俺のせい
黒瀬遥紀の妹の名前は黒瀬玖美となります。本編で美玖と書いてある箇所が複数ありました。現在は訂正済みですが、混乱させてしまい申し訳ございません。
クラスの視線が一斉に俺に向けられる。
クラスのやつも水上希のことを知らない人はほぼほぼいないだろう。そして、そんな人物がこうやってわざわざ先輩のクラスに来るタイプではないことも。
「え?どういう関係」「あれって1年水上さんだよな、なんでこのクラスに?」「早乙女とどういう関係?まさか・・・」
クラスメイト話し声が聞こえてくる。
焦った俺は、いち早くまずはここから脱出しなくていけないと思い、席を立つ
「ごめん、遥紀すぐ終わるからちょっと待ってて」
俺は急いで、クラスを抜け出し、クラスの前にいる水上希に迫る、
「あ!先輩本当に・・・」
「ちょ、ちょっと来て」
俺は慌てているあまり、水上さんの手を引いて、目のつかない屋上への階段の踊り場まで誘導した。
「はぁはぁ」
俺は少ししか走ってないのに、焦っていて息が上がっているが、水上さんは元気な様子で俺に話しかけてくる。
「先輩・・・手・・・」
「・・・あ、ごめん!」
違うことに意識が向いて、手を掴みっぱなしだった。
「先輩!本当にいたんですね!」
「そりゃ、あんな嘘は言わないからね。それにしても新学期そうそうクラスまで来てどうしたの?」
まさか、いじめられたとか?そうすると、俺がどうこうできる問題じゃなくなってくる。
「たまたま旅行先で会った先輩が本当に先輩なのかなーって確認しに来ただけです!」
そんなことで俺の学校生活を脅かすんじゃない。心臓止まるかと思ったわ。
「やっぱり迷惑でしたか?友達もいない私に話しかけられて」
「いやいや、そういうことじゃなくて、ちょっとクラスに来るのは目立ちすぎるかなーって。廊下とかで会ったら話しかけるくらいはいいんだけど」
「私なんて、目立たないですよ」
あなたこの学校でもトップクラスに目立ってるよ。
というか、そもそも水上希と話すようになったのも、話している姿を見られれば同級生からの誤解も解け、友達ができるだろうという目論見からだ。俺のクラスまで来たんじゃ1年のクラスは1つ下の階にあるため、他の1年生に見られなくて、誤解も解けない。
「じゃあ分かった。せめて、俺がそっちのクラスまで行くから、なにか用事あったら呼んでくれる?」
まあ何度か行けば、話したくても話しづらかったやつはいっぱいるだろうし、すぐに誤解も解けるだろう。1年のクラスなら1年生に少し誤解されるだけで、俺の学年にはそこまでダメージはない。
「わざわざ来てくれるんですか、ありがとうございます!」
「じゃあ、今日はこの辺で」
遥紀も待たせているし早く戻らなくては。
一緒にいるところをまた見られるとまずので、まず、水上さんが先に行くように誘導した。
「はい、ありがとうございました!じゃあ先に戻りま・・・そういえば、私のお願いを聞いてくれたのって先輩も私と同じであんまり友達がいなかったからですか?」
「ん?どういうこと?」
確かに友達は多いほうじゃないが、それが理由で水上さんの要求をのんだわけじゃないし、そもそも俺が友達があんまりいないことをなぜ知ってるんだ?
「先輩に会おうと思ったんですけど、先輩ってだけでどのクラスかまでは聞いてなかったので、片っ端から2年生のクラスに行って、聞いてみたんです」
「え・・・」
「最初のクラスに聞いてみたんですけど、先輩のこと知らなかったみたいで、5クラス目でようやく先輩が1年の頃クラスが一緒だった人にクラスを教えてもらえたので、私は誰一人いませんけど、先輩もあんまり友達いないのかなーって」
「俺は同じクラスに友達はいるけど、他のクラスにはあんまりいないかな・・・」
「そうですよね、やっぱり先輩はおんなじクラスにはいっぱいいますよね。すみません、私なんかと一緒にしちゃって。じゃあ、失礼します」
水上さんは、そう言って先に行ってしまった。
俺はショックのあまり膝から崩れ落ちた。
友達が少ないのがショックだったのではない。水上さんは先ほど、俺を見つけるために5つのクラスを回ったと言っていた。俺の学年は全部で8クラスあるので、俺のクラスも含めると6クラスに水上さんは俺の名前を呼びながら顔を出したことになる。
俺のクラスだけならまだなんとかなったものの、8クラス中6クラスに知られているなら俺の学校生活は終わったのかもしれない。
『終わったから下駄箱に来てくれる?』
『おっけー』
いつまでも落ち込んでもきりがないので遥紀にメッセージを送って、帰ることにした。
「びっくりしたよ、まさか水上さんがクラスまで来るなんて」
「ほんとだよ。心臓飛び出るかと思ったわ」
「司が行った後も結構クラスざわついてたぞ」
「やっぱりか、あの子が来るだけでそんなにざわつくのか」
「いや、来たのもざわついてたけど、それより司が手なんか引っ張っていくから余計にざわついてたぞ」
「あ・・・」
そういえば、クラスの前で引っ張って連れてったんだった。
ごめん、水上さん。やっぱり俺が悪かったっぽいです。
***
「ただいま」
今日は瑞希の部活もないって聞いてたし、俺はあんな事態になって、帰るのが遅くなったので、瑞希の方が先に帰ってるだろう。
でも、いつもならリビングの方からおかえりーの声が聞こえてくるのに、それが聞こえてこない。まだ、帰ってないのか?と思いながらリビングに入ると、椅子に座り、腕を組んで瑞希が待っていた。
「ねえ、水上さんって子とどういう関係?」
53話も読んでいただきありがとうございます。
今日は私がこれから頑張れれば今日の夜(日付が変わる前)頃にもう1話投稿します。
投稿されてたら心の中でいいので褒めてください。
これからも応援よろしくお願いします。




