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【3巻発売中!】転生後はのんびりと 能力は人並みのふりしてまったり冒険者しようと思います  作者: 弓立歩
アスカと遺跡探検

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受注と買い足し


 リンさんたちと別れた私たちは、まずギルドに向かう。依頼は終わったけど、追加報酬の件を伝えるのと今回の旅の目的である遺跡探索の依頼を受けに行くためだ。


「あら~、お久し振りです。ご依頼ですか?」


「はい。草原の遺跡探索をお願いします」


「ほう? あんたが遺跡探索をね」


 依頼を受けようと思ったら、近くの冒険者に声を掛けられた。


「そうですけど……どうしたんですか?」


「いやぁ、俺のところは廃村になったところの調査を受けてるんだ。もう一つの依頼を受けそうなやつが居るってんでね。どうだ、競争してみないか?」


「競争ですか?」


「ああ。遺跡と村。場所は違うが同じような時代のものだ。どっちが良いもんを見つけられるか競争だ」


「ヴォード。またそんなこと言って、他のパーティーを困らせてんのかい?」


「ジャネット! 久し振りだな。お前もこっちに?」


「何言ってんだい。あたしがパーティーに入ってもう大分経つだろ?」


「噂には聞いてるが、Bランクになったんだろ? ここで一つ新しいパーティーはどうだ?」


「将来性を考えればお断りだね。それにこっちの方が性に合ってるんでね。あんたこそ、その依頼はみんなと相談して受けたのかい?」


「いや、興味がわいたからな。それにリーダーってのは仲間の息抜きに変わった依頼を受けることも必要だ」


「知らないよ、草原の野営で文句を言われても」


「ジャネットさんのお知り合いですか?」


「ああ。何度かパーティーを組んだことがあるヴォードってやつだ。六人パーティーを組んでる奴さ」


「六人ですか。結構多いんですね」


 フロートも五人のパーティーだけど、フィアルさんを含めてなので実質は四人だ。六人もいると色々大変そう。


「前は八人いた時もある。パーティーって言っても出入りがあるんでな。腕のいい奴、見込みがありそうな奴は大歓迎だ」


「そんなこと言って、二人も減ったってことは駄目だったんだろ?」


「Cランクが見えてきたんで職業を確認したら、重戦士とレンジャーだった。レンジャーはもういるし、重戦士の移動速度はうちに必要ないからな」


「アスカ、あんたは他のパーティーを知らないだろうけど、大体のところはこうだからね。メンバーの入れ替えがないところは少ない。たとえ引退が無くてもね」


「せっかく知り合ったのにもったいないですね」


「お嬢ちゃんは変わってるな。知り合いだろうが何だろうが、足手まといになることが見えてるんだ。しょうがないだろう?」


「戦い方を教えてあげたりしないんですか?」


「冒険者がか? あいつらも冒険者なら自分で鍛えて当然だ。上がってこれないならそれまでってことだ。で、競争はどうする?」


「あたしは別に構わないよ。アスカは?」


「う~ん。私も別にいいですけど、どうやって勝敗を決めるんですか? 道中の魔物の素材もありますし」


「そいつは含めないな。あくまで現地で入手したやつだけだ。魔物なんて倒そうと思えばうじゃうじゃいる。それじゃ競争にならない」


「分かりました。なら、遺跡と村で発見したものだけですね」


「アスカ、受けちゃっていいの?」


「うん。だって、それぞれ何を見つけたか分かるでしょ? 珍しいものが見れるかもしれないし……」


 まあ、村の方は私たちが探索しているからよほどのことがない限り出てこないと思うけどね。


「話が分かるやつだな。じゃあ、ベットだ。それぞれが金貨一枚ずつ。俺たちの取り分はこれだけだ。周りの奴らはどっちかにかけていいぞ! 一口銀貨一枚、勝った方が受け取りだ」


「ヴォ―ド! どっちも無しでもいいのか?」


「おう! しかし、性格の悪いやつだな」


「探索依頼なんてそんなもんだ。お前にも俺たちの悲しみを味わってもらうぜ!」


 どうやら、どっちも無しといった人は探索依頼で何も見つけられなかったことがあるらしい。他人に見つけられるのは嫌なんだろうな。


「でも、賭け事なんてしていいんですか?」


「別に争ってるわけじゃないし、ギルドとしてはこれで依頼に身が入るんだ。安いもんだろ?」


「でも程々にしてくださいね~。結果が良くなくて争ったりはダメですよ~」


「分かってるぜ。だけど、ジャネット。お前らのパーティー、本当に大丈夫か? 見たところガキどもばっかりじゃないか?」


「Cランクパーティーに随分な言い草だね。あんたこそ、怪我して帰ってくるんじゃないよ」


「おいおい、そんななりでCランクパーティーかよ。ジャネットがBランクで、Dランクは何人だ?」


「高ランクのランク上げ加入は禁止されただろ? 残念ながらあたし以外は全員Cランクだよ」


 ジャネットさんの言葉でギルド内が一気にざわつく。まあ、私もアルバで色々な冒険者を見たけど、確かにノヴァたちぐらいの年齢でCランクなんてあまりいないもんね。


「そっちのちびもか?」


「ちびって……」


「うちのリーダーになんてこと言うんだい。この中じゃ、期待の新星だよ」


「ジャネットがリーダーじゃないのか?」


「なんであたしがリーダーなんだよ。向いてないだろ?」


「だが、一番ランクも高いし経験も豊富だろ?」


「アドバイスぐらいはするがね。それなら別にランクが高いやつじゃなくって務まるだろ?」


「高ランクのやつが低ランクをまとめる。分かり易くていいと思うがな」


「そういうところがあんたとは合わないんだよ。賭けのこと忘れんなよ」


「分かった。期限は……悪いがうちは遠くなるんでな。一週間後でどうだ?」


「大丈夫です。それぐらいなら予定通りです」


 元々、十日の予定で組んでたからね。


「それじゃ、お互い頑張ろう」


 ヴォ―ドさんと握手をして別れる。ちなみに冒険者の賭けは圧倒的にヴォードさんたちだ。同じCランクのパーティーと言っても、こっちはあまり知られていないし、向こうは二年以上Cランクとしてこのレディトで活動しているためだ。ギルドを出て宿に向かいながら今後のことを話す。


