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【3巻発売中!】転生後はのんびりと 能力は人並みのふりしてまったり冒険者しようと思います  作者: 弓立歩
アスカと古きもの

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夏の終わりへ


 商会を出た私たちは食事をするためにいつものお店に来ていた。


「いらっしゃいませ。ご注文は?」


「リゾットとシチューを」


「僕もそれで」


「かしこまりました。では席はあちらへ」


「はい」


 案内されるとそこはちょっと奥まった席で、すでにジャネットさんたちが座っていた。


「そっちも用事が終わったようだね」


「ジャネットさんたちは早いですね」


「まあ、行きにも見たしたったの一週間でそこまで並んでるものも変わらないしね」


「あむ、ぼりぼり」


 そうは言うものの、ティタは鉱石をぼりぼり食べているし、全く同じでもなさそうだ。


「あれかい? いやぁ珍しい石が破格で売られてるっていうからね。炎魔石っていうらしいんだけど、刀身に塗ると魔力の通りがよくなるってさ」


「でも、ティタが食べてますけど……」


「ああ、教える代償みたいなもんだね。あれでも品質の悪いところらしいよ。あたしの分はほら」


 そう言ってティタのより綺麗な塊を見せてくれる。確かに比べればこっちの方がいい品質ていうのは分かるけど……。


「ティタったら食いしん坊なんだから」


「おいしい石は珍しいし、魔力が上がることもあるんだってさ」


「へえ~、それなら仕方ないですね」


 ただ、今でさえティタの魔力は200を超えているし、上がりすぎるとそれはそれで困るんだけどな。ミネルも出産後は安定してきていて、今では魔力が徐々に上がっている。

 元々、そこまで戦闘型の種族ではないみたいだけど、Dランクの魔物ぐらいなら相手が出来るほどにはなってきた。小鳥にしては十分な強さだと思う。


「ただ、魔力供給の関係から結構持って行かれるんだよね」


 リンネも合わせると毎日180近くものMPを消費している。リンネの分が15前後だというから、ミネルとティタの消費の激しさがすごい。

 だから、ハイロックリザードとの戦闘で消費したポーションを予備で持っておきたいけど、材料がそろわないんだよね。珍しいのもあるけど、そろそろ欲しい。


「欲しいと言えば、竜眼石を付ける杖の材料だよね。オーク材でいいかなぁ」


「何言ってんだいアスカは。最近アルバで珍しい素材を集める奴がいるらしいから、そいつに頼んでシェルオークでも貰ってきな」


「へ~、そんな人がいるんですね。知りませんでした」


「俺も聞いたことあるぞ。でも、アスカぐらいのちっちゃいやつらしいんだよな」


「まさか、アスカみたいに変わった子が二人もいるわけないじゃない」


「リュートは知らないのかい? 宿で見たこともあるらしいんだけど……」


「変わった子だと、前にアスカに会いに来た子でしょうか?」


「フィーナちゃんのこと?」


「そうそう。その子ぐらいだよ」


「確かそんな名前だったね。ちっこいからか分かんないけど、結構細かい物とか薬草とかを持って来るらしい。ただ、戦えそうにないのに素材を持って来れるってみんな不思議がってるけどねぇ」


「へ、へぇ~。それは不思議なこともあるもんですね~」


「アスカ、また何か噛んでるの?」


「お食事をお持ちしました」


「ほら、そんなことよりご飯だよ。リュートも冷めないうちにどうぞ」


 タイミングよく料理が運ばれてきたので、さりげなく話題をそらしてみる。これで、追及を避けられるといいのだけど……。


「それなら俺も聞いたことあるぜ。孤児院のガキが最近リンネと誰かが出かけてるっていうんだ。詳しく聞いたら、知らないやつと一緒に外へ出かけてるらしいんだよ」


「えっ!? リンネがミーシャさんかアスカ以外の言うこと聞いてるとこ、僕は見たことないけど……」


「まあ、エステルの送り迎えはきちんとやってるみたいだし、気に入った相手にはそれなりに対応するんじゃないの」


 ジャネットさんがぽつりと呟く。まあ、言う通りリンネがフィーナちゃんを気に入ってるのが大きいみたいだ。私は会話には参加せずにご飯を食べてるだけだけど、その後も色々な話が出た。こうしてみんなの会話を聞いていると、結構街の噂にも詳しいんだなって思った。私? ほら、仕事が忙しいからね。


「で、結局知り合いなの? そうじゃないの?」


「ええ~と、良くは知らないというか、話した回数は少ないというか……」


「知ってはいるんだね」


「まあ、声を掛けたのは私ですし。知り合いの娘さんみたいな感じですかね?」


「なんだそりゃ」


「まあ、リンネがいるなら安心か。で、知り合いなら素材を持ってきてもらえばいいだろ?」


「頼むのは良いですけど、私は相場分かりませんよ?」


「それなら、ホルンさんに聞いてみたら? あの人結構、情報通だしね」


「そっかぁ。ついでだし、指名依頼にしておこうかな」


「そうしてあげな。その方が面倒もないだろ」


 杖の材料の話し合いが終わったところで、喫茶店を出る。フィーナちゃんに話すとして、先にギルドかぁ。


「そういえば、まだ素材売ってなかったね。ギルドに行くか」


「昨日はお風呂直行で外を歩けませんでしたしね」


 というわけで、久し振りにレディトのギルドへ。エヴァーシ村とかへ行くと来るけど、普通に来ただけだと、不要なものとかオークぐらいしか売るものがないから、そんなに利用しないんだよね。


