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【3巻発売中!】転生後はのんびりと 能力は人並みのふりしてまったり冒険者しようと思います  作者: 弓立歩
アスカと古きもの

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エヴァーシ村に帰還


 朝ごはんも食べたし、今日はもう一日村を探索する日だ。昨日は途中から祭壇に絞って調べてたから、今日は色々見ていこう。


「まずは入り口の所からだね。多分、一番危険な立地だしそんなにいいものは無いと思うけど……」


 家自体の損傷も一番大きい。柱すらほぼなく、完全に跡地って感じだ。


「リュ~ト~、そっちはどう?」


「瓦礫と食器ぐらいかな?」


「こっちは木くずばっかり。多分家具だったんだろうね」


 耐用年数どころか、手入れの一つもないから仕方ないんだろうけど、これじゃあ、ツタを刈る練習してるみたいだよ。


「駄目だ。瓦礫をどけてもなんもないぜ」


「しょうがない、次に行くとするか」


 一軒目の調査を終えて二軒目に移る。


「二軒目がここかぁ」


「どう見てもさっきと一緒だな」


 同じことの繰り返しで、成果まで一緒とは……。


「お次はと、おっ! アスカが竜眼石を見つけた家だね。ここなら何かあるかも」


 みんなの期待も自然と膨らんでいく。そして調査を開始したのだけど……。


「確かにないわけじゃないけどさ、どれもさびてんだよな」


「うん。元は良いものだったんだろうけど、基本錆びてて使い物にならないね。このブレスレットも……ほら」


 リュートがちょっと力を入れると、すぐにボロボロとちぎれてしまった。


「まあ、そこに使われてる宝石が残ってるかもしれないだろ? あったか?」


「それが、この家にあるのは多分ですけど、細かい細工物だと思うんです。このブレスレットもどうも宝石を収める台とかがなさそうなんですよね」


「魔石の類は?」


「そっちはティタが見てくれてますけど、ろくに反応がありません。ティタによれば、鉱石が取れる土地柄でもなくて、基本は外から買ってくるしかないそうです」


「やっぱり外れだったか。まあ、当たりが一個でもあればいいというところだね」


 四軒目、五軒目と行くけど、やっぱり大したものは無い。宝石というか魔石の欠片程度ならあるんだけど、正直ティタのご飯に出来る程度のものだ。細工もいい出来のものはない。


「自然の形を生かすといえば聞こえはいいけど、ようは手抜きだね」


「形も結構バラバラですし、子ども用ですかね?」


「どうだろうね。祭りに使うのかもしれないよ」


「祭りですか? でも、そういうのって綺麗なものを使うんじゃないですか?」


「そうとも限らないさ。自然信仰の所なんかはそういうのも使うよ」


 家を順番に見ていくものの、そうそういいものは無いということかな?


「こっちは銀だな。そっちは?」


「多分魔石かな? でも、僕は見たことないや」


「へ~、リュートが見たことないものかぁ。どれどれ」


 私は興味が出てきたので、リュートの方へ行って魔石を確認する。う~ん、確かに見たことないなぁ。


「ジャネットさ~ん。これ何だか分かりますか?」


「魔石かい。これは多分ディリクシルの魔石だね」


「ディリクシル?」


「ユニコーンみたいな感じの見た目なんだけど、水じゃなくて光を使う魔物だよ。珍しいけどそこまでの価値はないね」


「どうしてですか?」


「この魔石で使えるのは閃光だ。強い光で目をくらませたり出来るけど、アンデッド相手でもひるませることが出来るぐらいなのさ。浄化までは出来ない」


「じゃあ、役立たずじゃん」


「まあ、強い光で目をくらませれば人相手には十分だけどね。でも、その隙を作るより必殺の一撃を入れる方が楽だというのが大勢だね」


 うむむ、こんな所まで聖属性万能説が。ここはひとつフォローしとこう。


「でも、目くらましといっても、夜行性の魔物とか夜なら活躍できますよね?」


「ああ、まあね。強い光が味方を巻き込まなければだけど」


「それに明かりにはちょうどじゃないですか? 少ない魔力で光らせたり……」


「やけに食いつくけど、あんたの周りに光属性の知り合いは居るかい?」


「そういえばいませんね……」


「この魔石は置いといて、光魔法自体使える奴が珍しくて使い方とかもあんまり研究されていないんだよ。昔は使い手もたくさんいたらしいけど、下位属性だしね」


「下位属性?」


「水と氷の関係っていうのかね。同じ威力や大きさを出そうとしても氷の方が難しい。この時、水が下位属性。もしくは、カテゴライズした時に、より優先される属性があるもののことだ。光属性の上には聖属性があって、そっちのが回復とか多岐にわたる活躍ができるんだよ」


「へ~、珍しくても役に立たないもんなんだな」


「でも、そんな魔石がどうしてここにあるんだろうね?」


「さあね。変わった魔石だから買ったのかもね」


「役に立つと思いますけどね」


「なら、アスカ使って見なよ。あんたならうまく使いこなせるかもね」


「いや、そこまでは……」


「でも、使い道もあんまりない石だし、どうすっかね」


「そこまで言うなら使います。光が有用だって示して見せましょう」


 下位だの役立たずだのそうまで言われては、その認識を改めてもらいましょう。そうと決まれば、魔石を懐に入れる。何に使うか今から考えないとね。

 こうして、何とか成果を得た家探しも終了し、今日はおしまいだ。明日はいよいよここを出発し、エヴァーシ村に帰る。


「その前に見張りだよね。私は頭かぁ」


 昨日は魔物の襲撃がなかったけど、今日は分からない。気合入れてやらないとね。きょろきょろと目を凝らす。昨日は細工をやってたけど、ああいうときも魔法は使って探知はしてる。でも、細工とか調査でも魔法を使ってるから、今日はお休みだ。


