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【3巻発売中!】転生後はのんびりと 能力は人並みのふりしてまったり冒険者しようと思います  作者: 弓立歩
アスカと最後の季節、春

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ミッションコンプリート


「ふわぁ~、あ~よく寝た」


 昨日は久し振りにお風呂にも入れたし、すっと寝れていい朝だ。


「今は何時ぐらいかな?」


 ちょっと外に出てみる。まだ薄暗いから、六時から七時前ってところかな?


「そういえばレンガはどうなったんだろ?」


 ちょっと気になったのでかまどを見に行く。


「おや、アスカさんじゃないですか。どうしたんですこんな朝早くに?」


「レンガがどうなったか気になっちゃって」


「そうですか。今はまだ冷ましている状態ですから触れませんが、良い出来だと思いますよ」


「本当ですか?」


「ええ、きっとアスカさんたちの努力のお陰ですよ。私たちもこれに負けないようなものを作らないといけませんね」


「あはは、頑張ってくださいね」


「はい。今回のレンガと家作りだけでもかなり村は助かりました。今後はこの経験を元に、村でもっと多くのことが出来るように頑張っていきたいです」


 よく見たらこの人、家づくりの時からメモ取ってた人だ。熱心にメモを取ってると思ったけど、こんな真面目な人がいるならこの村も安心だね。


「それじゃ、レンガも無事確認出来たし、私は戻りますね」


「ええ、ここは任せてください!」


 男の人と別れて宿へ戻る。朝ご飯まではもうちょっと時間があるし、ゆっくりしようかな?


《わん》


「ん? リンネどうしたの?」


 リンネが遊んで欲しそうだったので、朝ご飯までの時間は一緒に遊んで過ごしたのだった。


「あ~、食った食った」


「よく食べるわね。その調子で頑張ってね」


「おう! おばちゃんの期待に答えないとな」


 ノヴァは直接村の人と関わることが多いので、この数日で人気者になっていた。本人も楽しそうだし、この村へ来て一番嬉しいのはノヴァかもね。


「アスカ行こうぜ! 今日はいよいよ、屋根の完成と壁を作るんだからな!」


「えっ!? 屋根はもう出来たよね?」


「板に防水性の液体を塗っただけじゃねぇか。液体が剥がれたらすぐに腐っちまうし、上からもう一枚屋根を被せるんだよ。こっちはこまめに張り替えないといけないけどな」


「大変なんだね」


「まあ、こまめにって言っても数年は持つからそこまでじゃないぞ。あっ、そうそう壁の方は頼んだぜ。まだ、全部焼き終わってないだろ?」


「うん。それじゃ、朝一番にそれからやっちゃうね」


「おう! 冷めるまでの時間もあるから頼むな~」


 ノヴァは一足先に手を振りながら現場に向かっていった。


「それじゃ、僕も手伝ってくるね」


「リュートも頑張ってきてね。それじゃ、私も……」


 宿を出て一路、家横の木材置き場に向かう。板状には昨日したから後は焼いていくだけだ。


「今から板焼きするので気をつけてくださいね~」


「お~う」


 みんなに呼びかけてから板焼きを始める。残念ながら一気に焼ける数に限りがあるから、テンポ良く行かないとね。


「はい。八枚完成! じゃあ、次に移りま~す」


 焼けたらちょっと待って冷ましてから、村の人たちに運んでもらう。そうして、第二陣、第三陣と焼いていく。こっちは火加減は大事だけど、一回ごとに数分休めるし、慣れたら案外楽な作業だ。


「そうそう。そうやって下と横だけ柱から突き出させて、間は板を上から落としていくんだ」


「この溝に入れれば良いんだよな?」


「おう! こうすれば間がびっしりしまって、水も入ってこなくなるんだ。板の下側を出っ張るようにしてたらもっと良いぜ」


「なるほど。わしも何軒か建てたものだが、今はこうやっておるのか」


「ああ。簡単に潰れた方が大工としては儲かるんだけどな!」


「ノヴァ、変なこと言わないの」


「へいへい」


 ノヴァもだけど、リュートもかなり村になじんでるなぁ。私? 私はちょっと遠巻きに見られることが多いかな? 建ててる家の人からは拝まれたりしてたし。建ててるのはノヴァなんだけどね。


「アスカさん、次をお願い出来ますか?」


「はいはい、今行きま~す」


 そうだ、今度いつ大工仕事をするか分からないし、どれぐらいの火力で何分やったか書いておこう。何事も経験と記録だね。それからしばらくして、板の方も焼き終わったので私の作業は中断だ。

