3-35 見た目で出来ない子と判断されました
~~~ ドメニコ軍事施設:東棟5階 ~~~~~~~~~
本軍事施設の南棟8階で、一人のスパイが逃げ場を失い
引き起こした自爆テロ。
テロ自体による被害はそんなに大きなものではなった
のだが、場所が悪く兵器研究エリアとあって、
実験中の発火物や爆発物が引火、誘爆したことによって、
大規模な災害へと変貌した事件である。
300名近い死傷者を出す結果となった。
現場は火の海。いつ何が爆発するか分からない状況下で、
爆発物保管庫と実験用小型発光炉も大爆発する危険が
あったことから、手が出せずにいた軍は事の成り行きを
ただただ見守るしかなかった。
そんな中、このような事態の時のために結成された
ミューミューのシルキー小隊が幸いにも
現場に居合わせたことから名が挙がり、
司令によて救出活動に従事したのである。
現在は、完全に鎮火され危険は取り除かれた。
作業は、軍と地域警備隊による共同作業がいまだ続けられており、
主に遺体の散策と瓦礫の撤去が行われている。
それと並行して、ある会議が行われようとしていた。
事故緊急対策本室が設置され、救助活動に携わった
関係者200名ほどが徴集されている。
その中には、ミューミューのシルキー小隊と共に
生死をかえりみず救助活動に専念してくれた
警備隊のABC班の姿もあった。
最前線での活動を称し、勲章を授与するとのことだ。
ミューミューは辞退を希望したのだが、
大人の事情により今回ばかりは出来ないらしい。
これまた頭の痛い話しだ。
ZATは、一般市民にも存在が知られてはいるが、
構成メンバーは公表されていない。
国の要請により、ニュース等のメディアでの公開も
禁じされているため、どのような人物なのか
ベールに包まれていた。
軍でさえも一部の人にしか知らされていない。
活躍は報道されているため、軍や警備隊の中では
あこがれの存在でもある。
その中でもミューミューのシルキー小隊とサララのミスト小隊は
特別枠扱いとされ、民間でありながら軍の中である程度の
権力を持っていることから、それを良しとしない軍の連中もいる。
その1つであるシルキー小隊がこの場にいるではないか。
建国祭の対策会議で見たという人物からの情報によると
隊長が少女だったと言う。
会議に参加していない者は、デマにもほどがあると
そんな話を信じなかった。
それは当然のことで、
ZATは警備隊のトップに位置し、その隊長なのだから
トップ中のトップということになる。
その隊長が仮にも少女のはずがない。
だれもその噂を信じる者はいなかった。
だが、この会場になぜか少女が1人いる。
どう見ても腕章がZATの隊長を示している。
ここは軍の施設だ。
子供が遊びに来れる場所ではない。
警備隊ですら入館するのに特別な許可を必要とする。
疑いようもない。
この少女は噂のZAT隊長ということになる。
ミューミューは机に座り、下を向いている。
活力が感じられず元気がない。
原因はルソンの怪我と生存者の死である。
両方ともどうしようもなく
ミューミューに非はないと言える。
現在ルソンは、病室のベッドで寝ている。
そう生きているのだ。
ルソンが発見されたときは、手がつけられない
ほどの重症で誰もが助からなと思われていた。
ミューミューが駆け付け、取り乱しながらも、
的確な応急処置が甲斐あって、なんとか命をつなき
続けることができたのだ。
今、病室で生きているのは奇跡だという。
隊長として、的確な指示を出していれば
怪我を負うことをかなったのでは?悔やんでいる。
さらにミューミューが悩ましていることは、
ルソンの今後についてだ。
完治しても以前のように体を動かすことは不可能と
診断されてしまった。
すなわちZATへの復帰ができないことを意味する。
一般の生活に支障がでないほどまでは回復できるが、
激しい運動はできないという。
ネロ(タグ)にも相談したが、同じことを言われ
ショックで胸が苦しい。
メンバーはルソンが大怪我をし
ベッドでおとなしくしてることを知っている。
だが、ルソン本人も含め、怪我の程度をまだ知らされていない。
ルソンに希望を持たせるべきか、引退勧告をすべきか
答えが見つからないでいる。
悩みの種はまだある。
生存者の救出が出来なかったものミューミューが
心を痛めている要因の1つである。
ミューミュー自信も、自分は神ではない、全員は救えない、
一人でも多く救おうという考えで行動していた。
だが、最後8階からダイブしたとき、近くに生存者が
まだ2人いたのだ。
発光炉の爆発によって、その命は奪われた。
もしかしたら他に救う方法があったかも知れない。
自分の行動は正しかったのだろうかと、自問自答している。
ミューミュー斜め前に座るロック小隊隊長が
ZATメンバーや警備隊を見る。
その光景を見て、ロック隊長は頭に血が昇った。
そして、会場全員に聞こえるよう大声で話し始める。
ロック隊長 「ZATの隊長さんが、女だったて知ってたか?」
ロック隊員1「都市伝説だと思ってましたが、
まさか事実だったとは。
子供じゃないですか。」( ^^)
ロック隊長の言葉によって、全員がミューミューに
視線が集中する。
ロワ「侮辱だ!謝罪しろ。」(--#)
ロワが血相を変えて立ち上がる。
ロック隊長も立ち上がり、にらみ合いとなる。
ミュー「ロワ!止めなさい。」( ..)
