前は狩人でしたが、怪我で一線を退いて農業の手伝いと見張りをしてます」


「ヘレンの母のパネトーネです。主人と農業をしてます」


「ヘレンの弟のロビンです。来年から狩人見習いです」


 ヘレン一家の自己紹介が終わり、今度は私たちが行った。


「それじゃ料理が冷めるから、食べましょうか」


「あっ、ちょっとだけ待ってください。こっちの子がレダで、こっちがミネル。小さいのが二人の子どもで、右がエミール左がアルナです」


「お姉ちゃん、魔物使いなの? 珍しいね」


 当然ながら村でも魔物使いは珍しいみたいだ。食事をしながら聞いたところによると、十年以上前に見たっきりだという。


「その時は確か、ウルフを三頭連れていたかな?」


「へぇ、何頭も手懐けるなんてその人やるなぁ」


「ヒューイさん、群れで行動する魔物は家族とか群れ単位で契約になる時もあるらしいんです。この前、ディースさんも家族単位の契約になってました」


「そうなの? 数を自分で調整できないのは便利なのか難しいところね」


「群れ単位だと食費がすごいって聞きました」


「そうよね。種族によったら食べられるものも限られるだろうし、移動も大変ね」


「はい。それに思ってたより、泊まれる宿も少なくて」


「そうなの? 小鳥とか別に僕は気にならないけどな」


 ロビンくんは怖いというより村でも見かけない小鳥に興味があるようだ。


「ミネルたちは小鳥だからいいけど、魔物がOKになったら、ウルフでももっと大きい魔物でも断れないでしょ? だから、みんな扱いには慎重なの」


「前に来た人もウルフはまだ主人の言うことをよく聞くから、楽だと言っていたな」


「そうですね。ウルフ系は主従がしっかりしてる種族ですから」


「お姉ちゃんの従魔は他に何がいるの?」


「他か~、ゴーレムとウルフが二種類かな? ウルフは旅に出る時に引き取ってもらうけど」


「強いの?」


「う~ん。相性とかもあるけど、Cランク冒険者並みかな?」


「今度見せてよ!」


「町に来てくれたらね。孤児院の子たちの送り迎えとかしてるから、町から離れられないの」


「うん。今度、町へ買い物に行くから必ず行くよ!」


 近々、アルバに行くというので、私はロビン君に宿の名前を教えた。



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