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【3巻発売中!】転生後はのんびりと 能力は人並みのふりしてまったり冒険者しようと思います  作者: 弓立歩
アスカと遺跡探検

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探索依頼の結果


 あれから宿に帰ってきて、のんびりしていた私のもとにノヴァがやって来た。


「アスカいるか~」


「ノヴァ、何か用?」


「ヴォードたち帰って来たらしいぞ。ギルドに行こうぜ!」


「本当! すぐに行く~」


 向こうが何か見つけたか気になるし、パッと服を整えて宿を出る。


「それにしても向こうも早かったよな~。もう一日ぐらいいるかと思ったけどな」


「まあ、広い村でもないしあの状態じゃね」


 自分たちが見た後に何を探すのだろうと思う。それこそ壁に何か埋められでもしてない限り何もないはずだ。ギルドへ着くと、すでにジャネットさんとリュートが席に座っていた。


「おっ、やっと来たね。今日はゆっくりしてたのかい?」


「はい。二人は?」


「僕とノヴァは武器屋にいて帰りがけにヴォードさんを見かけたから、ここに来たんだ。ジャネットさんは依頼の帰りだって」


「依頼受けに行ってたんですか?」


「誰かさんがしれっと受けてたって聞いてね。そうそう、アスカ。レンジャー志望のやつにアドバイスしたんだって? 珍しい音波探知が身に付いたってさ」


「何ですかそのスキル?」


「名前の通り、音で生物の居場所が分かるんだよ。おかげで夜うるさくて寝れないってさ」


「それは難儀なスキルですね」


「だけど、魔力を使わなくても探知できるし、野営の時も頼りになるから周りは助かるだろうね」


「で、何で私たち小声で話してるんですか?」


「個人情報だろ? それに変な噂になっても知らないよ私は」


「そんなことありませんってば!」


 知らぬが仏、今の私には冒険者がスキルを取得することが、どれだけ珍しいのか知らなかったのだ。


「ちなみに私もほら……」


 そう言いながらジャネットさんがカードを見せてくる。よく見るとスキルの指揮LVが2になっていた。


「あっ、すごいです」


「まあ、ばれたら傭兵団でも持たないかってうるさいだろうから見せられないけどね」


「傭兵団なんてあるんですか?」


「この国じゃ珍しいけど、地方の田舎とか帝国なんかじゃ、治安維持の軍にも組み込まれてるところもあるよ。期間限定で扱えるし、規模も扱いやすいしね」


 てっきり、いくつかのパーティーの集まりみたいなものかと思ったら、小規模の軍隊みたいな感じなんだって。トップダウンで命令系統もしっかりしてて、自警団が弱い町や村を定期的に巡回する仕事を主にしているらしい。


「おう、そっちも揃ったようだな」


「まあね。で、どうだったんだい?」


「いきなりこっちからでいいのか? びっくりするぞ!」


「いいよ別に。さっさとしなよ」


「よし、エディンシア。出してみな」


「本当にこれを出すの?」


「いいから出せ」


「ん? 何の騒ぎだ?」


「ああ、ギルマスか。この前受けた遺跡と廃村の探索結果だ。あんたも確認していくか?」


「面白そうだな。私も参加しよう」


 ギルドマスターも加わって改めてヴォードさんのパーティーの成果物がテーブルに置かれる。


「これはレンガ?」


「ああ、それも数百年物だぞ。貴重だろ。それかゴミみたいな魔石しかなくてな。手ぶらもなんだから持って帰ってきた」


「鑑定するまでもなく特に価値はないな。あえて言うなら、この辺では珍しく帝国の向こうの国の作りをしていることぐらいか。あの村の住民は海を渡った向こうの国の移民だったということだな」


「さすがは事務方のギルマスだな。そんなことまで知ってるとはな」


「というより鑑定スキルのおかげだな。使わない知識を貯めてもしょうがないから、つまらないものをあまり持って来るなよ。じゃあ、次はジャネット……いや、アスカのパーティーだな」


「出してもいいか分からないんですが、出せるならこれです」


 そう言って私は梅干しの入ったつぼを出した。


「なんだこれは? 普通のつぼに見えるが?」


「はい。入れ物自体は何の変哲もないものなんですけど、中身は食べ物なんです」


「た、食べ物だと……。おいおい、数百年前の遺跡に行ったんだろ。そんなもん出して大丈夫なのか?」


「大丈夫です。塩で漬けてありますから腐りませんし、私も食べました。ただ……かなりしょっぱいですけど」


「ふむ。見た感じは塩の色というかかなり白いな。どれ」


 そう言ってギルドマスターは表面の塩だけをわずかに棒ですくう。


「うむ。確かに塩だな。香りも付いているから、これがその物体の匂いなのだろう。確かに食欲をそそる匂いではあるが……。さすがに食べる気にはならんな。塩だけならともかく体調を崩すわけにもいかんしな」


「ほっ」


 私はちょっとだけ嬉しかった。なぜなら、まだまだ梅干しは作れないし、数百年物なんて珍品中の珍品を食べたく無い人に渡したくなかったからね。


「それで、どっちの成果が上だと思う?」


「難しい問題だな。どちらもギルドに提出したところで、依頼を達成した証明にはなるだろうが買い取るほどの価値はない。文化的には謎の村の情報が集まったが、そんなものは学者の領分だ。残念ながら価値あるものとしてはどちらも認められないから引き分けだろう」


