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【3巻発売中!】転生後はのんびりと 能力は人並みのふりしてまったり冒険者しようと思います  作者: 弓立歩
アスカと遺跡探検

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アスカ指導員


「この辺が目的地周辺ですね。では、ここからの注意点を伝えます。まずはギルドから。ひとつ、戦闘に関して指導員は補助に勤め、出来る限り手を出さないこと。これはアスカ様もそうですが、高ランクの冒険者を当てにしないということです」


「私たちだけってことか……」


「ふたつ、戦闘はパーティーごとに行い、不用意な行動は慎むこと。相手のパーティーの動きを観察するのは構いませんが、下手な手出しや嫌がらせなどは禁止です」


「まあ、当然だな」


「みっつ、負傷等に関しては冒険者側で費用や責任を持つこと」


「これも当然だわな」


「最後に、この訓練依頼で手に入れた素材は各自のものですが、ギルドはこの依頼のために指導員には報酬を、また討伐依頼も数を抑えています。無制限に受けられるわけでもありませんし、必ず訓練の成果を持ち帰ってください。以上です。何か質問は?」


「いや、十分だ」


「こっちも大丈夫だ」


「では次にアスカ様より、サンドリザードへの対処についてです。注意点があればお願いします」


「ちゅ、注意点ですか?」


 い、いきなりだなぁ。せめて準備の時間が欲しかったよ。


「まずはですね。サンドリザードは地中を移動します。これはみなさん知ってますよね?」


「あ、ああ、一応は」


「聞いただけなら……」


 どうやら中にはサンドリザードと戦ったことのない人もいるみたいだ。


「では、注意してください。地中を移動している時は音も気配もあまり感じられません。出来れば見張りは二人立ててください」


「は、はい」


「今日のところは私が探知とソニアとリンネ……二頭のウルフが手伝ってくれるので、警戒が必要になったら言いますね」


「匂いに強いウルフがいれば安心ね」


「あっ、後ですね。地中を移動してくる間は音で分かりますが、臭いは消えますからレンジャー志望の人で、匂い系のスキルがある人は特に注意してください」


 これは昔、フィアルさんに教えてもらったんだよね。知り合いのレンジャーで臭いを頼りにしすぎて怪我をした人がいるって。


「そ、そうなのか……俺、それで探そうとしてたぜ」


「後は注意ではないですが外皮が固い分、内側はそこまで強くありません。口や傷がある時はそこを集中して狙ってください。それと、地中から来る時は固まらないようにしてください。避ける先がなくなりますから。こんなところでいいですか?」


「はい。ありがとうございます。みなさんも先程聞いたことを生かして戦ってください。では、先にランバーが戦闘を行いますので、ソーズの方たちは下がってください。アスカ様は補助が出来るところで待機を」


「分かりました。そうだ! お姉さんは戦闘が出来ないので、両側にリンネとソニアをつけますね。二人とも頼んだよ」


《わぅ》


《わふっ》


 リンネたちはお姉さんの両脇を固めるように座る。どちらかでも十分だと思うけど、安心させるにもちょうどいいだろう。


「さ、触ってもいい? この子たち普通のウルフじゃないんでしょう? 私まだ見たことがないの」


 ソーズの女剣士風の人が言うので、リンネたちに確認する。


「あんまり強く触らなければ大丈夫みたいです。でも、カーム印の干し肉があると喜びます」


「カーム印? あの硬いやつか!」


「はい。残念なことにあれぐらい硬いのが好みで……」


「俺、余ってるわ」


「ちょうだい!」


 リンネとソニアは思いがけないおやつにご機嫌だ。


「おい! 俺たちはもう始めていいのか?」


「あ、すみません。準備が出来たらお願いします」


「なら、行くぞ! お前ら」


「「おお~!」」


「あっ、ソーズのみなさんはあまり騒がないようにしてくださいね。居場所がばれると地中から攻撃される危険性が上がりますから」


「は、はい。ですが、なぜ今になって?」


「私のパーティーが普段行く時はみんな知ってますから。ああやって、大声出して進むことないんです」


 討伐に行く時は情報集めが最初だもんね。出る魔物が分かってるなら、下調べは大事だし。


「それは、そうですね」


 こうして私がやや後ろについて、ランバーが先へと進んでいく。探知の方はと……おや? 早速、奥の方に五匹ぐらいいるな。ランバーの装備はと……ああ~先頭のリーダーさんは重戦士か。あれだけじゃらじゃら付いてると、気付かれちゃうな。地中に潜ったら教えてあげよう。


「どうだ?」


「いませんね。先に進みましょう」


 どうやら、斥候役の人も木の上を進むんじゃなくて、徒歩で探している様だ。でも、多分重戦士さんが動いてるから、音もよく聞こえないんじゃないかな?


 しばらく進んだところで、サンドリザード側に反応が見られた。どうやら気づいたようだ。


「みなさん。サンドリザードが気づいて地中に潜りました。対応してください」


「お、おう。場所は?」


「私では分かりません……」


 ランバーの斥候役の人はまだ居場所が掴めないみたいだ。まあ、こういうのは慣れも必要だからしょうがないよね。


「チッ! 一先ず左右に分かれる」


 重戦士の指示で二人と三人に分かれる。だけど、三人の方は斥候役と魔法使いとポーターという、素材の運搬を主にする人と後衛の人たちだ。ちゃんと地中からの攻撃を防げるかな?

