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【Side】使用人は限界だった

 デジョレーン子爵家にて。

 民間人からスカウトされた使用人は、泥水で水分を補うような過酷な労働をさせられていた。

 すでに彼女は精神的にも肉体的にも限界だった。


「はぁ……、はぁ……、奥方さま。部屋の掃除が終わりました」

「遅すぎるわよ! これじゃあアンタの休憩はなしね。次の仕事をしてもらわないと」


 マルレットはベッドでだらけながら、綺麗に片付いた部屋を見渡す。

 フィアラのときのように、満足のいくほどまでは綺麗になっていない。


 マルレットは、ボルブから使用人には厳しくしたほうが良いと言われていた。

 新たな使用人の仕事が遅いため、厳しくするどころか怒り狂い、もはやフィアラに対する扱いと変わらなかったのだ。


「お願いです。少しだけでも休憩をいただけませんか……? 体力の限界で」

「なんて情けない女なのかしら。アンタまだ若いんでしょ?」

「今年で十四になります」


 マルレットはさらに機嫌が悪くなった。

 フィアラと同い年だと知っただけで嫌気がさすほどなのである。


「その世代の女はどいつもこいつもクズばかりなのかしらね。アンタはなんで使用人なんかになったのよ!?」

「そ、その……。私は捨てられの身でして……。でも捨てられるまでの間は、家の家事や料理を毎日強要させられていたので、使用人ならばなんとかやっていけるかと思ったのですが……」

「ふん。全然ダメね。天下の子爵家には全く見合ってないもの。今後、もっと厳しくしていくからしっかりついてきなさいよ!」


 マルレットは文句しか言わなかった。

 使用人の生き様を聞いた途端、なにをしても逃げることはできないだろうと確信したからである。


 だが、使用人は自分の体力や限界はどの程度なのかは把握している。

 この家で働き続けたらいつか倒れて取り返しのつかないことになると、早くも気づきはじめていた。


「掃除が終わったのだから、次はミミを満足させなさい。そのあとは食事の準備をしてから、私の部屋をもう一度掃除よ」

「今綺麗にしたはずですが……」

「私のスローライフを満喫するためには、常に綺麗でなくてはならないのよ! それに、時間がたてばゴミも出るし部屋も汚れるわ!」

「は……はい……」


 泣きながらも使用人はこの日、なんとか作業を終わらせようと頑張っていた。

 だが翌日、事態は変わる。


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