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【3巻発売中!】転生後はのんびりと 能力は人並みのふりしてまったり冒険者しようと思います  作者: 弓立歩
アスカと古きもの

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エヴァーシ村再び


「ふわぁ~、まだちょっと眠いかも」


「ほら、しゃんとしな。もう交戦地域に入るよ」


「は~い」


《ピィ》


 アルナも何となく眠そうだ。肩につかまってはいるものの、ちょっとふらふらしてる。今日は朝の五時頃に起きて出発したは良いものの、朝早いのでみんなちょっとまだ眠そうだ。

 レディトを出てしばらくは、魔物もほぼいない地域なのでジャネットさんも多目に見てくれてたけど、ここからは頑張らないと!


「まずはちょっと魔法を使ってと……」


 うん、魔物は近くにいないみたいだ。そこから第一の休憩場所までは難なく到着した。


「ふぅ。今回は順調ですね」


「まあ、今後は分からないけどね」


「それより飯だ飯! 昨日のうちに街で買っといたんだ。楽しみだぜ!」


「それで夕方に出かけてたんだね。てっきり、おやつを買いに行ったのかと思ってたよ」


「リュート、お前も旅に慣れたんならこういう準備も怠んなよな」


「僕は普通に干し肉かな。アスカは?」


「私はね~、ドライフルーツと干し肉だよ!」


「それって安い干し肉だよね。僕の干し肉ちょっと分けようか?」


「大丈夫。今はこういうおやつみたいなのが食べたいの」


「アスカって普段はうまいもんばっか食ってる割に、そういうのも食べるよな」


「まあね。おやつとしてならこういうのも好きだからね」


《ピィ》


「アルナも欲しいって? でも、これ味が濃いからなぁ。最初からついて来てたんなら用意したんだけどね。そうだ! そこの草を食べたらいいよ。薬草だし、体にもいいよ」


 ちょっと目に入った薬草を採る。これはギルドで買取はされてないけど、すりつぶして飲むと元気が出る薬草のはずだ。漢方というか民間の知識だね。実際の効能は確認されてないから、市場でたまに見かける程度だけど。


「薬草といえば、特異調合はびっくりしたなぁ。まさか、塗料作りでも上がってるなんて。通りで結構手間のかかる割に失敗しないと思った」


 薬草に限らず、滅多に使われないような調合ならいいらしい。自作塗料はそこそこ原価がかかるから頻繁に作らないけど、シェルオーク関係のポーション以外でも使えてよかった。

 ポーションと言えばギルドの人ももう一度、ハイロックリザード戦で使ったポーションの材料を集めてくれてるけど、やっぱり集まりが悪いみたいだ。


「シェルオーク関連もだけど、ベル草もね……」


 この辺じゃ滅多に見つからないし、見つかっても品質が悪かったりして、中々いいのが手に入らないみたいだ。


「焦っても仕方ないし、のんびり待ってるけどね」


「何がのんびりだい? そろそろ行くよ」


「あっ、はい」


 休憩は終了だ。次の休憩はまた二時間ぐらい先だから、しっかりしないとね。



「と、思ってたんだけどなぁ。みんな、前方右側を警戒して!」


「おう!」


「はいよ」


「分かったよ」


 休憩所を出発して一時間ほど、やっぱりこの辺は魔物が多いらしい。大きさから考えるとウルフ種だと思うんだけど……。


「ちょっと大きいな。ローグウルフかな?」


「OK。押された振りをしてアスカたちの魔法で倒すよ」


「はい!」


 ガササッと背の高い草むらから茶色い背中が見え隠れして、ローグウルフが現れた。数は六匹。そこそこの集団だ。


《ガウゥ》


 こっちが態勢を整える前に一斉にに襲いかかってくる。それをジャネットさんとノヴァが剣で捌いてこちら側に引きつけてくる。


「よしっ! ウィンドカッター」


「ウィンドカッター!」


 私とリュートが後ろから魔法で攻め立てる。狙うは再度二人に跳びかかろうとするウルフの首だ。たちまち先鋒として向かって来ていた三匹を倒す。それを見た残りのウルフたちは一目散に逃げだした。


「ふぅ、まずは何事もなく終わったね」


「そうですね。アルナ、もう大丈夫だよ」


《ピィ……》


 突然の戦闘にアルナはまだ慣れていないみたいで、私のほほというか首筋にすり寄ってくる。


「あはは、くすぐったいよ~」


「ほら、さっさと退くよ。後続が来ても面倒だから軽く血抜きして、すぐに撤収だ」


「あ、はい」


 穴を掘って簡単な血抜きをしたら、すぐにその場を立ち去る。この草原では他にも多くの肉食の魔物が居るので、レディトへ続く森みたいにやや強い魔物を倒したところで寄ってこなくなることはない。それどころか手傷を負っていないかと、近寄ってくるのだ。


「弱肉強食というか、殺伐としてるよね」


「それが、ここで生まれたやつの知恵なんだから、ここでは正しいんだろうね」


「気が休まりませんね」


「ならさっさと村まで行こうぜ」


「そうだね。次の休憩はちょっと先にしようか。さっきの場所にも近いしね」


「は~い……」


 せっかく、後一時間で休憩だったのに先になってしまった。まあ、代わりに襲われにくくなるならしょうがないか。



「やっと休憩だよ」


 結局、あれから二時間ほど歩いて休憩となった。


「そうだね。アスカは大丈夫? 普段はそんなに歩かないでしょ?」


「大丈夫だよ。リュートこそ宿の仕事だとそこまで動かないんじゃない?」


「最近は宿以外に他の仕事もしてるから大丈夫だよ」


「他の仕事?」


「うん。まだ、街の雑用だけどランクが上がったら、暇な時に依頼も受けようかなって」


「やっぱり依頼を受ける頻度が少ないかな?」


 私が細工をするので週に一度だけだけど、元は二回だったもんね。サンドリザードの件も片付いたし、増やした方がいいのかな?