 レンガに関してはもっと数が必要だから、これからもっと数を焼いていくって話だし、今度来る時には色々な家が出来てると良いなぁ。


「ん? アスカいたか」


「シャスさん。こんにちは」


「ああ。いったん上は出来上がったから着けに来てくれ」


「分かりました! それじゃ、私はちょっと工房に行ってきますね」


「はい。こちらは任せてください」


 村の人に挨拶をして工房に向かう。


「うう~、何度見ても恥ずかしいなぁ……」


 何が悲しくて自分の像を前に着替えなくてはいけないのか。


「これ、きちんと後で処分してくださいよ」


「なんで? あんたが成人後もこの型は有効なんだから奥にしまっとくよ?」


「ええっ!? そんなぁ……」


「それよりほら早く着替えな!手直しが必要か見ないといけないんだ」


「はい……」


 型を着けてその上から出来上がったばかりの、鎧を着ける。


「思ったより薄いですね。それに軽い!」


「ああ、元々十分な強度のある皮だからな。その厚みで十分普通の金属鎧以上の堅さがあるよ。それと……」


「なんですか?」


「魔力を込めたら、さらに硬化出来るぞ」


「へ~、私は重武装出来る体力がないので助かります」


「んで、着け心地は?」


「バッチリです。この下に着けてるののお陰でずれませんし。でも、本当にここまで成長しますかね?」


「たぶんな。まあ、成長しなかったら調整してやるから。んじゃ、後はグローブとブーツだな。ブーツの型取りは終わってるから、多分明日か明後日には終わるぜ」


「ありがとうございます。でも、ちゃんと休んでますか?」


「ぼちぼちな、多分あんたたちよりは休んでるよ」


「良かったです。ご飯時もあんまり見ないから……」


「まあ、飯なんて寝て起きて食べてって感じだからな。決まった時間には食べなくてな」


「気をつけてくださいよ。それじゃまた明日来ますね」


「ああ、またな!」


 シャスさんと別れて再び村へ戻る。


「そっちの端は固定出来たか~」


「おう、完了だぜ!」


「んじゃ、後は塗るだけだな」


「それじゃあ、それは僕らがやりますよ」


「そうか? んじゃ頼むな~」


「ノヴァ、リュート。作業はもう終わり?」


「おう! 後は壁を全部はめ込んで、部屋の仕切りを作っていくだけだな」


 汗を拭きながらノヴァが答える。


「そっか、まだ仕切り出来てなかったんだね」


「まあ、筋交いを作って間に土を入れてくだけだけどな。見栄えもあるし後で木をはめ込むけど、さすがにそこまでやってたら日にちがかかるから俺たちはそこまでだ」


「そうなの?」


「乾燥に時間がかかるからな〜。塗るのも一回じゃ駄目だしな」


「なら、作業はほとんど終わり?」


「そうだな。二階はまだちょっと作業途中だけど、壁が出来てないとやりづらいだろうしな」


「でも、簡単な間取り図はあるんだよね?」


 間取りができてればこの人数だし、作れそうなのに。


「まあな。だけど、実際に出来たのを見ると気持ちが変わったりするから、待たないといけないんだぜ」


「そういうものなの?」


「そういうもんなんだよ」


「二人とも~、お茶しない?」


「あっ、リュート。どうしたの?」


「宿のおばさんに厨房借りたんだ。即席であまりうまく出来なかったけど、一応サンドイッチのつもり」


「お~、リュートもパン作れんのか?」


「あんまりうまく出来ないけどね。火加減とかこね方がまだ安定しなくて」


「頑張ってね! 美味しいパンが外でも食べられるの待ってるから」


「わ、分かったよ」


 うん。本人の言ってる通りサンドイッチはちょっと堅いけど、味はまぁまぁかな? それより付け合わせの野菜ジュースがすっごく美味しい。えぐみもないし、味も濃厚だ。

 ティータイムを満喫した私たちはしばらくのんびりする。考えてみれば村に来てから初めてのゆったりした時間かも?

 ひょっとしてのんびり田舎生活って忙しかったりするのかな? そんなことないよね。一抹の不安を覚えながらも自分の将来を考えてみる。


「う~ん。まだまだろくに思いつかないなぁ~」


「何が?」


「将来の生活について」


「アスカは旅に出た後、どこで暮らすか決まってるの?」


「ううん。旅に出た時に気に入ったところを見つけたら、旅が終わってから住もうって漠然と考えてるの」


「なら、アルバには戻ってこないのか?」


「ううん。きちんと戻ってくるよ。でも、住むかは分からないかなぁ。ノヴァたちは?」


 いい町だけど、なんとなくそんな感じがするんだよね。


「そっか。俺はどうすっかな~。生活出来りゃどこでも良いんだけどな」


「もっと朝きちんと起きれないと、定職に就くのは難しいね」


「うっせ~な。リュートはどうすんだ?」


「僕は……旅に出てからかな。そこで何か見つけられたら良いし、見つからなかったら町に戻るかも」


「なんだよ、アスカより適当じゃないかよ」


「そうかもね」


《わん》


「ん? どうしたリンネ」


「まだ、遊びたりないんじゃない? 村でも退屈そうだったし」


「いつもは大人しいのにね」


《わんわん》

(たまには身体を動かしたい日もあるんだよ。早くしろ)


「そうだ! 犬といったら……」


 私は近くにある木の端を持って来て加工する。


「アスカなにしてんだ?」


「ちょっと、犬と遊べるおもちゃ作り」


 木を円形に加工して、ちょっとくぼみを作って……。


「出来た~! いくよ~。えぃ!」


 私が出来たおもちゃを投げると、見事にリンネが口でキャッチした。


「なにそれ?」


「木を円盤状に加工したものだよ。さっきみたいに飛ばして遊ぶの。子どもとか犬に人気があるんだよ」


「そんなんあったのか、初めて見たぜ」


「この辺じゃ珍しいかもね。もう一回いくよ、リンネ!」


《わぅ!》


 こうして、円盤投げ大会が幕を開けたのだった。




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― 新着の感想 ―
フリスビーってどっかの会社の登録商標だから使わない方が良いかもね
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