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【3巻発売中!】転生後はのんびりと 能力は人並みのふりしてまったり冒険者しようと思います  作者: 弓立歩
アスカと遺跡探検

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訓練終了!


 オーガバトラーたちに出くわした私たちは、リンネたちを木の上に潜ませて対峙する。


《ガァァァァ》


 威嚇の咆哮とともに一気に五体のオーガが襲ってくる。


「ウィンド! 三体はこっちで持つから二体はお願いします!」


「はい!」


 風の魔法で三体を吹き飛ばし、残った二体を自分の後ろにやる。一パーティーで一体ならオーガバトラーでも大丈夫だろう。こっちはオーガバトラー一体にウォーオーガ二体だ。

 今回のバトラーは全員が剣を持っているようで、接近戦ばかりの個体だ。ウォーオーガは格闘系だから元より射程をさほど気にすることもない。これなら戦いやすい!


「ウィンドカッター!」


 風の刃を生み出して、相手に隙が出来ないか何度か試す。やはりバトラーはものともしないようだけど、ウォーオーガは傷もつくし、注意もそれた。


「今だよ、二人とも!」


《わぅ》


《わふっ》


 先にソニアが超音波攻撃でオーガたちの動きを止める。その隙にリンネが切断のスキルで爪を使って、ウォーオーガを一体片付ける。私もエアカッターで首を狙って倒す。しかし、さすがにオーガバトラーも負けていない。超音波攻撃から立ち直り、こっちに剣を……って投げてきた。


《わふっ》


 すかさずソニアが反応し、風魔法で剣の腹に圧力を加えて弾く。


「ありがと、ソニア。喰らえっ!」


 私は顔を狙って矢を射る。片目に当たり、呻きをあげているところを、ソニアが再び超音波で攻撃して最後は口に直接、風魔法を撃ちこんで倒した。


《ゴボッ》


「うわっ、えぐいなぁ。後ろは?」


 振り返って後ろを見ると、ソーズのパーティーに向かったものは半身が凍って、そこを切られていた。ランバーに向かった方は斧が深々と刺さっているけど、まだ倒れてはいないようだ。


「よしっ、止め!」


「待って!」


「えっ!」


 止めを刺そうとする人を止める。


《ガァァァァァ》


 オーガは叫び、無理に斧を引き抜くとそのまま手に持って振り下ろそうとする。しかし、出血がひどく途中で倒れた。


「び、びっくりした……」


「オーガは最後まで反撃しようとするから、無理に止めを刺しに行っちゃだめ」


 私も最初はすっごく驚いたけど、種族的に好戦的で相手を倒すことに全力を向けるんだよね。多少の攻撃は受けてなんぼみたいなところがあるから、オーガ系統は怖いんだ。


「ふぅ、二度も助けられたな。しかし、オーガの上位種がこんなにいるとは……」


「みなさん怪我はありませんか?」


「ええ、おかげで助かりました。五体のオーガ相手は我々のパーティーだけでは大変でした」


「魔法剣以外はあまり有効じゃないしね」


「全くです。貴方がそれを持っていてよかったですよ」


「それにしてもアスカ様はすごいですね。三体も同時に相手をされるなんて」


「いえ、リンネとソニアも居ましたし、オーガバトラーも一体だけですから」


「それでも三対三ですよ。私たちは四対一ですから」


「それに前回の指導員なら危なかったぜ。あいつは戦士だったからな。オーガとは相性が悪い」


「そうですね。私たちと同じCランクでしたが、魔法剣もお持ちではありませんでしたし、かなり苦労したと思います」


「みなさんCランクなんですか?」


「私のパーティーの方は私と魔法剣を持つ彼が」


「俺たちの方は俺と、こいつだ」


 そう言って、ランバーの人が指さしたのは最初に分かれた二人組の剣士の人だ。どっちも前衛がCランクなのか。そこでふと気になった。


「あれ? そっちの斥候の人は?」


「彼はDランクですよ。攻撃が得意じゃなくてCランクにはなれていません」


「そうですか。でも、いい動きですし、Cランクでもおかしくないと思うんですけどね」


 正直に言えば、一緒にCランク試験を受けたバルズさんよりよっぽど頼りになるんだけどな。


「そう言ってもらえると頑張れます」


「それじゃ、素材だけ取って埋めましょう」


 そう思って素材は取ったのだけど……。


「リンネもソニアも本当に食べるの?」


《わぅ~》


 何とリンネとソニアがオーガバトラーの肉を食べたいと言ってきたのだ。筋肉質でただでさえ堅いオーガの上位種。本当に食べられるのか怪しいけど、欲しがってることだし何とか魔法で解体して、バッグに入れる。ナイフでいけないかなと思ったんだけど、筋繊維が多く硬くて刃が入らなかった。


