表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【3巻発売中!】転生後はのんびりと 能力は人並みのふりしてまったり冒険者しようと思います  作者: 弓立歩
アスカと変わりつつある環境

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

381/495

小屋づくり


 ノヴァと打ち合わせの約束をし、その日はそのまま休んだ。


「さて、今日はお兄さんを連れて来てくれるって言ってたけど、まずは小屋だよね」


 小屋と言ってもサンダーバードたちのものではない。ソニアのものだ。現在あるリンネ用の小屋は広めに作ってはあるものの、さすがに二匹を収容できる広さはない。今はリンネが場所を貸して外で寝ているけど、まずはこっちから片付けないとね。


「薪を加工してと……」


 ライギルさんに言って、宿で使う薪を分けてもらう。その代わり、今日と明日の夜の火力調節は私がすることになった。薪代の代わりに働くのだ。


「薪もそう簡単には大量に手に入んないしね」


 薪なら入手は簡単だと思うかもしれないけど、ライギルさんはさすがの料理馬鹿っぷりを発揮していて、馴染みの薪屋さんに同じようなサイズの物をと頼んでいるのだ。

 加工する時にサイズや木の種類が揃っているのはこっちとしても助かる。街に売っている薪と言えば、大きさも木の種類も割とばらばらだ。まあ、普通に燃やすだけだからね。本来はそんなものも関係ないんだけど、ライギルさんが火力の調節がしやすいと、いつも同じサイズの薪を頼んでいるのだ。


「その代わりに薪屋さんも食堂の食事を融通してもらってるんだからお互い様だけどね」


 ちなみに、宿の料金は最近値上げしたらしい。というのも私が作ったハンガー掛けやハンガーと服を入れる箱のセットを標準にしたのだ。今までは銅貨三枚で貸し出しとしていたんだけど、計算も面倒だし、利用客の半数以上が使用することもあって、今は一泊が大銅貨二枚と銅貨五枚だ。その代わり夕食に付くパンも美味しい方のパンになった。


「思い切ったよねライギルさんも。まさか前まであったパンをなくしちゃうなんて」


 大人気の柔らかいパンだけど、一食の値段が変わるからこれまではオプションだったのだ。だけど、もう硬いパンを作るのが嫌になったのか、とうとう新しいパン一本に絞ったのだ。

 この銅貨二枚分をハンガーなどの料金と合わせて宿代に上乗せしたってわけ。当然、朝食も銅貨五枚、AセットとBセットも大銅貨一枚に、Cセットも大銅貨一枚と銅貨二枚になった。


「でも、客足が減らないんだよね~。まあ、前からほとんどの人がパンを変えてたし、しょうがない」


 正直言って、美味しい料理にまずいパンが並んでいるとちょっと残念な気分になるから、消えてくれて嬉しいんだけど、金額が変わるのに対して最初、ミーシャさんも不安がっていた。

 いくら、グレードアップした結果とは言え、月の料金が銀貨六枚から銀貨七枚と大銅貨五枚だもんね。銅貨一枚でも安い方がいい冒険者にしてみればかなりのマイナスだ。


「ふふっ。でも、あの時はおかしかったなぁ」


 一つのパーティーがこれを機に別の宿に行ったんだけど、四日ほどして戻ってきた。今まで出ていた夕食の代わりに酒場や他の店で食べていたんだけど、一食で大銅貨二枚以上払わないと同程度の食事が出来なかったらしい。料理も味が落ちて、せっかく帰って来たのにしょんぼりしてしまうとのことだ。


「元々、アルバの素泊まりが大銅貨二枚前後だから、お得だったもんね。安いところでも大銅貨一枚半ぐらいだし。銅貨五枚で買えるものって結構少ないもん」


 ただのパンが銅貨一枚から二枚。肉串も銅貨二枚だ。サラダが銅貨三枚ぐらいで飲み物を頼むとたちまち大銅貨一枚近くになるだろう。それなら宿で美味しい料理を食べた方がまだ安いのだ。

 パーティー部屋も机二つに椅子が四つでベッドも四つある。安い宿なら雑魚寝もあり得るし、机なんてないだろう。それでは身体も休まらないというわけだ。


「それにしても、宿の宿泊費って安いよね。いくらギルドから紹介してもらって冒険者が泊まりやすいからって、仕入れとかどうなってるんだろ?」


 ふと気になったので、まずはエレンちゃんに聞いてみることにした。


「仕入れ? ああ、毎朝市場で買ってるよ」


「それにしては質の良いものが安く手に入ってるよね?」


「うん。市場以外にも契約してるところから持ってきてもらうから」


「そうなの? でも、持ってきてもらうんだし、高くなっちゃわない?」


「う~んとね。前にお母さんに聞いたんだけど、うちで使ってるって宣伝したら高値で売れるから安くなってるんだって」


 何でも、ライギルさんの料理馬鹿っぷりは街でも認識されているようで、品質にうるさい宿と契約しているってことでわずかだけど高く売れるらしい。その代わりうちにはちょっとだけ安く卸してもらえるんだって。


「正直、ギルドの冒険者紹介はそんなに影響ないよ。だって、ほっといても昼にはいっぱい来てくれるし、おねえちゃんみたいに継続して泊まってくれる人たちもいるしね」


「そういえば、そうだよね。割といっつも部屋が埋まってるし」


 多分、パーティーもそうだけど、ひとり部屋も毎日半分以上は契約で埋まっている。バルドーさんがいた部屋も数日で新しい人が契約しちゃったし。

 ちなみに値上げに際して、一か月契約者には大銅貨五枚割引が適応される。実質この宿では銀貨七枚で泊まれるのだ。これは継続して泊まってくれる人への配慮だ。ミーシャさんもそこは気にしてたしね。