スコビィが立ち上がり、肩を叩いて落ち着かせ、
無言でロワを座らせる。
ロック隊長は立ったまま続ける。
ロック隊長 「おいおい、どうなってるんだよ。
俺達があこがれていたZATが
こんな可愛らしい集団だったとは。」
ロック隊員1「オレはこっちの隊長に怒られたいっす。」
周囲「ハハハ」
理由は分からないが、どう考えても喧嘩を売ってきている。
ロック隊長「隊長さんは高見の見物ですか?
聞くところによると大怪我した隊員が出た
そうじゃないか。
お前らもこんな隊長を持って大変だな。」
会場全員が、ロック隊長が言わんとしていることを理解した。
ミューミューの服装を見て言っているのだ。
ここへは休憩する間もなく現場から駆け付けている。
作業着は全員真っ黒でぼろぼろだ。
怪我している者もいる。
そんな中、ミューミューだけは着かえて来たのかと
思えるほど、1人だけ綺麗な状態でいる。
ミューミューは作業中、圧縮空気の防護壁で身を守り
活動してたため、衣服が汚れることはない。
また、シワが付きづらい素材であるため、新品同様に見える。
ZATの隊員と隊長が、共に行動してないというのが、
人伝えで変化し、ロックの耳に届いた時には、
隊員は現場で死と隣り合わせの作業をし、
隊長は怖くて逃げだし、安全な場所で指示を出していた
ということになっていた。
流石にそれは嘘だろうと思っていたが、少女の服装が
真実であると確信したという訳だ。
スコビィ、モエニ、ロワの3人が立ち上がる。
ミュー「喧嘩は許しません。」
ミューミューも立ち上がり、スコビィの前に腕を出し、
それ以上は止めてとジェスチャーする。
ミュー「彼が言っていることは正しいです。
私の指示ミスが隊員に大怪我を
させてしまったのは事実です。」
ロック隊長「ZATがこんなお子様集団だったとはね。」
ミュー「どう言う意味で言っているのでしょうか?
私が女だからですか?
