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「ゴミを良くする能力」と笑われたEランクの俺、無限強化で神を超え、光の勇者を踏み潰します  作者: 限界まで足掻いた人生
第一部「復讐と奪還編」

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第48話:王国の腐敗と、膨れ上がる濁流

1. 聖なる徴収

地下都市を制圧し、地上へと進軍を開始した蓮たちの目の前に広がっていたのは、地獄のような光景だった。


王都へと続く街道沿いにある宿場町。そこでは、教会の旗を掲げた徴収部隊が、住民を広場に集めていた。


「今月の『聖税』が足りていないぞ! 金がないなら、代わりのものを出せと言ったはずだ!」


肥え太った司祭が、痩せこけた村長を杖で殴りつける。


「お、お許しください……! 不作続きで、これ以上は……」


「黙れ。神への捧げ物を拒むか? ならば、規定通り『労働奉仕』として、若い女と子供を差し出せ」


司祭が指を鳴らすと、後ろに控えていた兵士たちが、泣き叫ぶ母親から幼い娘を無理やり引き剥がした。


「嫌だ! ママ! 助けて!」


「お願いです! その子はまだ7歳です! 連れて行かないで!」


母親が兵士の足にしがみつくが、兵士はそれを煩わしそうに蹴り飛ばした。


「うるさいメス豚だな。光栄に思え。このガキは聖都の工場で、神聖な魔力電池の一部になれるんだぞ」


兵士たちは笑っていた。彼らにとって、Eランクや無能力者の命など、家畜以下の消耗品でしかなかった。


2. 生体部品の荷馬車

蓮は、広場の端に停められていた巨大な檻付きの荷馬車に近づいた。そこからは、鼻を突く異臭と、微かな呻き声が聞こえていた。


蓮が『虚空の右腕』で檻の鍵をねじ切る。


中を見た瞬間、後ろにいたリサが口元を押さえて嘔吐した。


「……ッ、これは」


そこには、人間が詰め込まれていた。だが、ただの捕虜ではない。


彼らの手足には、直接魔力を吸い出すための太い管が、皮膚を裂いて埋め込まれていた。目は虚ろで、皮膚は干からび、生きているのか死んでいるのかも分からない。


さらに奥には、身体の一部を切断され、魔導機械と無理やり融合させられた「生体部品」の成れの果てが転がっていた。


「これが、王国の正体か」


蓮の声は、怒りを通り越して、絶対零度のように冷え切っていた。


近くにいた兵士が、蓮に気づいて声を上げた。


「あ? なんだ貴様は。そこは商品だぞ、勝手に触るな……」


兵士の言葉は続かなかった。


蓮の右手が、兵士の頭を鷲掴みにしたからだ。


「商品? 違うな。これはお前たちが犯した『罪』の塊だ」


グシャリ、という生々しい音が広場に響いた。


3. 汚職の宴

「な、何者だ!?」


司祭が狼狽える。


蓮は、血濡れた手を振るいながら、広場の中央へと歩み出た。その後ろには、パラガス率いる革命軍と、完全武装したセラフィナ、リサ、フィーネが続く。


蓮は、司祭が懐に隠し持っていた帳簿を奪い取り、パラガスに投げ渡した。


「パラガス、読み上げろ」


パラガスは帳簿を一瞥し、拡声魔法を使って朗々と読み上げた。


「『本日、徴収した孤児10名。うち3名を闇ルートの奴隷商へ横流し。売上金貨50枚は、ガラルド隊長と折半』……ほう、随分と汚い金で私腹を肥やしているようですな」


その事実は、広場に集められていた村人たちを凍りつかせた。


神への奉仕だと言われて差し出した家族が、実際には彼らの遊興費のために売り飛ばされていたのだ。


「う、嘘だ! それは偽造だ! 我々は神の代行者だぞ!」


司祭が喚くが、その懐からは、横領した宝石や金貨がジャラジャラとこぼれ落ちた。


「あ……」


それを見た瞬間、村人たちの瞳から「恐怖」が消え、代わりにどす黒い「殺意」が宿った。


4. 決壊する民衆の怒り

「返せ……」


子供を奪われた母親が、石を拾い上げた。


「私の娘を……返せぇぇぇッ!!」


母親が投げた石が、司祭の額に命中し、血が吹き出した。


それが合図だった。


「殺せ! こいつらは悪魔だ!」


「俺たちの家族を食い物にしやがって!」


村人たちが一斉に雪崩れ込んだ。武器など持っていない。素手で、石で、農具で、完全武装した兵士たちに襲いかかる。


兵士たちは剣を抜こうとしたが、すでに遅かった。セラフィナとリサが、指揮系統を瞬殺していたからだ。


あとは、一方的な蹂躙だった。


長年虐げられてきた民衆の怒りは、王国軍の鎧など容易く食い破った。司祭は群衆の中に引きずり込まれ、その悲鳴すらも怒号にかき消された。


5. 膨れ上がる反乱軍

騒乱が収まった後、血まみれの広場には、呆然とする村人たちが残された。


彼らは復讐を果たしたが、同時に国に逆らったという事実に震えていた。


「こ、これからどうすれば……国軍が報復に来る……」


村長が絶望して呟く。


蓮は、荷馬車から解放され、フィーネによって治療を受けた人々の前に立った。そして、右腕を高く掲げた。


「報復? させるかよ。来るなら全員、僕がこの右腕で握り潰す」


蓮は村人たちを見渡した。


「王都へ行くぞ。この腐りきったシステムを、根元から引っこ抜く。ついて来るか、ここで震えて死ぬか。選べ」


その言葉に、最初に反応したのは、子供を取り戻した母親だった。彼女は涙を拭い、落ちていた兵士の剣を拾い上げた。


「行きます……! あんな奴らに、もう二度と奪わせない!」


「俺も行く! どうせここで飢え死にするなら、一矢報いてやる!」


一人、また一人と立ち上がる。


近隣の村からも、噂を聞きつけた人々が続々と集まってきた。Eランク、農民、元兵士の脱走兵。


かつて「ゴミ」として扱われた者たちが、蓮という「王」の元に集結し、巨大な濁流となって王都を目指し始めた。


パラガスが、満足げに笑いながら蓮に囁いた。


「蓮様。我が軍の規模は、すでに一個師団を超えましたぞ」


「ああ。だが、まだ足りない。世界の裏側へ行くには、世界そのものをひっくり返す必要がある」


蓮は、膨れ上がる軍勢を背に、遥か北に見える聖都を睨みつけた。

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