~プロローグ~
「いくら部長の頼みと言えど、彼女は譲れません。その見合い話、取り下げてください!」
仕事が一段落した、ある春のうららかな午後。
取引先であるF社営業部の阿川部長が来訪するということで、お茶を出すために私は部長が待つミーティングルームへと向かった。
本来のお相手である楠瀬課長がこちらに来るまで、いつものように他愛のない話で場を繋ごうとしていた。
だが部長から見合い話の日程を切り出され、戸惑いはあるもののありがたいお話しに頷こうとした瞬間、楠瀬課長が乱入してきた。
そして課長は私の肩を左腕で抱き寄せたまま、部長の胸ぐらを掴む勢いで詰め寄っている。
いつでも落ち着いた物腰で、慌てた姿など見せた事のない部長が忙しなく目を白黒させ、そんな部長に人当たりがよく、物静かで有名な楠瀬課長が尚も何やら言い喚いている。
理解不能な光景が、広くはないミーティングルームで繰り広げられていた。
思考回路がパンクして声をかけることも出来ない私の目の前で、部長と課長が(主に課長の一方的な感じではあるが)言い合っている。
あの……、込み入っているところを大変恐縮ですが、質問させてください。
私はどうして楠瀬課長に抱きしめられているのでしょうか?
●タンポポの更新がちょっと止まっておりますので、その代わりと言ってはアレですが、ある程度書き纏めてある新しい作品を放り込みます。こちらも楽しんでいただけると嬉しいのです。
●タンポポとは違ってコメディ要素はありませんが、クスッと笑えるポイントはいくつかあるかと。
すみません、どシリアスが書けない体質なんです(爆)