女だと何か問題でしょうか?」
さすがに面と向かって言われると、
ミューミューも現実に戻ってきざるおえない。
悲しみから怒りへと変わって行く。
ミューミューの隊員達は、隊長の姿を見えて安心する。
それは、ルソンのことで落ち込んでいたのを知っていたから。
ロックの言葉によって活力がみなぎって来たのを感じた。
ロック隊長とミューミューが立ち並んだことで、
体格差がはっきりした。
ロック隊長は、2mと背が高くレスラーのような体格だ。
対するミューミューは175cmと女性としては
背が高い方だが腕も足も細身のモデル体型。
だれが見ても勝負は見えている。
喧嘩が始まるのかと回りがざわつき始め、
2人に目が離せない。
勝敗はすでについている。
ロック隊長は短気で喧嘩早いことで有名だ。
会場内が注目したのは、
ロックが少女相手に手を出せるかどうかだった。
ミューミューの隊員達は、止める気はなかった。
喧嘩が始まったところでロックがボコボコに
されるのは目に見えている。
それよりもルソンのことを少しでも忘れて欲しい
という願いから、心のなかでは「もっとやれ!」と
ロック隊長をけしかけていた。
短気なロック隊長でも少女を目の前にしては躊躇してしまう。
ここで少女をボコボコにするのは簡単だ。
だが仮にもZATの隊長である。
その後、どんな処分が下されるか分からない。
かと言って、このまま手を出さなければ、
腰抜けやろうというレッテルが貼られることになる。
流石に後先考えず行動してしまった自分に反省した。
だが突っ走ってしまったからには自分のポリシー的に
後戻りはできない。
成り行きに任せて突っ走るのみと腹をくくる。
ロック隊長「女がどうのこうの言うつもりはない。
ZATの隊長として適正があるのか
疑わしいと言いたいだけだ。」
ミュー 「私の何を見て適正がないと
判断したのでしょうか?」
ロック隊長「今日1日で、隊員2名人が
病院送りになったて噂だが。」
ミュー 「えぇ、事実です。
危険をかえりみず立ち向かった結果です。
尊敬にあたいする部下です。」
ロック隊長「あんた現場に居たのか?」
ミュー 「居ました。」
ロック隊長「自分の隊員と共に行動してなかったと聞いたが。
どこで何をしてたか知らんが。
あんた、隊長でいる意味あるのか?」
今回の救助活動でもZATは大活躍をし、
至るところで絶賛されているのを耳にする。
ロック隊長の勝手な思い込みなのだが、
現場で何もできない少女が何で絶賛されなければならない
とお怒りの様子なのだ。
確かにロックは最前線に居なかった。
とは言え自分も限界の救助活動をしたつもりでいる。
自分と少女の服装の汚れ具合を見れば一目瞭然だ。
自分の方が評価されるべきと言える。
ミューミューの目頭に涙が貯まる。
確かにロック隊員の言っていることは正しい。
隊長が単独行動してたら、メンバーは怪我をした。
隊長でいる意味は確かにないと。
何も言い返せない。
ミューミュー(泣いちゃダメ。
泣いたら女だからってバカにされる。)
サック隊長「ロックの隊長さんよ。言い過ぎだ。
ZATのチームは今回も素晴らしい活動を見せた。
あんたも聞いてるだろう。」
ロック隊長「負傷者を8階から投げ飛ばしたとも伺っている。
オレには思い付きもしない斬新な救出方法だ。」
サック隊長「救助した330名中、290名は
南棟8階周辺に居た人たちだ。
ZATが助け出したんだ。
お前なんか10人も救ってないだろう。
寝言いってんじゃねぇ。」
ロック隊長「オイオイ、ZATさんは最前線にいたんだ。
救助者が多いのは当然だろう。」
サック隊長「ほう、ならなぜ協力要請の時、志願しなかった。
誰かが死んでもおかしくない状況だった。
むしろ隊員全員が帰還できたことは尊敬に価する。」
ロック隊長「何お前、この女に惚れたのか?」
サックの隊員達が立ち上がる。
それを見て、ロックの隊員達も立ち上がった。
ロックとザックの体格は互角。
ザックはロックの胸くらを掴む。
隊員同士のにらみ合いも始まる。
大騒ぎになりそうな予感だ。
周囲の人たちも立ち上がり離れる。
止める気はなさそうだ。
ミュー「ありがとうございます。
でも暴力は止めてください。」
ミューミューは、2人の間に割って入り、
サック隊長にお礼を言う。
ロック隊長「何すんだ!テメー。」
ロックの右フックがサックの顔面を狙う。
サックは、状態を後ろに移動させ右フックを
