表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【3巻発売中!】転生後はのんびりと 能力は人並みのふりしてまったり冒険者しようと思います  作者: 弓立歩
アスカと二度目の季節、初夏

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

309/495

ギルドの新制度


 岩場で出会ったパーティーのメンバーが怪我をしていたので、とりあえず怪我を治して事情を聴く。


「おおっ! 傷が塞がっていく……。回復魔法なんて久し振りだぜ!」


「前は治療院に駆け込んだ時だから、まだDランクだった頃ね。ありがとう、研修生の子?」


「研修生?」


「違うのか? 最近、この辺でサンドリザードへの対処法を学ぶために、CランクやCランク間近の冒険者を上位の冒険者が指導してるんだが……」


「あ~、そういやジュールさんに頼まれたねぇ。断ったけど」


「それじゃ、この子たちは?」


「あたしの所属してるパーティーだよ。前に言ったことあっただろ?」


「じゃあ、あなたがアスカちゃんね。ごめんなさい、研修生と間違えたりして」


「いいえ、でもよく私のこと知ってますね?」


「町じゃ有名人だもの。アルバじゃ珍しい魔物使いだし、それに私もハイロックリザードと戦った時いたのよ」


 そういえば、水魔法を使ってる人の中にいたような気もする。それで私のこと知ってたんだ。


「アスカはどこでも有名人だな~」


「やめてよ。有名になってもいいことないよ」


「へ~、本当に変わってんなぁ。俺なら有名になったら鼻高々で街を練り歩くってのによ」


「ノヴァは恥だけはさらさないようにしてよね」


「そうそう、奥でのことなんだけどさ、どんな感じだった?」


 ノヴァとリュートが漫才みたいな掛け合いをしているところにジャネットさんが質問をしてくれた。やっぱり、気になってたんだ。


「ん~、すぐに逃げてきたからあまり分からないんですが、ちょっと目立つ岩がありましたね。その周辺にみんな固まってました。あんな光景始めてみたので、そこはよく覚えてます」


「なるほどね。集会ってわけかい。にしてもよくそんなに早く、逃げの判断ができたもんだ」


 ジャネットさんが感心して言う。確かに逃げることをすぐ判断するなんて決断力のある人たちだなぁ。


「まぁ、その辺はハイロックリザードを一度見てるからな。あれがなきゃ、無駄に頑張ってたかもしれないな」


「そうね。今じゃ、どんなに頑張っても自分たちだけじゃどうしようも出来ないこともあるって思えるもの」


 そっか、素材以外は何にも残らなかったと思ってたけど、研修制度とかみんなの考え方とか、他にもいっぱい残ってたんだね。いい思い出ではないけど、あんなことでも何かの糧になったんだと思うと、ちょっとは納得できるかな?

 ケヴィンさんたちのパーティーは怪我人のことが気になるみたいで、これから一応治療院に行ってみるとのこと。


「悪いな。治してもらって何なんだが、こいつの利き手でな。心配なんだ」


「いいえ。私も本職じゃないですからその方がいいと思います」


「必ずお礼に行くからね」


 再度、お姉さんにそう言われて彼らとは別れた。


「でも、いいパーティーでしたね。見た目、治ったみたいでも心配で治療院に行くなんて」


「まあ、けじめというか、リーダーなりの責任だね。やっぱり、最終的にパーティーの命運はリーダーの判断だからね。あいつが怪我したのも、元を正せばリーダーの判断ミス。そう思ってるんだろうね」


「でもさぁ、そんなに集まってるなんて行ってみないと分かんなくねぇか?」


「そりゃそうさ。でもね、メンバーはリーダーの判断に従うし、リーダーはその行動の責任を負うんだ。見えないものでも、何かあればリーダーの責任でそれに付き合うのがメンバーの仕事だ。いつも通りの相手だけど、今日はここでやめておこう。そういうのも時には必要ってことさ」


「難しいんですね、リーダーって」


「まあ、アスカはまだまだ見習いリーダーだし、みんなに意見を聞くのが一番いいかもね」


「そうします。でも、色々なパーティーがいるんですね。回復魔法が久し振りって言ってましたし」


「そうホイホイ回復魔法が使える奴がいたら、治療院が成り立たないさ。アスカは行ったことないだろうけど、割と高いんだよ。怪我の度合いにもよるけどね」


「お世話にならないよう心がけます」


 私が運び込まれるってことは意識がないか、MPか完全に尽きてるってことだしね。


「後は嘘か本当か知らないけど、美容のために受ける人もいるみたいだね」


「美容ですか?」


「怪我を治すってんで、皮膚が綺麗になるって思ってる人がいるみたいだね。まあ、実際はどうだか知らないけど」


「でも、効果はすぐ分かるんじゃないんですか?」


「効果ってったって、そんなの本人の思い込みもあるからね。肌の老化が遅くなるっていっても、元々の体質かもしれないだろ?」


「まあ、そう言われればそうですね」


「治療院としてはそれって大丈夫なんですか?」


「いい質問だリュート。治療院は怪我の程度で金額が決まってる。もちろん町ごとに違うけどね。そういう連中は安ければいい術師が出てこないから、金を積んでくれるのさ。術師からしたら、そもそも傷を治す(てい)でやってることだから、別に効果がないって言われても知らん顔できるから、いい収入源なんだよ。高いだけに客も少ないしね」


