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【3巻発売中!】転生後はのんびりと 能力は人並みのふりしてまったり冒険者しようと思います  作者: 弓立歩
アスカと古きもの

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到着、滅びた村

注意、ここからしばらくきつめの表現があります


「こうして無事一日目は終わったのでした。そう続けたかったのに……」


「ほら、さっさと出る!」


「はい!」


 これで二度目? 三度目だっけ? 魔物の夜襲があったのだ。バリアの魔石で被害は出てないんだけど、何が原因で破られるか分からないし、対処は必要だ。


「みんな、正面向かないで! ファイアボール」


 とりあえず、火の玉を正面に放つ。これにより、夜に馴れた魔物の視覚を狂わせられるだろう。


「1、2、3、今です!」


「OK!」


 カウント後に火を消し、そこを一気にみんなが駆けていく。相手は光の中から現れたことにびっくりしたようだ。


「ふぅ。ナイスアシスト、アスカ」


「もう寝たいです……」


「ははっ、まあそうだね。寝直すとするか」


「にしても、ジャネットの時に一回、俺の時に二回なんて、どんだけ魔物は元気なんだよ」


「あっちは夜行性だからね。僕もう寝るよ。交代したら寝れないし」


「おう、ちゃんと寝ろよリュート」


「私も寝ます。ふわぁ~」


 戦闘も終わり、それぞれテントへ帰っていく。これ以上の襲撃は勘弁だよ。何とかその後は襲撃もなく過ごせたけど、まとまった睡眠時間が取れなくて、ちょっとみんなも疲れている。


「今日は村に着いて、安全そうなら昼寝でもするか。もちろん見張りはいるけどね」


「そうしましょう。私も眠くて……」


「僕も。結局、三時間ぐらいかな寝たの」


 調査も大事だけど、身体が資本だからね。朝食を取った後、テントを片付けていざ村を目指す。二時間ほど進むと、ちらほら空き地が見えてきた。


「どうやら、結構近くに来たみたいだね。この空き地はわずかだけど、整備の跡が残ってる。人が近くにいた印だね」


「確かにこの辺、石積みの跡が見えますね。一先ず村があって安心しました」


「何だい。あれだけ言ってたのに、存在を疑ってたのかい?」


「疑うというか、やっぱり目で見るまでは安心できませんから。誰も見たことがないんですもん」


「じゃあ、このすじをまっすぐ進めばいいんだな」


《ピィ》


 ノヴァの言葉ににつられてアルナがちょっと先へ飛ぶ。


「ほら、危ないよ。戻ってきて」


 再び肩につかまるアルナ。アルナも夜には何度か起きたみたいで、いつもより大人しい。それからさらに一時間ほど歩くと、ついに村が見えた。


「あ、ありましたよ!」


「あった、けどあれは何とも……」


 確かに建造物らしき跡はあるんだけど、経年劣化が凄まじく、木の家はかろうじて柱が確認できる程度、石造りの家も風雨でボロボロだ。それにつたが伸びた家は使えなさそうだ。


「思ったよりひどいですね」


「これじゃ、村が滅びた原因も分からないね。木がこれだけ朽ちちまったら、魔物の襲撃なのか疫病なのかさっぱりだ。言い伝えを信じるしかなさそうだね」


「それで、お宝はどこだ?」


「村なら奥へ行かないと村長の家はないよ。そこ以外はまずないだろうね」


 ジャネットさんが言うには、基本小さい村はエヴァーシ村みたいに村長宅が避難所を兼任しており、倉庫もその近くか、地下にあるという。村長宅は村の顔にして、生命線なのだそうだ。