 サンドリザードはと……近くにいる二人の方を狙ってるみたいだ。言いたいけど、訓練でもあるしここは出方を見てみよう。


「さて、どこから来やがる……」


 五人で辺りを警戒するものの、相手も五匹。それぞれの地中を進む音で正確な位置が分かりにくい。


「駄目だ! 何匹かいるせいで位置が分からん」


「近いのは?」


「二匹はすぐそこだ!」


「俺の方か? なら!」


 前方に盾を構えて待ち構えるリーダー風の重戦士。読み通りすぐ手前からサンドリザードが一匹攻撃を仕掛けてくる。


《ギャオォ》


「はん、その程度!」


 腕力には自信があるらしく、サンドリザードの攻撃を弾き飛ばす。だけど、奴らの狙いは……。


「リーダー! う、後ろだ!」


「なにっ!」


 続いてもう一匹が後ろから攻撃する。さすがの重鎧の守りで致命傷はないものの、一時的に戦闘不能になった。


「くっ!」


 他のメンバーも次々に現れたサンドリザードに慌てる。これはまずいかも……。


「ウィンド!」


 先に出てきたサンドリザードを弾き飛ばして、いったん相手の出鼻をくじく。


「なっ!」


「まだ三匹います。音に集中して!」


「は、はい!」


 三匹の内、二匹はこの三人を狙っている。その中間地点にもう一匹だ。サンドリザードは速攻をする時と、波状攻撃をする時に分かれる。人数が多いと波状攻撃を取ることが多い。


「下だ。来た!」


「アクアボール!」


 地中から出てきたところを、魔法が使えるメンバーが攻撃する。うまく顔に当たったので、この個体の相手はかなり楽だろう。


「次は横だ! 避けて」


《シャァァ》


 出てきたリザードの攻撃を避けると、ポーターの子が何かを投げる。それは目に当たり、この個体とも戦いやすくなった。後ろのメンバーは結構連携が出来るみたいだ。

 波状攻撃が失敗したと思った最後の一匹も地中から出てくる。戦況を確認したかったみたいだ。


「反撃だ! お前らはそのまま三匹を足止め。こっちで数を減らす!」


「「了解!」」


 起き上がった重戦士の指示のもと、メンバーは新たに動く。ポーター風の子は木を背にして最後尾に、斥候と魔法を使う人はやや前にでて並んでいる。重戦士と剣士風の人はそれぞれの獲物を構えてサンドリザードに切りかかった。


「でりゃぁぁ!」


 重戦士が恐らくオーガアクスと思われる斧を振るう。実際にオーガが持っているというものではなく、オーガの力があって初めて持てるという触れ込みの重量級の武器だ。多分私じゃ持てないな。

 その重量武器が固いサンドリザードの外皮ごと断ち切る。剣士の方は私のアドバイスを生かして、うまく口から剣を差し込んで倒したみたいだ。


「アクア」


 その間にも後衛の三人は頑張って時間を稼いでいる。


「そうそう、足元を狙って足場を悪くするの!」


「は、はいっ!」


 あっ、ついアドバイスしちゃった。これはハイロックリザード戦でフィアルさんがやってたんだよね。こうすれば踏ん張りが効かないので、そこそこ重量のある魔物には有効なのだ。その後は前衛の二人が戻ってきて各個撃破して終了だ。


「お疲れさまでした。ただいまの評価はBですね。被弾時の対応がマイナスです。アスカ様のアドバイスにもあったように、注意を怠らないようにしてください」


「おいおい、Aじゃないのかよ」


「正直に申し上げまして、アスカ様が加勢し後続を知らせたところではC評価でした。あのまま戦っていた場合は死傷に繋がりましたので。その後の戦いを加味してのB評価です」


「ちっ! あれぐらいなら何もなくても……」


「そうですか? 途中から動きが良くなったのは総数が分かったからでしょう。相手の戦力が見えるのとそうでないのとは雲泥の差ですからね」


「わぁーったよ。Bでいいぜ! ほら、素材を回収するぞ」


 重戦士の人が大きいナイフを出したので、ついあっと声をあげてしまった。


「まだなんかあんのか?」


「いやぁせっかく、肉も皮も使えるのでもうちょっと丁寧に取ってもらえたらなって……。皮も口元からなら結構楽に出来ますし」


「おっ、本当だな。これならナイフと言わず剣で一気にやれそうだ」


「あっ、尻尾は半分にしないでくださいね」


「どうして?」


「その……そのままサイズを絞って腕周りに使えるんです。武器屋の人に聞きました」


「そうだったのか……。しかし、そんなに情報をくれていいのか? こちらは助かるが……」


「えっ!? これってそういうのを教えるんじゃないんですか?」


「アスカ様。これはあくまで戦闘訓練ですので、戦いに関しての補助と注意のみです。裁量も各冒険者に任せられますから、受ける知識も偏るんですよ」


「そうだったんですね。なら、修了証という形で小さい冊子を有料で配っては? そこに注意点とかをまとめて、一定以上の知識が必ず身に付くようにするんです。それなら、冒険者の底上げになると思うんですけど……」


「それは良い考えですね。アルバのギルドマスターと話をしてもらって詰めてみます。それにしてもアスカ様は詳しいんですね」


「まあ、サンドリザードは割と倒しましたし、ハイロックリザードに比べれば断然楽ですよ!」


「は、ハイロックリザードって……」


「あんなん相手じゃ命がいくつあっても足りないぜ」


「確かに外皮は堅いし、まともに効く魔法もありませんでしたね」


「戦ったことがあるのか?」


「まあ、一回だけですけど……」


 その瞬間、時間が止まったようにみんなの動きが静止したのだった。



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