「まあ、俺らも使うならポーションだしな」


「ポーションが大銅貨二枚ぐらいで買えても、治療院だと銀貨一枚からだもんね。すぐに治るのは良いけど、別にそこまで毎日活動しないしね」


「へ~、そんなにかかるんだ。ちなみに治療院って登録制何ですか?」


「おっ、興味が出てきたのかい? 残念ながら登録制だね。ちなみに年会費と活動奉仕期間ありだよ」


「活動奉仕期間?」


 聞きなれない言葉に首をかしげる。ちなみに話しながらも、みんなはサンドリザードの解体をしていたりする。


「要するに、人々を治すのは高尚なことだから、年に二か月は無償で治療しろってことだ。ああ、もちろん治療院でだから相手から金は貰うけどね」


「それって、体のいい無償労働じゃ……」


「そうともいうね。まあ、院の方も冒険者や病人の紹介やらなんやらで、結構金がかかるみたいだね」


「でも、年会費取ってるんでしょう?」


「そっちはあくまで、各町に所属する会員とランクの管理なんかで使われてるって話だ。だから、治療院で働くなら最低二か月はただ働きで、どっかの町に滞在しないといけないよ」


「じゃあ、いいです。なんだか普通に働いた方が楽そうです」


「ま、わざわざ治療院で働かなくても、小さい村や町なんかじゃやって行けるけどね。その代わり重労働だけどね。昼夜問わず人が来るよ」


「どっちが良いかって話ですか。なんだか、世知辛いですね」


「組織ってなるとどうしてもそうなるんだろうね。でも、貴族のお気に入りにでもなれば楽して暮らせるらしいよ」


「それこそゴメンです。やっぱり、地道に冒険者が良いですね」


「地道にねぇ……。よっと! ノヴァ、そっちは終わったかい?」


「もうちょっと! リュート、バッグに入れてくれ」


「はい、次は?」


「こっちので最後だ」


 えらくのんびりとした光景だろうけど、一応ここはまだ岩場だ。ただ、さすがに群れで返り討ちにされたから、しばらくは安全だろう。

 また、この辺にはサンドリザードより強い魔物がいないので、その死臭に惹かれる魔物はまずいない。これが弱い魔物だったら寄ってくるかもしれないけど。


「終わったぞ~」


「は~い。じゃあ、今日はこの辺で」


「そうだね。ぼちぼち収穫もあったし、帰るとするか」


 私たちは休憩がてら解体を終え、町へ帰ることにした。正直、出会った場所でも普段より巣に近づいてたし、これ以上は成果も期待できそうになかったからね。


「おっ、今日も無事に帰って来たな」


「門番さんお疲れ様です」


「おう、通っていいぞ!」


 門番さんたちとも最近はよく話すようになったし、行先も心配されなくなった。私も成長してるってことだね。


「さて、ギルドに行くとするか」


「はい!」


 ギルドへまっすぐ進んでいく。改めて街並みを見ると、まだ行ったことのない区画も結構あるんだなぁ。


「あら、お帰りなさい」


「ホルンさん、ただいまです」


「じゃあ、依頼の方を確認するわね。え~と、サンドリザードの生息調査と討伐ね。結果はどうだった?」


「はい。十匹ほどの群れと遭遇して倒しました。あと、別のパーティーの人から聞いたんですけど、岩場のちょっと奥にある大きい岩のところに、集団でサンドリザードが居たそうです」


「そうなの? じゃあ、そっちは簡単でいいからレポートを書いてくれる? 追加の報酬を出せると思うわ」


「それじゃあ、後で書いて持って行きます」


「お願いするわね。後、そのパーティーって言うのは?」


「ケヴィンのところだよ。二十匹ぐらいいて、慌てて逃げてきたらしい」


「そんなに!?」


「あっ、それさっきケヴィンさんから聞きましたよ。一応簡単に報告だけってことでしたけど……」


「そう。じゃあ、アスカちゃんたちのレポートと一緒に出すから、ちょっとまとめておいてもらえる?」


「分かりました」


「ごめんなさい、依頼の途中で。一先ず、討伐の方が金貨二枚ね。後は買取かしら」


「そうですね。ありがとうございます」


 ホルンさんに挨拶をして、解体場に行く。


「おう、アスカか。久し振りだな」


「クラウスさん、久し振りです。よろしくお願いします」


 私たちはサンドリザードを出して買取に進む。


「うむ。最近こいつは肉は値上がってるが、代わりに皮の方は大量に取れたせいで安い」


 クラウスさんの言葉通り、肉の値上がりが皮の安値と相殺されて、買取の合計はいつもと一緒だった。


「あっ、肉の方は良いところをお願いします」


「おうよ! お前らは?」


「う~ん。あたしは買取価格が上がってるからパスで」


「僕もかな」


「俺は土産にちょっとくれ」


 こうして、私とノヴァが肉を一部買って、ジャネットさんとリュートは見送ったのだった。


「それじゃあ、今日もお疲れさま」


「アスカも」


「おう! じゃあな」


 ノヴァたちとはギルドの前で別れて、私とジャネットさんは宿を目指す。


「久し振りにお土産ができました!」


「最近はこういう依頼がなかったからねぇ」


 依頼も果たせたし、冒険も堪能できた私たちは意気揚々と宿へと戻った。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