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【3巻発売中!】転生後はのんびりと 能力は人並みのふりしてまったり冒険者しようと思います  作者: 弓立歩
アスカと変わりつつある環境

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材料確認とシールド


 私たちは冒険者ショップで買い物を済ませ、宿へと戻ってきた。そして、ちょっと遅めの昼食も取り、裏庭に戻ってくると、サンダーバードたちがお出迎えをしてくれた。


《リィ》


「あっ、こっちに帰ってきたんだね。楽しかった?」


《リィ》


 今日はディースさんにお願いして、サンダーバードたちと遊んでもらったのだ。ディースさんにとっても生態が分かるということで喜んで引き受けてくれた。これからも毎日小屋が完成するまではお願いしている。


「これが新しい従魔ね。かわいいわね」


「そうか? 丸っとしてるだけだと思うが」


「それが良いんじゃない。で、私たちはどうしたらいい?」


「サンダーバードたちと遊んでもらってもいいですか? その子たちって元気いっぱいで……」


 私がベレッタさんたちを紹介して警戒心を解いてやる。みんな私が気を許している相手には好意的だからこれで大丈夫かな?


「それで、こいつらの住処を作るんだったな。一応ノヴァに聞いて設計図を描いてきたがこんな感じでいいか?」


「見せてもらいますね」


 シュタッドさんから設計図をもらう。確かに私が描いたものと、昨日ノヴァが言っていたことが反映されてる。他にも屋根の固定が具体的に書かれていたりして、直ちに作業へとかかれる感じだ。


「昨日の今日なのにすごいですね」


「まあ、ほとんどノヴァが描いたがな。あいつは絵は無理だが図は得意でな。一度屋根を確認したいがいいか?」


「じゃあ、飛びますね。フライ」


 昨日と同じようにシュタッドさんを屋根の上に上げる。


「こいつはすごいな。こんな簡単に屋根の上に上がれるなんて!」


 本職は大工さんだけあって空を飛んだ感想もそれっぽかった。一見便利に見えるけど、この魔法は着地しちゃうとかけ直さないといけないから、大変だと思うけどね。


「見た感じどうです? 設計図の通りに作れそうですか?」


「ああ、細かい長さの調節は必要だが、このまま行けるな。アスカさえよければ明日にでも木材を持ってきて作業できる」


「本当ですか! じゃあ、先に金属を買ってこないと……」


「何に使うんだ?」


「ここに上るのに誰でも上がれるよう梯子をつけたいんです。ただ、木だと強度が心配なので上の部分だけでも金属で作ろうと思ってまして……」


「それなら錆びにくいのだな。ある程度配合も知っているから明日一緒に持って来る」


「さすがは本職さんですね。そのことが気がかりで……」


「いや、そこまで気が回る方が珍しい。では、また明日だな」


 今日のところは材料がないのでここまでということになった。


「あら、話は済んだ?」


「はい。材料がないのでまた明日になりました」


「そう。ごめんね。結局、遊ぶだけになっちゃって」


「いいえ、この子たちも町に住むんで、今から仲良くしてくれる人がいると安心できます。やっぱり魔物なので、怖がる人もいると思うんです」


「そうか? 別にこんな丸っこいのが何かできるとは思えないけどな」


 ヒューイさんはそう言ってくれるけど、でっかい隠し玉もあるし、魔物っていう言葉だけでやっぱり怖がる人もいるんだよね。意外というか宿を経営している人にも多いそうだ。

 なんで? と思うかもしれないけど、冒険者と関わる機会が多い分、あの魔物は恐ろしいだの、この魔物には気をつけろだの色々話を聞く機会が他の人より多いからだって。一生町から出ない人もいるし、そう考えたら納得できた。


「お前たちはそう言うが、街の人間からしたら魔物は全部ひっくるめて魔物だ。ゴブリンと言えど強敵なんだからな。お前らも村にいた時はそうだっただろう?」


「そういえばそうね。ゴブリンを見たら冒険者に頼めないかってみんな言ってたわ」


「知らない間に俺たちも冒険者になってたんだな」


「そういえばお二人とも同じ出身なんですよね。港町から来たって言ってましたけど……」


「ああ、正確にはそこの北にある村の出身なんだ。アルバに来る前に港町で活動してたんだ」


「住み慣れた村を出るって不安とかありませんでした?」


「まあ不安はあったが、村にいてもどうしようもないしな」


「どうしようもない?」


「アスカも村の出身だろ?」


「私は村と言っても流れ者の娘でしたし、距離を置いていたので」


 何なら実際に村人生活は送ったことないしね。


「そうだったのか。村は当然土地があってそれぞれ作物を作ってるだろ? アスカはその土地が誰のものになるか分かるか?」


「ええっと、相続って話ですか?」


「そうだ」


「それは長男ですかね?」


「その通りだ。じゃあ、次男以降はどうなると思う?」


「うう~ん。一緒の土地で働くとか?」


「まあそうだな。でも、土地は長男のものだ。次男以降は小作人にしかなれない。当然、滅多に嫁の貰い手もないわけだ。そういう奴らや、各家の長男の相手が決まったら残った女も村を出て行くわけだ」


「そんな……」


「でも、どこの村もそんな感じよ。もちろん、そのまま住み続けることも出来るけど、あっちで手伝い、こっちで手伝いと忙しい割には食べていくのがやっとなの」


「それで、出て行ったやつらは町なんかで仕事を探すんだが、一番楽になれるのが冒険者ってわけだ」


「冒険者って楽じゃないですよね?」


「生活はな。だが、登録料さえ払えば町の出入りもただになるし、日雇いだろうと仕事の当てが見つかるわけだ。町で働くと言っても家がないと中々信用してもらえないし、相手も誰でもいいってわけじゃないからな」