「でも、詳しいですね。実は調べてたとか?」


「何言ってんだい。あたしが村の生まれだって言ったことあっただろ? 経験だよ」


 ジャネットさんの言葉に納得した私は村の奥を目指して進んでいく。一応家の跡地も見ていくんだけど……。


「なんかあの台、他の家にもなかった?」


「そういえばそうだね。キッチンかな?」


「でも、水場は共用の井戸だけど、かまどみたいなのは手前側でしょ? 遠くないかなぁ……」


「そう言われると離すのは変だね。何か意味のあるものなのかな」


「お~い、こっちにもあるぞ」


 結局、変な台はどのご家庭にもあった。ただ、魔物に荒らされた跡があって、そこに何があったのかまでは分からない。とりあえず、村長宅らしき跡地が見つかったので、そっちへ行ってみる。他の家の調査は後回しだ。


「ここが多分そうだね。石造りでも一番規模が大きそうだ。ちょっと下がってな」


 ジャネットさんがマジックバッグから剣を取り出すと、伸びているつたを切って行く。ドアはないけど、視界が悪いので助かった。珍しくこの家は三階建てだけど、二階途中で崩落して三階部分は見る影もない。


「わずかだけど潮の香りもするし、上は浸食がひどいね」


「じゃあ、調査開始ですね」


 頑張ればテントを置くくらいは出来そうだし、何とか足場を広げてみる。私はジャネットさんから借りたナイフで、ノヴァは剣、リュートもナイフを出して邪魔なつたや草を刈っていく。


 シュパっといきなり目の前の草がバッサリと切られる。


「あっ、アルナ。風魔法は駄目。つたとかに隠れて何かあるかもしれないからね」


《ピィ……》


 手伝ってくれようとしたアルナには悪いけど、出来ることはなさそうだ。


「飛べるから三階のわずかに残ってるところとか見てもらえたらいいんだけどね。飛んでる魔物とかに見つかると危ないし……」


「なら、ティタもいく」


「本当? なら安心かな? 何かあったらすぐに下りて来てね」


《ピィ!》


 お役目が出来てアルナも嬉しそうだ。すぐにティタと一緒に飛んで行って、辺りを見回す。結果は後でティタから聞こう。私たちはその後も入り口に草を集めていく。図らずも崩落してくれていたおかげで、周りは明るくて暖かい。


「そっちはどうだい?」


「僕の方はぽろぽろ金属らしきものが落ちてますけど、なにかは分かりませんね。鉄は錆び切ってます」


「こっちは多分、食料を置いてたみたいだぜ。つぼとかばっかりだ。アスカの方は?」


「う~ん。何もないなぁ。でも、さっきあった台はここにもあったよ。大きさも同じぐらいだけど」


「同じ? そいつは変だね。その辺を調べてみるか」


「何か変ですか? むしろちゃんとあったってことでは?」


 村長だけ仲間外れじゃないってことだと思うんだけど。


「いや、他の家は大きくないからあのサイズなのは分かる。でも、ここは三階建ての村長宅だよ? それなりの大きさになってしかるべきだろう。なら答えは二つ。サイズが大きくできない理由があるか、本体が別の場所にあるかだ」