「別に僕は構わないよ。色々なパーティーや冒険者を見てみたいし、そっちはそっちでいい経験になると思うし」


「なんだよ。自分だけ抜け駆けか?」


「ノヴァは親方さんのところがあるでしょ?」


「まあな。でも、ずっと働くわけじゃないし、最近は弟子も増えて来ててな」


「そうなんだ。でも、人が増えたらノヴァのお仕事はあるの?」


「おう。外壁の修理とか新築とかも最近多くなってて、今んところは順番待ちになってる」


「外壁の修理もしてるんだね」


「うちのところは町が出来たころからあるらしいからな。建設に関わった店の一つらしい」


 鳥の巣も建てたっていうし、アルゼイン建築は結構地元の名士さんなのかもね。


「そろそろ、出発の時間だね」


「もうですか?」


「別に野営でもいいならもっと休めるけど」


「すぐ行きましょう!」


 本当に夜は見えづらいし、危ないのだ。それに今回はアルナもいる。普段夜は早くに眠っちゃうからさらに危険なんだよね。


「あれはガンドンか。まあ、今は無理に相手することもないね」


 草原の先にはガンドンがいて、食事中のようだ。気づかれているし、今は行きなので無理はしない。帰りだったらレディトに着いてすぐ売れるから、分からないけどね。

 それからもどんどん奥へと進んでいくと、だんだんと草原に木が多くなってくる。後一、二時間ほどでエヴァーシ村へ着くはずだ。


「こうやって歩いていると、ジャネットさんの言ってた道が分かるっていうのも頷けますね」


「だろ? 確かに数時間は似た景色だけど、ちょっとずつ変わってるし、何度か通れば迷わないもんなんだよ。まあ、迷ったやつは大抵、帰ってくることはないけどね」


 そこの情報はいらないかな。いや、大事なことなんだけど。確かに場所も分からず歩き詰めで、この草原の夜を迎えたら大変だとは思うけどね。


「そういや、さっきのウルフは前は夜に襲ってきたよな。あいつらいつ寝てんだ?」


「夜の方が活発だと思うけどね。昼間でも獲物が居たら襲うだろ。なんせあれだけの体だ。すぐに腹ペコになっちまうだろうしね」


 食べられる時に食べる。重要だと思うけど、この辺の魔物がみんなそんな考えだと帰りも大変そうだ。そこからの道のりもまだ時間が早かったせいか、特に魔物と出会うことはなかった。


「今回は中々よかったね。一応まだ夕方だし、日が落ちる前に村まで着いたし」


「そうですね。村も見えてきましたしもうひと踏ん張りですよ!」


 目的地が見えてくるとやっぱり力も入っちゃうな。やや足早になりながら村を目指す。


「とうちゃ~く!」


「おや、あんたたちは……」


「また世話になるよ。といっても、今回は余り連泊しないけどね」


「分かったよ。通っていいぞ」


 衛兵さんに通されて村に入る。早速、宿に行こう。


「こんばんは~」


「はい、いらっしゃい。あら、アスカちゃんたちね。久し振り!」


「はい、宿のお姉さんも元気そうでよかったです」


「ええ。あれから、冒険者がたまに来るようになったのよ。だから宿も一応毎日開けてるの。ちゃんと食事も取れるから安心してね」


 なお、宿を開ける手間があるので他の村人に仕事を手伝ってもらえるらしい。力仕事を頼めて助かってるっていっていた。


「さあ、夕飯よ」


 お姉さんに呼ばれて下りると、そこには新鮮な野菜を使った料理が並んでいた。


「いただきます」


《ピィ》


 小皿にはアルナ用の食事もあって嬉しそうだ。


「そういえば、どうしてまたこの村に? そうそう用事もないと思うけれど……」


「シャスさんに聞いたんですけど、南側に何か村跡があるらしいのでちょっと探検に。後、頼み忘れたものもあったので、そっちもちょっと」


「ふ~ん。私も小さい頃に一度だけお婆ちゃんに聞いたことあるなぁ。でも、この村の人も全く行かなくなったから、ボロボロだと思うわよ?」


「よく無くなったって分かったねぇ」


「何でも、生き残った人が僅かに居たみたい。でも、もうこの村に暮らして長いから、誰かも分からないけどね」


「ティタは何も知らないのかい?」


「そうげんからみなみ、いい、いしない」


「海辺まで行かずに諦めて北上したみたいなんです」


「じゃあ、鉱石の件は無しか。何があるやら」


「それを私たちが解き明かすんですよ!」


「はいはい」


 と言ったものの、シャスさんへの依頼があるので調査は明後日からで、明日に会いに行くことになった。ちょっぴり残念だ。



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― 新着の感想 ―
[良い点] 面白くって一気読みしてます。 [気になる点] レドゥナへの道中から、場面展開とかもなく、いきなり村近くで村到着ですか? テレポートでもしました?
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