「まあ、私は銀貨六枚のままだから関係ないけど」


 私も値段が変わったので銀貨七枚を払おうとしたら、『アスカちゃんはどちらにも関わってくれたから、今まで通りでいいわよ』と断られてしまったのだ。安いことは嬉しいけど、本当にいいんですか? って言ったら、何も問題ないと返されたので、その言葉に甘えている。


「それより、小屋作りだね。図面はと……」


 図面を持ってきて小屋を作る。図面と言っても新たに引いたものではなく、リンネの小屋を作るのに使ったものだ。作りは同じにして、今ある小屋の横の壁を切り取って、リンネ側とつなげる予定だ。


「えっと、まずはエアカッターで板にしてと……」


 まずは丸い薪の外側を落として板を作る。外側は最後に重ねて屋根にする予定だ。板は楔のような形にして手前と奥をつなげるようにして長い板にする。


「後は乾燥させてから組み立てか……どうしようかな?」


 普段なら自然乾燥させるんだけど、今は時間も限られてるし魔法を使おう。何せ十時からはジュールさんと待ち合わせてるし。

 熱風を出して接着剤を早く乾燥させる。ついでに表面も焼いて、焼き板にしておく。後は各々のパーツを合わせていくだけだ。


「念のため釘以外にもはめ込みの穴を作ってと……こんなもんかな?」


 ソニアもリンネもそこまで重くないから、これぐらいでいいだろう。


「後はクッションと下に敷くマットを置いてと。ああ、そういえば従魔たちのお風呂というか洗い場がないって言われてたな。そっちも作っちゃおう」


 ちょうど裏庭にいるのでまずは準備だ。部屋から裏庭に戻るところでエレンちゃんに声をかけられる。


「あれ? おねえちゃん今日は依頼があるの?」


「ないけどどうして?」


「だって、依頼受ける時のかっこだから」


「ああこれ? ちょっと地ならしにね」


 私が部屋に取りに行ったのはハイロックリザードのグローブだ。これにはアースウォールの魔法が込められているから、これで洗い場の地盤を作ろうと思ったのだ。


「まあ見ててね。ちゃんと洗い場作っておくから」


「分かった。場所は男子用のお風呂の隣にしておいてね」


「は~い」


 目的地に着いた私は長方形の穴を掘って、そこをアースウォールで固める。


「これでコンクリートがあればいいんだけどね。とりあえず、水路をつなげて使えるようにはしとこうかな?」


 ここを板張りにするのかレンガで作っちゃうのかは分かんないからそのままにしておいて、ソニアの小屋の組み立てを完了する。


「後はこれを持って行くだけだけど……重い」


 しまったなぁ。組み立ては現場ですればよかったかも。サイズを確認して二つの小屋をつなげる穴の確認をしようとしてたけど、これじゃ移動させられないよ。


「おっ、こっちにいたのか。アスカ、なにをしてるんだ」


「あっ、昨日のお兄さん!」


「そういえば自己紹介してなかったな。アルゼイン建築のシュタッドだ」


「アスカです。今回はよろしくお願いします」


「うむ。で、アスカは何してたんだ?」


「ソニアっていうウルフの子の小屋を作ったんですけど、持ち上がらなくて……」


「それなら俺に任せろ!」


 そういうと小屋にシュタッドさんが手をかける。


「重たいですよ?」


「大丈夫だ。役に立つスキルがあるからな」


「スキル?」


「怪力ってスキルだ。腕力の1.3倍までのものが持てる。それにこれでも肉体労働者だぞ。力仕事なら任せろ」


 そういうとシュタッドさんは軽々と小屋を持って運んでくれた。


「これはどこに運ぶんだ?」


「や、宿の前の小屋の横です」


「分かった」


 移動中に話をすると、なんとシュタッドさんも冒険者登録しているのだという。アルゼイン建築はもちろん商人ギルドの所属だけど、場合によっては他の町にも出張するので、魔物と出会うこともある。

 護衛もいるので戦う場面は少ないけど、一緒に戦うこともあり、倒した時に冒険者なら討伐報酬が出るからだとか。


「まあ、飲み代ぐらいにしかならないが、それでもないよりいいしな。ほら」


 そう言ってカードを見せてくれるシュタッドさん。ん? 腕力が220もあるし、体力は180、器用さだって150もある。


「どうした?」


「いえ、パラメータが軒並み高いんですけど……」


「ああ、まあいつも力仕事をしてるし、組み上げるだけならともかく、器用でなけりゃ家具は作れないからな。それに責任者も兼ねているからな。大事な従業員を守るためには必要なんだよ」


 でも、スキルだって斧術はLV3だし、格闘術もLV2あった。斧は木を切るのにも使うけど、格闘術は訓練が必要だから括りとしては一般人ではあるんだろうな。


「戦闘スキルの方はこんぐらいしかないだろ。格闘術もノヴァに教えてもらったんだぞ。前はオークと正面からの殴り合いしか出来なかったが、今じゃ極め技も使えるし助かってる」


 そう言いながら笑顔のシュタッドさん。ノヴァのことを自慢したいんだろうけど、普通はオークと正面から殴り合いは出来ないと思うんだけどな。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] >※なんと本日で1周年らしいです。様々な形で応援いただきありがとうございます。3か月で2年進めるつもりだったのに、まだ1年半しか経ってないですね。加速しますという以前の発言は一体…  これ…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