「いらっしゃいませ。あら、フロートのみなさんですね~。久し振りです~」


「お姉さんもお元気ですか?」


「もちろんです。今日は買い取りですか?」


「はい。ちょっと大きいので、奥で構いませんか?」


「奥は~、大丈夫ですね。どうぞ~」


 お姉さんに案内されて解体所へ行く。


「ああ、あんたたちか。今日は何を持ってきたんだ?」


「これなんですけど……」


「これは……ブリンクベアーか。怪我はなかったか」


「はい。たまたま、存在を気付けたので」


「良かった。買取だが、皮が大銅貨八枚と牙がセットで銀貨一枚だ。割と状態が良いな。普通だと銀貨まではいかないんだぞ」


「そうなのか? っていうか皮は安いな」


「猟師や冒険者でも大柄なやつの防寒着に使われるのが主だな。それ以外だとあまり質が良くないからな。触った感じ、ちょっとぶよぶよしてるだろ。だが、肉を持ち帰らなかったのは偉いぞ! あんなものを出してみろ、ひんしゅくを買うだけだからな」


「そんなに臭うんですか?」


「ああ、干し肉にする段階で腐臭はするし、焼いても何をしても食えたもんじゃない」


「ちなみに買取価格は?」


「引き取り価格が大銅貨六枚だ」


「引き取り価格って、金がかかるのかよ」


「まあ、処分も大変でな。穴を掘って埋めるか。どこかの牧場に引き取ってもらうかだ。エサにちょっとづつ混ぜて消化してもらうんだ。ちなみに結構うまく皮を取ってるが、これも手を抜くと買取価格が変わるからな」


「強い割に本当に割に合わないんですね」


「ここまで嫌われる奴はそうそういない。他には何かあるか?」


「後はガーキャットの毛皮とかですね」


「おおっ! そっちを見せてみろほら」


 おじさんは急かすように言ってくる。


「これは見事なもんだ。血もほとんどついてねぇし、傷の場所も後で加工するところだ。一体銀貨三枚だな。こっちはふさふさの毛に滑らかな皮で、人気が高いんだよ。個体ごとに模様が違うから気に入った柄を探すのも人気でな。在庫に関わらず売れるから商人も良い値で買ってくれるんだ」


 ほくほく顔のおじさんに素材を売って再びカウンターへ。


「後は討伐報酬ですね。草原向けの討伐依頼はありませんから、基本報酬のみとなります~。え~っと、銀貨六枚ですね。やっぱり草原に行く人の討伐基本報酬は多いですねぇ~。普通はその半分もありませんよ」


「野営のたびに魔物がやってくるからね。勘弁してほしいよ」


「おかげでギルドからも討伐依頼が簡単に出せないんですよね~。出したら、結構な額になっちゃいますし、無理する人も出てくるので」


 ちなみにお姉さんの言う討伐報酬は個人ごとだ。それぐらい大量の敵を狩っていたことになる。エヴァーシ村にギルドがないことも関係してるんだけどね。


「そうだ! みなさんにいい依頼があるんですが、受けますか~」


「いい依頼? どんなのだい」


「探索依頼なんですよ。なんでも~、エヴァーシ村とレディトの境には遺跡みたいなのがあるらしくて、そこの調査です。ひょっとしたらめちゃくちゃ高価なアイテムとか、伝説の武器とかあるかもしれませんよ~」


「へぇ~、山側かい? それとも海側?」


「両方です~。海側は村跡らしいんですけど、最近まで誰も行ってくれなくて~。山側は小さい遺跡らしいんですけど、みんな入り口付近で見かけただけで行ってないんですよ~。どうですか?」


 村の方って、明らかにこの前行ったところだよね。依頼になるぐらいには知られていたのかな?


「その依頼って最近になって出したんですか?」


「おおっ、リーダーさんは興味ありですか? 実は~、長年依頼を受ける人がいなくて、三十年振りに倉庫を片付けたら出てきた依頼票なんです」


「ちなみに依頼難度は?」


「どちらもBランク推奨ですね。でも、エヴァーシ村から怪我なく帰られるみなさんならきっと大丈夫ですよ~」


「どうしましょう?」


「まあ、海側の方は無駄だろうからやめておくとして、山側ねぇ~。次まで依頼があったら受けてみるか!」


「おっ、ジャネットさんもとうとうロマンが分かるようになってきましたね」


「前は悪かったよ。じゃあ、山側の依頼でいいね」


 みんなと話し合った後で、次にレディトへ来た時に依頼があれば受けることにした。さすがに一度アルバに帰りたかったからね。


「では、ご依頼を取っておきますね~」


「えっ!? そういうのってありなんですか?」


「ありも何も~、三十年ほったらかしの依頼ですから。今更一月程度何ともありません。それより受けて頂けることが大事なのです。本当は二つとも受けていただきたいのですけど~」


「そんなに人気のない依頼なのか? 一攫千金だろ?」


「一攫千金……確かにそうですが、場所もあれなので。襲われたら、襲撃も一度で済む保証はありませんし~」


 確かにそうなんだけど、言い方があると思うんだけど……。実際に複数回襲われたし、危険な依頼なんだね。


「それに何もない可能性もありますしね~」


「えっ、そうなのか?」


「依頼を見てください~。探索依頼ですよ。なにがあるか調べてもらいたいのです」


「ちなみに発見したものは?」


「歴史的遺物以外は冒険者の方の物です。ただし、キチンとした報告書と嘘がないことが保証されないと駄目ですよ~」


「ちなみに遺物の定義は?」


「大変珍しいものですね。この近くで発見されたものだと、オリハルコンとかでしょうか? こちらが一覧です」


 はらりとお姉さんがリストをくれた。時間のある時に見ておこう。なんでもこのリストは世界共通のもので、どのギルドでも同じ条件らしい。ちなみに買取したかったら、発見者は優先的に買い取れるとのことだ。


「ただし、希望最高価格の五割増ですよ」


 それって優先権なのかと思ったのは秘密だ。




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