「本当に持って帰るんですか?」


「この反応じゃしょうがないです。普通じゃ絶対持って帰りませんけど」


「そうですよね。この硬さでは噛めませんよね」


 危機も去ったし、そこからレディトまでの帰りはゆったりとした時間だった。


「それでは町に着きましたし、ギルドまでお願いします」


「はい」


 シールさんに連れられて私たちはギルドに着いた。夕方ということもありさすがに人数も多いものの、レディトは受付自体が広いのですごく混んでいるという印象はない。


「ちょっと待っててくださいね」


 そういうと受付を素通りして、シールさんが奥に行ってしまった。


「あっ、そっちの部屋に入ってくださいね。大人数ですから」


「は~い」


「こっち?」


 みんながやや疑問に思いながら奥の部屋に入る。十人いるから別におかしくないと思うけどね。しばらくするとシールさんが男の人を連れてやって来た。


「みんな、今回はご苦労だった。シールの方から報告は簡単に受けたが、中々よい結果だったと聞いている」


「良いかと言われれば微妙ですね。サンドリザードの訓練に関してはそうですが、帰りにオーガバトラーと出会いましたし」


「その件も聞いた。災難だったな、あれに襲われればCランクのパーティーと言えど無事で済まないこともある」


「今回は運がよかった。俺たちも優秀な指導員をつけてもらえたからな」


「わたしも助かりましたよ~。先輩みたいにケガしたくないですし」


「それについても非戦闘員を現地にやるのは今回までだ。ようやく目途が付いた。来週からはCランク以上の試験担当を付けられるようにする」


「ほ、本当ですか!? それならもっと早くしてくださいよ~」


「私が出向くわけにもいかんし、調整に手間取ったんだ。しかし、職員に被害が出たのでな。急ぎ手配した」


「良かった~。密かにみんなマスターが行けばいいのにって言ってたんですよ」


「……そうか。しかし、私も鑑定持ちだからな」


「ベニーがもう少し使えたらいいんですけどね」


「鑑定持ちだと何かあるんですか?」


「ああ。ギルドの支部には必ず指定されたレベル以上の鑑定持ちが一人はいる。冒険者の功績を確実に上げるためだ。レディトぐらいになると事務方のマスターも珍しくはないが、ここに関しては私が鑑定を持っているということが大きい。それでシール、どうして私をここに?」


「報告がてら修了証とかの相談もしたいなって」


「修了証? 発行したところで、冒険者がまともに持ち歩くとは思えんが……」


「小さい冊子状にして、サンドリザードとかの魔物の情報を載せたらどうでしょうってアスカ様が……」


 私そこまで言ってないと思うんだけど。


「なるほどな。アルバでは初心者向けにガイドブックのようなものを発行していると聞くし、それの中級者向けのものか。今度打ち合わせがあるから一部貰って参考にしよう」


「それじゃ、先に情報をまとめてもらっていいですか。アスカ様お願いします」


「は、はぁ。じゃあまずは特徴から……」


「……なるほど。ここまでの情報を提供してもらえるとは。アルバでも新鋭の冒険者だけのことはある。後で修了証の部数に応じて振り込んでおこう」


「ありがとうございます」


「その他に何かあれば加えるが、最初はここに居るパーティーにまず配布しよう。一番ここが情報を得ているようだから、修正などがあれば参考に出来る」


「ありがとうございます。俺たちも助かります。今回は素材も取れましたし」


「サンドリザードの皮ですね。最近、解体師たちの方でなめすやり方を新しくしたそうで、今なら安く成型出来ますよ。アルバの解体師と協力して作ったようです。加工してもでこぼこしていたサンドリザードの革を滑らかにしてくれるみたいですよ」


「本当か! 下に着込んでいるが、鎧にごつごつ当たって気持ち悪かったんだ!」


「私もちょっと動きづらかったのよね」


「今は試験的に安くして、市場に認知されるようになったらそこそこ料金がかかると言ってましたから、早めの方がいいですよ」


「なら、すぐ行きましょう。アスカさん、今回ありがとうございました」


「いえ、私も貴重な経験が出来ました」


 ソーズとランバーのみんなはサンドリザードの革の件が気になるようで出て行った。


「さて、アスカさんは他に何かありますか?」


「アスカ様は素材をお持ちですよ。ベル草みたいなんですけど……」


「それで私を呼んだのか。では、お願いします」


 私は採取した十五本のベル草を出す。


「では……ほう、これは彼らに帰ってもらっていて正解だった。シールも見てみなさい」


「えっと……わっ! 綺麗なAランクのベル草ですね。ここまでのものを見たのは初めてかもしれません」


「違う。これはSランクのベル草だ。普通の鑑定用魔道具では分かりづらいとは思うが」


「これってSランク何ですか! 確かにたまに見るAランクとはちょっと違うような……」


「葉に露のような雫が見えるのがSランクの特徴ですよ」


「はぁ~、始めてみました」


「大きく単価が変わるから、覚えておくといい。では買取価格はと……Sが一本にAが九本、Bが五本ですね。全体的に素晴らしい。合計は金貨九枚と銀貨八枚になり、それに依頼報酬と討伐報酬で金貨十一枚です」


「じゃあ、こっちのカードの方にお願いします」


「すごいです! 金貨十枚ですよ! 私だったら震えながら受け取っちゃいます」


「あはは、魔道具の材料とか細工の仕入れで同じぐらい普段から払うので……」


「そういえばどこかの商会で細工も売っているそうですね。いやあ、才女ですね」


「ありがとうございます。では、失礼します」


 ふぃ~、不慣れな場所で疲れた。リンネたちを迎えに行こう。ギルドに連れて入るのはあまりよくないので、ギルドの入り口で待ってもらっているのだ。彼らも休みたいだろうし、さっさと帰ろう。



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― 新着の感想 ―
こりゃアルバだけでなくフィアルの街でも「アスカ指導員」が有名になってしまうね~ どんどんファンが増えて、もはや冒険者ギルドのアイドルだ
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