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【3巻発売中!】転生後はのんびりと 能力は人並みのふりしてまったり冒険者しようと思います  作者: 弓立歩
アスカと遺跡探検

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いざ、遺跡へ


 食事も終えて宿で休んだ私たちは翌日、早速宿の前に集合していた。


「準備は大丈夫だね。今回の目的をもう一度リーダーから」


「はい。まずは遺跡の探検これが第一。そしてリンネのお嫁さん探しです。魔物辞典の分布上だと遺跡のちょっと奥に同種の個体がいるみたいなので、探検が落ち着いたらそっちに行きます」


《わぅ》


「はぁ、贅沢なやつだよな。Cランクの冒険者に嫁探しの手伝いなんてよ」


「ノヴァ、そう言わない。アルバじゃウルフすら見かけないんだよ」


「それどころか、町の近くのウルフじゃ弱すぎて駄目なんだよね」


「そんなのあるのか?」


「うん。やっぱり野生で暮らしてきたからか、弱い相手だと気が乗らないみたいなんだ」


「まあ、これから何年も宿の警備には不安がいらないってことにしておくかね」


「それじゃ、出発です!」


 私たちはスタスタと東門を出て進んでいく。


「まずはいつもの休憩場所まで真っ直ぐですね。そこからはちょっと北側に進んでいきます」


 地図を見ながら今日の目的地の再確認だ。地図って言っても精緻なものではなく。ここにこれがあるからそこを北にとかそれぐらいのものだ。


「あたしもこっちは初めてだから頼んだよ」


「最悪迷子になっちゃったら、リンネに頼りましょう。グレーンウルフの縄張りには詳しいと思うので」


「後はブリンクベアーだね。リンネは臭い分かるかい?」


《わぅ~》


 もちろんだと返事をするリンネ。


「ティタは?」


「においじゃ、わかんない。でも、けしきでわかる」


「景色?」


「うん。ふしぜんにゆれる」


 なるほど、透明化っていってもまるっきり風景に溶け込めるわけじゃないんだ。だけど、私たちだとちょっと難しいかも。


「こりゃ、リンネとティタに期待した方がよさそうだね」


「そうですね。二人とも頼んだよ」


《わぅ》


「まかせて」


 休憩場所を越えた辺りからジャネットさんが先頭を譲り、リンネ、私、ジャネットさんの順番だ。初めて通る道だから結構緊張するな。


《わぅ》


「ん、リンネどうしたんだ?」


「その先に何かいるって言ってるみたいです」


「早くもかい。全く……」


 すぐに戦闘準備を整える。私も弓を構えて事態に備える。


 ガサガサッという音とともに現れたのはやや薄い緑色をしたウルフ種だ。確か……。


「ソニックウルフ! まずい。アスカ、風の防壁を張るんだ。あいつらは音を使う」


「はい!」


 私もおばあさんにもらった本で見たことがある。超音波攻撃をするウルフで、その声をまともに聞くと動きが鈍くなってしまうのだ。集団戦の多い草原では致命的な敵だ。


「防音結界!」


 すぐに指示通り結界を張る。運よく相手は単独なので正面に張れば大丈夫だろう。


《わぅわぅ》


 リンネが吠えて威嚇する。でも、何だか吠える視点がずれてるような……。


「アスカ、ベアー!」


「ど、どこ!?」


 ティタの言葉で目の前のソニックウルフから視線を逸らす。ティタの腕の先を見ると、かすかにだけど景色が歪んで見える。


「そこだ!」


 弓を引いて二連射する。


《ガアァァァ》


 矢が一本、左肩に当たったみたいだ。血を流しながら、すぐにこっちに向かって来る。


《アオォォォ》


 するとソニックウルフもブリンクベアーに対して超音波で攻撃する。あっちの方がやっかいだと思ったのだろうか? 超音波を受けたブリンクベアーは魔法を解かれ姿を現す。超音波の影響か魔法を使い続けられないようだ。


「今だ! ウィンドカッター」


 接近することなくブリンクベアーを倒す。


「ふぅ。退治成功かな?」


「アスカ、まだ前にいるよ」


 そうだった。まだソニックウルフがいたんだ。でも、向こうもさっきの戦闘で戦う気が失せたのか、シュッと身をひるがえしてどこかへ行ってしまった。


「行ったか……やれやれだね」


「全くだぜ。まだ草原に入って時間も経ってねぇってのに」


「ノヴァ、文句を言わずとりあえず素材だけもらっていこう。まだ、始まったばっかりだし」


「しゃあねえな」


「ああ、それなら内臓を取っておくから傷つけないでくれ」


「げっ、ジャネット食う気かよ!」


「バカ言うな。ジェーンが使いたいっていうんだよ。森じゃ意味ないけど、この辺なら魔物避けに使えるんだってさ」


「相変わらずジェーンさんは色々なものを使うんですね」


「たまにはこっちの身にもなって欲しいよ。こんな奴の内臓なんて冒険者でも持ち帰らないんだから」


 文句を言いつつもジャネットさんは袋に詰めるとマジックバッグに臓器をしまった。後は牙を取ったらすぐに埋めないと。こんな臭いのきつい魔物でも食べに寄って来ちゃうからね。サクッと埋めた後はその場を離れる。目的地まではまだ距離があるし、さっさと進まないと。