「本当に良かったんですかジャネットさん。僕らあっちで探索してますよ」


「リュート。勝ちは拾うもんじゃない。あっちが仕掛けてきた勝負だよ? 情報量の差ってやつさ」


「じゃあ、金貨一枚の使い道を考えようぜ」


「ノヴァの言う通りだ。何にしようかね」


「いしほしい」


「ティタ、ようやく喋ってくれたね」


「うん。まちはひといっぱい。あまりしゃべらない、ディースとやくそく」


 それで最近街中じゃ話しかけてこなかったんだ。まあ、話してるところを見られたら困るのは確かだ。ティタはアイアンゴーレムってことになってるけど、それでも小さいゴーレム自体珍しいので、結構目立つ。レディトだと街中では置物みたいに微動だにしないのだ。


「でも、それなら袋に入ってる?」


「あたま、でてもいい?」


「それぐらいならいいよ」


 正直、肩に人形を乗せた冒険者と思われるのはちょっと恥ずかしいからね。


「アスカ、どっち行ってんだい?」


「えっ、宿ですけど?」


「今回はリンネがいるんだよ。こっちの宿じゃないと」


「そういえばそうでした。食事も考えないとですね」


 屋台の料理は味が濃すぎるし、従魔用の食事を出す店もあるけど、高いんだよね。私は別に構わないんだけど、あんまり美味しくないみたいで、普段ライギルさんの食事を取ってるリンネが嫌がるのだ。


「従魔用の宿も取ったし、明日の準備だね。何か買い忘れはないかい?」


「買い忘れですか? う~ん、ポーションとかもあるし……あっ!」


 そういえばマジックポーションをミディちゃんに使ったっきりだな。買いに行こう。


 元々がマジックバッグ用の予備だけど、いつ必要になるかも分からないし、こういう時に買っておかないとね。


「じゃ、一時間後に飯で。店は当てがあるから」


「分かりました」


 ジャネットさんはレディトにいたこともあるし、ここはお任せしよう。ポーションの他にも交易中継都市ならではの保存食を買い求めた私は一時間後にみんなと合流した。

 みんなと言っても買い物にはリンネもリュートも一緒だったけどね。でも、リュートは散々だった。


「まさか、女性と間違われるなんてね……」


「おかしかったよね。最初は必死に私を守ろうとしていたんでしょ?」


「そりゃ、アスカが声を掛けられるのは当たり前だしね。でも、まさか背の高い女性が好みだったなんて……」


「最近は間違われることもなかったのにね」


「面白そうな話だね。飯を食べながら聞かせてもらうよ」


「やめてくださいよ!」


 ジャネットさんに案内されたのは見た感じ、ぼろ……古風な建物だ。店は結構大きいけど、何だか穴とかも開いてるし。


「邪魔するよ」


「おおっ! 久し振りじゃないか。噂は聞いてるぞ」


「いい噂だろうね?」


「自分の胸に手を当ててみれば分かるだろう」


「なら、いい噂だね。飯は?」


「後ちょっとだ。あっちのテーブルに座ってな」


「はいよ。んじゃ、そっちに座ろうかね」


 ジャネットさんに促されてテーブルに着く。そして運ばれてきた料理は大皿だった。それも七十センチぐらいあり、中央にはでんと肉が鎮座していて、その周りには野菜やその他のおかずが乗った大きい一枚プレートだ。


「リンネの分は?」


「そのままでも大丈夫だよ。この肉も手前のソースをかけて食べるから、そんなに味は濃くないしね」


「そうなんですね。リンネ、食べられる?」


《わぅ!》


 どうやら匂い的には合格のようだ。尻尾を振ってねだってくる。


「はいはい、ちょっと待っててね。今切り分けるから」


 まずはリンネ用に肉を切り分ける。大体、塊三つぐらいでいいかな? 野菜もきちんと横においてやる。リンネの分が終わったら私の分だ。


「ん~、美味しい。ソースが美味しいですね。それに香草ですか? いい香りがします」


「だろ? 店の感じがこんなんだから最初は避けてたんだけど、前はよく来ててさ」


「はん! 俺だって建て替えれるならやりたいけどよ。店を閉めてまでやりたくないだけだ!」


「補修ぐらいしたらどうだい?」


「それこそ、店全体に関わっちまうぜ」


「別にブロックごとに作ればいいんじゃないですか? こう……エリアを四等分とかして」


「アスカお得意の小部屋製法だな。うちで取り入れて助かってるぜ」


「なんだそりゃ?」


「建物をブロックごとに分けて、その部分ごとに作るんです。ちょっと空き地は必要ですけど、区画ごとに入れ替える形になるので、短時間で新しくできますよ」


「ほう? それなら店も新しくできるかもな。坊主、お前のところの大工なら出来るのか?」


「うん? まあな」


「よしっ! 仕事の依頼だ。いつ頃からかかれる?」


「確か今受けてる仕事は二つだから、三週間後ぐらいかな?」


「なら、それでいいから頼んどいてくれ。金ならあるんだ」


 こうして食事中に思わぬところで、大工の仕事が舞い込んだのだった。



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