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【祝!100万PV突破】マッサージ店でアルバイトを始めたらクラスの美女が常連になりました。  作者: 新興


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面会

 日時も順調に過ぎていき土曜日の夜、俺はこれ以上ないってくらい緊張していた。


 なぜなら明日は瑞希の母親に会う日になっているからだ。


 ただでさえ、他人の親に会うのは気まずいのだが、今回は瑞希を俺の家に泊めていることを話す手筈になっている。緊張は倍増だ。


 今は友達の家に泊まっていると伝えているらしいが、本当のことを知ったらどういう反応をされるか分からない。


 そんなわけでまだ前日だというのに俺は心臓の音が聞こえるくらい緊張していた。


「そんなに俯いて緊張してんの?」


 夕飯を済まして、優雅にコーヒーを飲みながら全く緊張していない様子の瑞希が聞いてくる。


「めっちゃしてる。瑞希はなんでそんな余裕そうなんだよ」

「私だって緊張してるよ。だからこうやってコーヒー飲んで落ち着いてるんじゃないか。司も飲む?」

「いいや、俺はいい。起きてても緊張するだけだしもう寝るわ」

「そう?おやすみー」


 瑞希は呑気な声で俺が部屋に入っていくのを見送る。絶対緊張なんてしていないな。


 部屋に入って、ベッドに横になりながら俺は明日のことを考えた。


 瑞希の母親の病状は治療を経て、回復に向かっているそうだ。退院も遠い話ではないだろう。


 母親が退院したら瑞希はどうするのだろう。この同居は母親の退院するまでという話だった。


 母親が退院するとなったら、この同居も解消される。そう考えるのが普通だろう。


 でも、俺はそんな展開を考えそうになるとなぜか他の展開を考えたくなった。


***


 気がつくと周りが眩しく、時刻を見ると10時を回っていた。


 緊張で寝れないかと思っていたが、考え事をしているうちに寝てしまっていたようだ。


 考え事をしていたのは、寝れないのを誤魔化すのも入っていたので結果オーライだ。いくら考えていたって今日どうなるかは分からない。そう考えながら部屋を開けると、瑞希はもう起きていて朝食を作っていた。


 「あ、司起きた。起きないと思って心配したよ。もうちょっとで朝ごはんできるから待ってて」


 少しすると朝食ができたようで、お皿を見ると焦げた目玉焼きができていた。料理上手の瑞希がこんなミスをするのは珍しいが誰だってミスはある。俺は焦げてたって気にしないのでそのまま食べ進めた。


「珍しいな」

「うん?何のこと?」

「目玉焼き。いつも上手なのに今日は焦げてるなって。別に焦げててもおいしいけどな」

「え!本当だ。めっちゃ焦げてるじゃん。作り直すから食べなくていいよ!」


 気づいてなかったのか。よく見ると今日の朝からずっとそわそわして落ち着きがない様子だ。

 昨日はまだ実感がなくて落ち着けていた様子だが、今日になって緊張が込み上げてきたようだ。


「気づいてなかったのかよ。このままでいいよ。焦げてたって美味いから」

「ごめんね。なんだか今日になって緊張してきちゃって」


 待ち合わせは12時で、病院まで30分ほどかかるのであと1時間ほどしたら出発しなければいけない。


 そう考えると俺まで緊張がぶり返してきたが考えないようにして朝ごはんを食べ進めた。


 瑞希と今日どのように話を進めるかを話し合うべきなんだが、どうしてもこの同居を解消するという話になりそうで俺からは切り出すことはできなかった。


 お互い朝ごはんを食べ終わって、スーツとはいかないものの割としっかりめの服装を着替えると、約束の時間まで1時間を切ったので俺達は家を出た。


 相変わらず今日は瑞希はポンコツで着替えも前後ろ反対に着ていたりして、緊張を抑えられていない様子だった。


 結局、瑞希からも今日の話はされなかった。


 病院は駅前に出ているバスで20分ほどかかる。駅前に着いて、手土産として定番のフルーツゼリーを買った後、バスに乗り込んだ。


 約束の5分前くらいに病院に到着し、病院に入ってすぐの受付で手続きをしてから病室に向かった。


 瑞希の母親は肺炎であり、周りに移る危険性があるため個別部屋だそうだ。結構込み入ったことを話すので周りに他の患者さんがいたらどうしようかと思っていたが、個別部屋なので他の患者さんに気を遣うことなく会話できる点は良かった。


 もう回復してきているため面会はできるが、一応マスクの着用は必須だった。


 前を歩いていた瑞希は病室の前に立つと、立ち止まり深呼吸をして緊張を和らげていた。


「大丈夫。しっかり話せば何とかなる。なんとかならなくても俺がなんとかさせる」


 瑞希の緊張している姿を見てとっさに出たが、何の根拠もない言葉を言ってしまった。


 こんな言葉では緊張は和らげられないと思ったが、意外にもそれを聞いた瑞希は「うん」と小さな声で言った後、覚悟を決めた顔をして、病室のドアを開けた。


「久しぶり、お母さん。お見舞いに来たよ」


 それでも緊張しているが、やわらかい声色で声をかけた。


「よく来たね。来てくれてありがとうね。私がいなくなって大丈夫だった?何か不便でも・・・あちらの方は?」


 話の途中で俺の存在に気づいた瑞希のお母さんは戸惑うように瑞希に聞いた。


 俺は瑞希から説明される前に一歩前に出た。


「初めまして。涼風瑞希さんと一緒のクラスの早乙女司と申します。現在瑞希さんと同居させていただいています」

21話も読んでいただきありがとうございます。

総合ポイント100ptを超え今では120pt到達しました。

本当にありがとうございます。

これからも精進していきますのでご愛読よろしくお願いいたします。

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