「目的の山ってあれかな?」


 しばらく進むと東の方に山があるのをリュートが見つけた。見た感じどうやらあの山を起点として、その奥に山脈が広がっているらしい。


「目的地はその山のちょっと向こうだね。ちょうど前に行った滅びた村の北にあるみたい」


「へ~、そんなことまで分かんのか。アスカはいつ地理なんて覚えたんだよ」


「覚えたっていうかここに書いてあるんだよね」


「ちょっと僕にも見せて」


 リュートにも地図を見せてあげる。


「何々。『ほぼ南には滅びた村もあります。どうですか? これを機にあなたももう一つの探検依頼に挑戦してみませんか?』だって」


「ただの宣伝じゃないか」


「しかもこれ、よく見ると手書きですね。この依頼票が何年も眠ってるって聞きましたし、担当者が二つとも片付けてくれる人を捜していたみたいです」


「はぁ、なんていうか担当者にも同情するよ」


「目的地も見つかったことだし、野営の場所でも決めるか?」


「う~ん。でも、あの山の麓までは行きたいよ」


「そうだね。この辺だと何が来るか分かんないし」


「んじゃ、もうちょっと歩くとするか」


《わぅ~》


 あくびをしながらリンネも歩いていく。草原は見晴らしの悪いところもあるし、山裾を歩いていく。この辺は低木が多いし、木々も固まっていないのでこっちの方が敵を発見しやすいのだ。

 それにこの近くはガンドンの縄張りで不用意に肉食の魔物も近寄っては来ない。ガンドンは群れでいるから、固まっている時にはそうそう手が出せないのだ。


「それにしてもこの辺は高地でもないのに木が低いですね」


「高いと魔物たちがエサとして食べられないからね。でかい鳥でも住んでりゃ違ったかもねぇ」


「そういえばほとんど鳥を見ないですね」


「山の方には何種類かいるけど草原にはいないね。山の方にいるのも大人しい奴だったと思うよ」


「そうなんですね」


 そう言いながら本を開いて確認する。この辺の山だと……サンダーバード?


「えっと、全長は六十センチぐらい。性格は温厚で、普段は草を食べる。へぇ~草食の鳥かぁ。ミネルたちと仲良くできそう」


「そいつはあんまりお勧めできないよ」


「どうしてですか?」


「そいつ、魔力だけは高い癖にろくな魔法を使えないからね。成鳥なら300ぐらいはあるはずだよ」


「魔力300ってことは毎日150もMPを削られちゃうのか。ミネルやティタと合わせて毎日350ぐらい。確かにきつそう」


 でも、飼うぐらいなら大丈夫だよね。ライズとかもいるし。


「でも、300もありゃどんな魔法でも結構な威力なんじゃないのか?」


「それがねぇ。ライトの魔法ぐらいしか使えなくて、結局は目くらまし程度しか出来ないんだよ」


「じゃあ、どうして魔力が高いって?」


「調べた時にライトの魔法を使える魔法使いが居てね。そいつの全力のライトと同じぐらいの光量だったんだと。まあ、生息地自体もこの辺の山ぐらいらしいから貴重っちゃ貴重だけどね。臆病だしすぐに逃げるけど」


「私は別に見られるだけでもいいですよ」


 そう言いながらも道を進んでいく。道と言っても整備はされてない。でも、森の中を進むと思えばまだまだいい道だ。そして一つ目の山裾を通って、ちょうど良さそうな空き地を見つけたのでそこで休むことにした。


「ティタ、水お願い」


「はい、いっぱい」


「アスカ、水が入ったらこっちに来てもらえる? ちょっと薪が足りなくて」


「はいは~い」


 食事時は私の真価を発揮する時だ。薪作りに火起こし、ティタを連れてる時は水補充と結構やることが多い。


「テントはOKだぞ」


「ありがと、ノヴァ」


「まあ、これぐらいしか俺が手伝えることないしな。でも、アスカのテントって相変わらず重いよな」


「丈夫で温度変化に強いのが売りだからね」


 テントはちょっとだけ離れたところに張った。ここは調理場に近すぎて狙われるのを防ぐためだ。そして、今日の夕食はレディトで買った食材を使うのでまだまだ豪華だ。後二、三日はこれぐらいのレベルの夕食が食べられる。


「ふぅ、明日はようやく目的地に着きそうだね」


「今日の夜を乗り切ったらね」


「またまた~、そんなに出ませんよ」


 そんな会話をしながらご飯を食べたら今日はお休みだ。テントで服を着替えて、アラシェル様に祈りをささげて眠る。ふわぁ~、今日はよく眠れそうだ。



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