 確かに、この世界じゃほとんどの物が手作りだし、機械もほとんどないから、あらかじめスキルか技術を持っていないといけないんだ。それなら働き口を探すのは大変かも。


「その点、冒険者は登録した時から色々依頼が受けられるでしょ。薬草採取なら誰でも出来るし。私たちもそうやって港町で稼いでいたのよ」


「じゃあ、何でアルバに?」


「あっちは港町で採取依頼以外は荷下ろしだの荷物運びだの肉体労働が主体でな。しかも、低賃金だから身体を壊したら終わりなんだ。船員に成れればいいんだが、滅多に枠は空かない。それなら治安の良いアルバの方がいいかなって思ったんだ」


「みんな大変なんですね」


「ヒューイも村で大人しくしてればよかったのにね。長男なんだし」


「いいだろ別に……」


 ん? さっき、長男が土地を貰えるって話じゃなかったっけ?


「ヒューイさん、土地貰えたんじゃ」


「俺には弟がいてな。身体が弱かったんで俺が家を出ることにしたんだ。身体が弱くても土地があれば他の家の奴を雇って食べていけるからな。まさか婚約していたベレッタまで付いてくると思わなかったけどな」


「ほう。ヒューイ、お前も立派な男だったんだな! 弟のために家を出るなんて」


「よ、よしてくださいよ。って痛!」


 バンバンとヒューイさんの背中を叩くシュタッドさん。でも、滅茶苦茶痛そうだ。


「で、ベレッタはどうして付いて来たんだ? ヒューイの弟相手でもよかったんじゃないか?」


「それは……その……。い、妹がヒューイの弟と仲が良かったから! 年も近かったし」


「本当に悪かったよ。ベレッタも俺の元婚約者だからって一緒に付いて来てさ。弟に俺のことを頼まれたからって律儀なやつだよ」


「はえ~、それでいっつも一緒だったんですね」


「別に村も出たしもう婚約者でもないんだが、俺ってあんまり頼りになんないだろ? 悪いとは思ってるんだけどな。他に組んでくれそうな奴もいないし、そのまま一緒にパーティーを組んでいるんだよ」


「だが、二人でやってこれたんなら、それなりにチームワークは良いんだろ?」


「そりゃ、他のやつと組むよりはな。でも、俺って回復は得意だけど攻撃手段がないからなぁ……」


「だ、大丈夫よ。ほら、アスカちゃんに魔道具を作ってもらうんだし」


「そういえばどんなのを作る予定なんだ?」


「う~ん。今考えているのは盾ですね」


「盾? でも、私はあまり力が無いから、使わないかも……」


「それは多分大丈夫だと思います。盾と言っても見た目は小手を小さくしたものですから」


「へぇ~、防具のことは専門外だが面白そうだな。絵を描いてみてくれないか?」


「ちょっと待ってくださいね」


 私は裏庭の椅子に腰かけて絵を描き始める。


「わっ、アスカちゃん。絵、上手ね」


「ありがとうございます。密かに自慢なんですよ」


 私は出来上がった絵を見せる。と言っても、みんな見てたから多分分かると思うけど。


「え~っと、革のバンドで止めて外側だけ金属なのは軽くするためって分かるけど、これじゃ盾とは呼べないんじゃ……」


 私の描いた絵は、手前側には革バンドが二つ付き、外側には金属製の長方形で十五センチぐらいの板を付け、その間に魔石を配置したものだ。


「ふふふっ、それがですね。十五センチぐらいの金属は銀でその下に魔石があるんです。この魔石を発動させるとこう……上下左右に風の膜というか刃みたいなのが出るようになるんです。これが盾の役目をするんですよ」


「なるほどな。物理的に作ると重くて、スピード主体のベレッタには扱いづらいから、盾の大部分を魔法で作るわけか」


「ここが銀なのは?」


「魔法が通りやすいから、この部分も薄く魔法が張れないかなって。後は魔石がむき出しだと、そこを割られるかもしれないし、そんなの気にしてたら戦えませんからね。その為のものです」


「ふむ。ベレッタの戦い方なら普段は回避できるから、緊急の防御という訳だな」


「そうですね。ジュールさんが言っていた、不意の一撃を防げれば二人でも戦えるんじゃないかって……」


「すごい、すごいわ! さすがアスカちゃんね。これでまだまだ二人でも戦えるわ。ありがと」


「い、いえ。でも、確かに二人旅は危険も多くなりますから、適度に合同パーティーとか組んでくださいね」


「分かったわ。ヒューイ、良かったわね!」


「ああ、うん。俺は元々戦力としてはそこまでじゃないし、お前が良いならいいが……」


「何を言ってるのよ。ヒューイの回復魔法もすごいじゃない。治療院でも結構いけてるんでしょ?」


「ああ、まあな。だが、治療院も結構働かないとプラスにならないし、大変なんだよ」


 しみじみと言うヒューイさん。治療院は活動奉仕期間なるものがあって、そこをまず超えないと儲けが出ないらしい。

 ジャネットさんもお世話になったって言ってたけど、治療費は滅茶苦茶高いって話だったのに、そこで働く人はそんなに儲からないらしいんだよね。


 カーンカーン……


「あっ、鐘だ」


「もう、十六時なのね。そろそろお暇しましょうか」


「そうだな」


 今日は色々話をした充実した休日だった。明日はいよいよ宿の改装だ!



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