「でも、張り詰めた感覚もないし、大丈夫かな?」


 魔物が近づくとどうしても反応みたいなのがあるんだよね。それに合わせればある程度の襲撃は防げる。隠すのがうまい魔物もいるけど、そうそういない。群れに一頭いるかどうかだ。でも、狩りともなれば単独で行動することはないから気づかないなんてことはない。


「見張りも残すところ後一時間ぐらいだ。今日も一日お疲れ様。と思ったのに……」


 こういうのは思わない方がいいみたいだ。


「みんな、敵!」


「おぅ?」


「了解!」


「やれやれ……」


 みんなが私の声で出てくる。でも、音の方向を操作したので魔物には気づかれていないはずだ。


「まだ気づかれてないのかい?」


「音は向こうに伝えてません」


「なら、サクッと追い返すか。サイズは分かるかい?」


「四足が三匹……人型三体です」


「草原で人型とは珍しいね」


「あれ?」


「どうしたのアスカ?」


「こっちに来ませんね……」


 魔法で探知してるけど、一向に対象が近づいてこないな。さっきまでは確かに来てたのに。


「ビビったのか?」


「まさか、昨日までの奴らでそんなのいなかったろ」


「あっ、この二種類で戦闘してるみたいです」


 二種類の魔物が戦闘してるのか、たまにお互いの反応が交錯している。


「でも、勝った方がこっちに来るよねこれ」


「そうだね。まとめてやっちまおう。その方が気も楽だ」


 ジャネットさんの進言で音を立てないように近づく。念のため風を操って匂いも行きにくくするように手前に風を引き戻す。ちらりと魔物の方を覗くと、ウォーオーガとローグウルフが戦ってるようだ。

 そこそこ動きの速いウォーオーガでもローグウルフの動きを捕らえるまでには至らず、対するローグウルフも体重を乗せた一撃でないと致命傷にならないので、戦いが長引いている様だ。


「どっちから行く?」


「う~ん。一撃が怖いウォーオーガですかね。ローグウルフは最近戦いましたし」


「了解。行くよリュート」


「俺は?」


「ローグウルフからアスカを守りな」


「ほい」


 リュートは自分の風魔法で、ジャネットさんは私の風魔法を使って、一気に飛び込む。


「もらった!」


 ジャネットさんがやや大振りに剣を振るうと、すんでのところでウォーオーガが攻撃をかわす。しかし、その回避した位置にリュートが槍を突き出して頭を貫く。


「まず一体!」


 急な乱入に驚いていた両者が我に返り、それぞれ襲いかかってくる。ローグウルフはどうやら体格が小さい私を見つけてこっちに来るようだ。ウォーオーガは戦いに水を差された格好で、ジャネットさんたちと対峙している。


「ウィンドカッター」


 集団で襲ってくるローグウルフに三方向から風の刃を放つ。まとまって来てくれてるから、これなら避け切れないだろう。狙い通り、避け切れずに一匹に当たり倒れる。残りの二匹をノヴァが引きつけてくれているので、チャンスを見てさらに攻撃する。


「ウィンドブレイズ」


 今度はノヴァに攻撃し終わって、着地したところへ狙いを定める。致命傷とまではいかないけど、一匹に数発当たり確実に動きが鈍くなる。


「こっちは任せろ!」


 それを見たノヴァが、もう一匹の相手をするというので、私は手負いのローグウルフへと追撃をかける。


「エアカッター」


 足元を狙って魔法を放つ。相手も必死に飛んで避けるが、そこは予測済みだ。


「アースグレイブ!」


 着地点を狙って、さらに追撃をかけとどめを刺した。ノヴァを見るとあちらもとどめを刺していた。


「ジャネットさんそっちは?」


「大丈夫だ! はぁっ!」


 ジャネットさんたちの方も終わったようで、襲撃は終わった。その後は特に何もなく夜明けを迎えた。


「おはよう。ご飯出来たよ」


「は~い」


 ちょっと眠たいけど、割と眠れたので疲れはない。リュートの作ってくれたご飯を食べて、テントを片付ける。


「さあ、凱旋と行こうじゃないか!」


「はい!」


 この村で手に入れた多くのことを持ち帰らないとね。もう誰もいない村だけど、最後に挨拶をして出発する。


「でもびっくりしたよな。絶対、空振りだと思ってたのによ」


「ええ~、ノヴァそんな風に思ってたの?」


「俺だけじゃねぇって。絶対、アスカ以外全員思ってたぞ」


「そんなことないよ。ねぇ、リュート」


「えっ、いや、実は……」


 ええっ!? 安全にリュートからいったのに。


 それからも、今回の旅について色々な話をした。収穫も多かったし来てよかったけど、結構みんな否定的だったんだな。


「もう~、みんなもっとロマンは無いの?」


「ロマンより飯が食いたいねぇ」


「あっ、それには賛成です。たんまり手に入れた稲も蒔かなきゃいけませんしね」


 美味しいものは共通財産だ。決して私が食べたいわけじゃないもん。



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― 新着の感想 ―
[一言] >この魔石で使えるのは閃光だ。強い光で目をくらませたり出来るけど、アンデッド相手でもひるませることが出来るぐらいなのさ。 >魔石を懐に入れる。何に使うか今から考えないとね  うーん、この戦…
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