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誰か僕の姉さんを止めて下さい  作者: 東郷 珠(サークル珠道)
幸福の王子大作戦

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第四十六話 道明寺翠嵐の本気

 私は怒っている。奴らが香坂を拉致したのは、海が目当てなのだろう。それは、私じゃなくても感じる事だ。付け加えるならば、海を手に入れた後は洗脳を施して、私の情報を得たいのだろう。巧くすれば、私が協力者になるとでも考えているのだろう。


 浅はかだ!


 そんな目論見が上手く行く訳が無い! そもそも、養父やおじさんがそんな事態にはさせない! 私が手を下さなくてもな!


 それに、海を手に入れる為とは言え、香坂を狙った事も気に食わん。アレは私を好いていると言った男だ。私に好奇な視線を向ける男は存在した。でも、アレは違う。私と真摯に向き合って来たと思う。

 話し方や態度は気持ち悪かったけどな。それも、一言告げるだけで直った。それだけ、私に対して真剣だという事だ。


 それに、アレは私の部下であり、組織の仲間でもある。そんな稀有な男に手を出したのだ。許せると思うか? いや、私は絶対に許さない。


 何が何でも奴らを潰してやる。団体ごとな。


 香坂に関しては問題ない。おじさんが何とかしてくれる。そもそも、私の行動も監視されていたらしいしな。余計な事ばかりするおじさんだ。でも、それはおじさんなりの優しさなんだろう。だから、文句は言うまい。


 だからといって、『地上へ赴く時に武装をしないなんて馬鹿な真似』はやらないけどな。


 香坂の誘拐事件をおじさんに任せて私が研究所に来たのは、薬を更に強力な物にする為だ。多分、今の効力では足りないんだと思う。『僕の物は君の物』は、まだ実践では試していない。だから、想定通りの効力を発揮するかは不確かな部分が有る。だから、改良の余地が有る。


 問題は、『洗脳を解いちゃうぞ』の方だ。


 奴らは不思議な方法で団体に所属する人を洗脳した。正確にはマインドコントロールと言うのだろうけど、それだって通常ならかなりの時間を要するはずだ。だけど、私が知り得る限りでは、そんな時間は無かったはずだ。


 私が例の団体、特定非営利活動法人ヒューマニティ・リンクの異常を知った時には、職員やボランティアの人たちはまともだった。そして、諜報部隊を潜り込ませたのは団体の異常を知ってから直ぐだ。


 最初から団体に所属している人たちも変だったのか? それは考えられない。そもそも、そんな報告は無かった。ジェニファーの事だ。調査漏れなんて事は考えにくい。報告漏れはもっと考えにくい。


 そう考えると、やはり未知の方法を使ったとしか考えられない。まぁ、私なら薬を使ってチョチョイノチョイだけどな。ただ、どんな方法を使おうと、人の心を操るのは禁忌だ! 絶対にやってはならない事なんだ!


 私が『マッドサイエンティスト』と一部の人間から呼ばれているのは知っている。そんな私でも、人道にもとる行為は絶対にしない。


 何故なら、私は科学者なのだから! 


 確かに、科学は多くの人の犠牲の上で発展して来た。だからといって、それを是としてはならない。それは絶対だ。それを是としては目的を見失う。


 少し考えの論点がずれて来たな。怒りは冷静な判断力を失うとは、こういう事なのかも知れないな。それはともかくとして、問題は奴らが未知の技術を有している可能性が有る事だ。


 私の知り得ない技術。それは、今までが限界では無いはずだ。


 職員とボランティアの洗脳は解いた。しかし、更なる洗脳を施される可能性は高い。如何に養父が声高に叫んだ所で、その強制力は低いだろう。彼らが組織に完全なる従属を果たすには未だ時間が必要だ。