「でも、他のエリアなんてないぜ」


「地下があるだろう? この辺の床を探すよ」


 私たちは一度集まり、台の近くを探す。


「アスカ、この辺は調べたから、ごみとか砂を風で飛ばしてくれないか?」


「分かりました。みんな下がっててね。アルナ~、ティタもちょっと風が行くから気を付けてね」


《ピィ》


「わかった」


 私は小さい嵐を起こして、床にたまった砂やごみを空に飛ばす。


「これで、探しやすくなったな」


「ジャネットさん、こっちちょっと色の違う石がありますよ」


 早速、リュートが何か見つけたみたいだ。


「ふむ」


 ガンっとジャネットさんが剣を当てて、衝撃を加える。


「ん? 空洞があるね。ナイスだリュート!」


「いやぁ」


「私が見つけたかったのに……」


「ほ、ほら、地下がまだあるよ。アスカが先頭で行きなよ」


「うん!」


 その地下への道だけど、どう開けるのかが分からなかったので、発見した場所を壊すことにしたんだけど……。


「最後にちょこっとだけ台を見るかな」


 ガコン


 台の後ろに手を触れると変な音がした。そしたら、色の違う石のところが動いていく。


 ゴゴゴゴ


「アスカ、よくやった! これで面倒が一つ省けたよ」


「へへっ、任せてくださいよ」


 私はティタとアルナを呼び戻して、一緒に地下への階段を下りていく。


「うわわっ! 石がぼこぼこ、みんな気を付けてね」


「分かった」


 地下はというと長年使われていなかったので、ところどころ日の光が漏れているし、道もぼこぼこだ。地下とはいえ人が入らないとこうなっちゃうんだなぁ。


「ん? 何か踏んだ。何だろ?」


 ちょっと薄暗いので、火の魔法で照らしてみる。


「ぎゃあぁぁぁぁぁ!ほ、骨だぁぁぁあ!!」


《ピィ!?》


「うわっ! ってなんだ。ただの骨じゃん」


「ほ、骨。人骨だよ!」


「まあ、そうだね」


「み、みんな怖くないの?」


「とはいえ、割と見てるしなぁ」


「まぁね。何なら、もっと新し目のも……」


「ま、待って、その先は良いから……」


「あ、うん」


 ひ、人の骨を見慣れてるって、な、なにか呪術とかしてるの!?


「町でも外でもそこそこ見るよな。冒険者の亡骸とかさ」


「気持ちのいいもんじゃないけどねぇ。年に何回かはね」


「っていうか、アスカは見ないの」


「み、見たことないよそんなの!」


「運がいいやら悪いやら。そんなことで一々驚くんじゃないよ。本当に変なところで常識がないね」


「そんなこと言われても。慣れてないものは慣れてないんです」


「別に動きゃしないのにね。うん?」


「な、何かありました? もしかして、しゃべったとか!?」


 私があたふたしていると、ジャネットさんが骨の一部分を指さす。


「なわけないだろ。どんだけビビってるんだい。これを見なよ。恐らく足の骨だと思うけど、何かが刺さった後だね。形からすると魔物の牙だろう」


「じゃあ、こいつだけ逃げてきたってことか?」


「いや、その先にも骨らしきものが見えるから、傷を負った後、ここに避難してきたんだろう。骨も太いし、もしかすると衛兵か何かだったのかもね」


「なるほど、下りてきたところで待ち構えていたってわけですね」


「そういうことだ。ほら、奥の方の骨は小さいのもある。子どもだろう。こっちの骨は傷がない」


「ということは餓死ですか?」


「もしかしたら、扉の開け方を聞いてなかったかもねぇ。こっち側は恐らく食料の備蓄だろう。壺以外は何もないし」


「あっ、調査なら私がやります」


「はいはい。なら、腰抜かしてないでさっさと起きなよ」


「は~い」


「アスカ、びびり」


「ティタまで。ティタは平気なの?」


「うん。いっぱいみた。せんじょうとかも」


「へ~、今度話を聞かせてくれよ。ティタが見たってことは、近年起きてない国家間戦争だろ? それか、貴族の領地争いだ。興味あるね」


「私のいないところでお願いしますね」


 ティタは本当にそのままを話すから、生々しい話になりそうだしね。気を取り直して、他の部屋も見ていく。部屋自体は小さいけど、何部屋かあるようだ。奥から二番目の部屋には貴金属類もあった。中には今でも使えそうなものもあったけど、さっきの死体を見るとちょっと気が引けてしまう。


「せめて、供養してあげてからだね」


 そして、いよいよ最後の部屋だ。重い石扉を開けて部屋を見る。


「特に何もありませんね」


「いや、上にもあったあの台があるよ。それもかなり大きい」


 今までは各家十五センチぐらいだったけど、今度のは一メートルはある。手前には布らしきものもある。


「ボロボロだけどこれって……」


 何となくだけど、ムルムルや私の巫女服に似ている気がする。服をめくると、そこには銀の像があった。




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