避けようとする動作を見せた。
その時、ロックのパンチをミューミューが
片手で受け止め、止めて見せた。
周囲は、少女が手を出して来たから
ロックが止めたのだろうと認識する。
だが、ロックだけは驚きを隠せない。
自分のパンチが、少女の細い腕でピタリと止められたのだから。
ミューミューは素早く、ロックの手首に掴み変え。
時計の針を回すように、ロックの腕を前から後ろへと
半回転させて、腕をひねる。
ロック「痛たた。放しやがれ。」
ロックの腕は、真上に上げられ、
痛みに耐えかねて、ロックは立ったまま
お辞儀する格好となる。
ロック隊員1「隊長に何をする。」
♪バーン。
ロック隊員1は、少女を掴みかかろうとしところ、
足首に蹴りを入れられ、倒された。
そのとき複数のパイプ椅子にあたる。
ロック隊員1は、頭に血が昇る。
パイプ椅子を握り、立ち上がる。
ミューミューの隊員達はというと、
加勢する気はなさそうだ。
たとえこの場の全員が隊長に襲い掛かったとしても、
誰一人、勝てないことを知っているからだ。
ここは見守るのがベスト。
変に手出しすると、逆に隊長が動き辛くなるだけだ。
ロック隊員1は、両手にパイプ椅子を持って
少女の背後から頭部にぶつけてやろうと振り下ろす。
会場全員がざわつく。
少女は後ろ向きのまま、片手でパイプ椅子を握り
その動作を止めて見せた。
少女の後頭部に目があるとしか思えない光景だ。
少女はロックの腕を放し、振り向きざまに
ロック隊員1の腹に回し蹴りを入れる。
♪ドーン
ロック隊員1はパイプ椅子を手放し、吹き飛ぶ。
そして、2m後ろの壁に激突した。
ロック隊員1「うーー」
ロック隊員1は、激痛で立ち上がれない。
ロック隊長「貴さまー。オレの隊員に何しやがる。」
ロックは、少女を両手で抱きかかえようとするが、
ミューミューは手に持っているパイプ椅子でブロックする。
と同時にパイプ椅子を太いゴムかのようにネジ曲げて、
ロックは、両手で少女を押させ込めば、反撃できないだろう
と考えたが、気が付くと変形したパイプ椅子が
手首に絡みつき、気が付いた時には、パイプ椅子が
手錠のような役割を果たし、両腕が拘束された。
ロック隊長「痛てーな。このやろー。」
ミューミューはロック隊長の太ももに蹴りを入れられ、
痛みに耐えかねて膝まづく。
なんとも恥ずかしい光景だろうか。
大の大人が2人掛かりで、少女を襲ってコテンパンにさたのだ。
ロックは顔があげられない。
同士に笑われているような気がするからだ。
人生最大の恥ずかしめを味わっている。
今すぐにでもこの場から逃げ出したい気分だ。
だが、そんなことをしたら
自分の隊員にも笑われることとなる。
いや、既に笑われているかもしれない。
手首が痛いが、腕が外せない。
少女は、この鉄パイプをいとも簡単に捻じ曲げていたが、
自分がどんなに力を入れても変形させることができない。
見た目で判断したのが失敗だった。
少女は自分に対して恐怖するどころか
手加減して打ちのめされた感があり、
恐るべしパワーの持ち主であることも判明した。
ロックはこの少女には勝てないことを確信する。
血流が悪いのか、腕がしびれて来た。
ロック隊長「すみません。これ外してください?」
ロックの口から弱気な発言が飛び出した。
ロック隊長は、危険人物で、誰に対しても挑発てきな
態度を示し、決して怒らせてはいけなという噂が立っていた。
誰しもが威圧感を感じ下手に出ていた。
いざ蓋をあけると、今のやり取りを見て、
彼の思考はただの子供あり、あんなきゃしゃな少女に
すら勝てないはったり野郎というイメージへと変わった。
♪ウィーーン
正面の扉が開き、ドメニコ軍事施設統括長が登場した。
統括長「なんの騒ぎだ。始めるぞ。席につけ。」
ミューミューを始め、何事も無かった
かのように無言で机と椅子を整え席に付く。
統括長の目に、床に倒れている隊員が映る。
統括長「そこで倒れてキミ。何をしてる。」
ロック隊員1は、腹を押さえ、ゆっくりと席に付く。
♪ガシャガシャ。
ロックは、席に付きながら、なんとか手錠を外した。
その時、残骸が落ち、会場を響かせてしまった。
統括長「今の君と君。所属と名前を教えろ。」
統括長は自信のタグへ所属と氏名が
転送されてきたのを確認する。
統括長「お待たせしてすまん。
では状況報告と今後の方針について説明する。」