「まあ、負けなくてよかったというところか」


「なんだよ。せっかくの賭けが台無しだぜ!」


「よし。俺の勝ちだな! どうだ探索依頼の不毛さを思い知ったか」


 そう言うのは依頼を受ける時から強気に何もないと言っていた人だ。自分の時の悔しさを晴らすかのようにいい笑顔で賭け金を受け取っている。実際には私たちは竜眼石と魔石を入手してたんだけどね。

 ちなみに私たちの賭け金に関してはヴォードさんがごねて、双方の結果のみに賭けたと渡さなかった。転んでもただでは起きないんだな。


「で、魔物の方はどうだったんだ?」


「それが聞いてくださいよギルマス、二回も夜に襲撃を受けたんですよ!」


「まあ、草原ならそういうこともあるんじゃないか?」


「それでもひどいと思いませんか! 寝不足になっちゃいますよ。まあ、ポーター君の新兵器で助かったんですけど」


「新兵器?」


「何でもエヴァーシ村で最近流行ってるみたいですよ。村には住んでないみたいですけど、達人もいるとか」


 何だか嫌な予感がするな。そろそろ用事も終わったし帰ろうかな? そう思ってみんなを見ると、首を左右に振っている。大人しくいた方がよさそうだ。


「あの村は何の変哲もない村だぞ。そんなものがあるのか?」


「ポーターくーん。見せてあげて」


「は、ハイ! これなんですけど……」


 そういって出してきたのは投擲用の円月輪だ。投げやすくて軽い反面、手元に戻る感じではないので投げっぱなしになる弱点もある。ただ、不意を突いたり短距離だとナイフのように振り回せたりもする。ただ、持ち運ぶには専用の入れ物も要るので、冒険者が買うとは思ってなかったなぁ。


「なんだこれは? 円形の刃物か」


「はい。村では最近主流の武器だそうです。一部の狩人にも命中率が高いと、採用されたみたいです」


「確かに当てるだけなら問題ないし、素材の買取も考えないならありかもしれんな。切れ味は良いのか?」


「はい! と言ってもこればっかりは鍛冶職人の腕次第なので、あまり参考にならないかもしれませんが……」


「要は刃物を作るのがうまいなら別に問題ないということだな。俺も一つ買ってみるか」


「ギルマスが武器なんて使うんですか?」


「事務方と言っても、Dランクくらいにはな。と言っても腕も錆び付く一方だが。サイズはこれだけか?」


「もう一回り大きいのもあるそうです。僕が持ってるのはこのサイズが三つだけですけど」


「しかし、面白いものを考える奴もいるもんだな」


「そういえば、村ではこれの遊具版があるみたいでした。子どもたちも喜んで遊んでましたよ」


「村で普段から使わせて将来的に即戦力を作る気か、考えたものだな」


 それからは話も変わり、ギルドマスターも用事があると言って奥に引っ込んだ。私たちは目立たないようにギルドを出て急いで商会に向かう。確か、今度定期便も行くはずだ。連日訪れた私に驚くことなく丁寧に対応してもらって、村長さんに手紙を届けてもらうようにお願いする。


「確かに預かりました。それではまたのお越しをお待ちしています」


「はい。よろしくお願いしますね」


 手紙の内容はもちろん円月輪や円盤の発案者が私だと言わないようにというお願いだ。今回は村に来た人みたいになってたけど、あんまり名前が広がるのは避けたい。


「それに私、達人じゃないからね」


「アスカ、よく出て行かなかったね。あそこで出て行ったら変に勘繰られてたよ」


「良かった~、みんなが引き留めるからなんだと思って席についててよかったよ」


「あんなタイミングで席を立ったら、何か知ってるんじゃないかと疑われただろうね。冒険者は武器には目ざといからね。アスカから話を聞いたなんて言ったら、村の奴ら絶対口を滑らしてたよ」


 まあ、村にいる時は師匠だのと呼ばれてたし、絶対勘違いされてたな。なんにせよレディトでの予定はこれで終わったし、アルバに帰るとしよう。みんなで相談して、翌日の朝に出発してアルバへ夕方には着くことになった。


「これでようやく帰れるよ」


「アスカは普段から依頼も受けてないし、そうだろうね」


「僕たちもたまにはレディト行きの依頼を受けてるし、最近じゃ寝に帰る日もあるしね」


「そうなの!?」


「ほら、護衛依頼って最低何名ってあるやつもあるだろ? 三人とか四人のパーティーだと二人ぐらい足りないことがあってさ。そういう時に割と呼ばれるんだぜ。まあ、これまでDランクだったから依頼料の配分も安かったけどな」


「そうそう。働きからしたら僕らの方が役に立ってた時も、護衛依頼って最低Cランク二人以上とかだから、強く言えなかったんだよね。これからは僕らもCランクだから、そんなこともなくなると思うけど」


「へぇ~、そうだったんだ」


 どうやら、リュートたちは一足お先に冒険者としての苦い経験を身につけたようだ。というか誘ってくれてもいいのに。そう言うと、私は細工で忙しいし、修行にもなるからだって。

 確かに私って練習とかサボッ……仕事を理由に断ってたりしたもんね。色々あった遺跡探索もこれでおしまい。新しい経験も出来たし、また一つ大人になった気がした。




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