第二の戦い
無事夜を明かすことができて、新たに馬車を捕まえて国境からの脱出を目指していた。
ガタガタと揺れる馬車の中、俺はぼうっと外を眺めている。
見慣れない景色。
きっと、追放されなければ見ることができなかったものだ。
ここまで来ると彼らには感謝しなければいけないかもな。
……さすがに冗談だけど。
「わぁ! 動物たちが走っています!」
「本当だ! 可愛いー!」
二人はどうやら羊たちが走っているのを見て楽しんでいるようだ。
俺もちらりと見てみるが、なかなかに面白い景色である。
きっと、ここまでの辺境でないと見ることができなかったものだ。
しばらくのんびりしていると、次第に外が騒がしくなってきた。
なんだか人々の喧騒が聞こえる。
途端、馬車が急停止した。
「きゃ!」
バランスを崩したナナを俺が受け止める。
「大丈夫か?」
「あ……はい」
顔を真っ赤にして、すっと離れる。
あれ、俺悪いことしちゃったかな。
ともあれ、現状を確認するか。
馬車を降りて外に出てみると、運転手と冒険者らしき人物が会話をしていた。
ふと、冒険者と目が合う。
「すまないが、ここは退いてくれないか。この先では見たことがない魔物が暴れていてな。俺たちAランク冒険者も……正直勝てるかどうか分からない」
遠くの方を見ると、巨大なミミズと数多くの冒険者たちが戦っている景色が見える。
しかし、彼の言う通り決して状況はよくなさそうだ。
……こんな時にどうして。
「ルイト、やっちゃえ!」
「……そうだな。あの、俺も戦います」
アイラの指示通り、俺も戦いに参加することにする。
だが、冒険者は首を縦に振らない。
「勇者の次に高いランクである俺たちAランク冒険者でも苦戦しているんだぞ! お前にできるわけがない!」
「し、しかしこれ以上戦うと死者がでるかもしれませんよ!」
「死者が出たって構わない! それが冒険者だ!」
クソ……どうにか話を聞いてもらいたいのだが聞く耳を持ってくれない。
俺が困り果てていると、背後から足音が聞こえてきた。
ナナである。
フードを翻し、顔をあらわにする。
「おい! ナナ!?」
「いいんです。そこの冒険者様、私が分かりますよね?」
「な!? どうして王女様が!?」
突然第三王女が現れたからだろう。
冒険者は慌てて敬礼をする。
「聞いてください。ここにいるルイト様は絶対に信用できる方です。なのでここは彼に任せてくれませんか?」
「……事情は知りませんが、その代わりあなたが逃げ出そうとしていることは国王様に報告させていただきますよ? 私たちも、冒険者としてお金を稼いでおりますので」
「……構いません。わたしたちは絶対に捕まりませんから」
そう言って、二人が俺に視線を送ってくる。
「行ってくる!」
彼女がここまでしてくれたのだ。
俺は全力で答えないといけない。
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