 だからこそ、それに対抗する措置を取らなければならない。


 洗脳やマインドコントロールと言ったものは、脳の認知機能を誤作動させる行為だ。簡単に言えば、脳が判断機能を正常に働かせない状態になる事だ。それにより、外部の意図に従わせる事が可能となる。


 言ってしまえば、それを阻害出来ればそれで良い。だから、『洗脳を解いちゃうぞ』に副次的な効果を与える。それが、今回のバージョンアップだ。名付けるならば『洗脳を解いちゃうぞパーフェクト』だな。


 名付けに関して文句は言わせん。例え海でもな。海は何かにつけて、「ネーミングセンスがどうの」と言って来る。私に言わせれば、海のネーミングセンスこそ品が無いと言えよう。海に名付けさせた事は無いけどな。


 まぁ、それと『僕の物は君の物』も完全版にしないとな。もっと強力に。それこそ、一切合切の資産を手放せる様に。

 ん? まてよ? これは、ある意味では洗脳か? いや、そんな事は無いな。私は正義の執行人だ。そんな洗脳紛いの真似をする訳が無い。


「はははっ。私とした事が馬鹿な考えをした。あの様な下劣な奴らと同列にはなりたくないものだ」


 思わず独り言を呟いてしまった。海が聞いてたら、ツッコまれる所だった。いやぁ~、危ない危ない。思わず、海が居ないか振り向いてしまった。キョロキョロと研究所内を見回してしまった。


 我ながら馬鹿っぽいな。これでは姉の威厳が無くなってしまう。厳格な姉ロールプレイをもっと徹底しないとな。普段から意識して。そうそう、その調子。

 もしかすると、笑い方も変えた方が良いかも知れんな。「はははっ」では無く、「は~っはっはぁ~」の様にな。そう言えば、養母が悪の幹部っぽい笑い方を研究してた事が有ったな。それを参考にするのも良いな。


 そう考えると、流石は養母だな。そんな所まで徹底しているのだから。いつもは、あんなに穏やかなのに、組織の中ではとても毅然としている。それが、とても悪の女幹部らしい。あれは姉の威厳に通じる所が有る。是非、参考にしなくては。


 っと、待て待て。また論点がずれ始めた。これでは、海みたいではないか。妄想をしては更に発展させていく様子。あれはあれで、見ていて楽しいのだが。私がやっては、姉の威厳が損なわれる。それだけは絶対にいかんのだ。


 そんな事を考えながらも作業の手は止めない。流石は私だ。そして、『洗脳を解いちゃうぞパーフェクト』が完成した。これを職員たちに飲ませれば、二度と洗脳にはかからない。寧ろ、洗脳された振りさえ出来る。そうすれば、作戦はもっと上手く行くだろう。


 先ずは一つ目が完成だな。後は、これを量産するだけ。そうなると本当に作業だな。そして、電話と……。ん? 電話? 誰だ? あぁ、ジェニファーか……。


「なんだ? 香坂の件は上手く行ったのか?」

「はい、お嬢様」


 それから、ジェニファーは事件の結末を話してくれた。少し残酷な事も有ったけどな、それも仕方ない事なんだろう。何故なら、彼らはルールを理解していて破ったのだから。制裁も止む無しだろう。


 後は、『僕の物は君の物完全版』だが、どうするかな? 『洗脳を解いちゃうぞパーフェクト』みたいに、吹きかけるだけにしようかな? その方がシルビアたちも使い勝手が良いだろうし。せっかくだから、効果を強力にするだけで無く、その方向でも改良を加えてみよう。


 そう言えば、薬を改良している間、香坂の事は一切忘れていたな。未だに、私の中で存在感が薄いという事だな。頑張ってアピールしたまえ。取り合えず、尿でパンツとズボンを汚した件については、勇敢なエピソードとして覚えておくから安心しろ。


 薬の改良が終わったら、後は宮司だな。あいつを動かせば、作戦はクライマックスだ。さて、ちょっと面倒だが宮司を呼び出すか。

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