そりゃ、まだ倒れないよな
「リイド、俺は――お前を絶対に止める」
「やってみせろよルイト! ゴミ以下の貴様が、僕に抗って見せろよ!!」
俺は目の前に手のひらを突き出す。
明らかに何かをしようとしているというのに、リイドは動かない。
まあ……舐められたものだ。
俺は魔法一覧をスワイプし、画面をタッチする。
「《豪火球》」
瞬間、俺はリイドに向かって魔法を放つ。
轟音とともに放たれた火球はリイドに向かって飛んでいく。
「なんだそれ。そんな魔法しか使えねえのか?」
しかし、魔法はリイドの持つ剣によって簡単に防がれる。
消し飛ばされた火球は煙となり、ふわふわと漂う。
「そんなんじゃ僕は倒せねえぞ――」
リイドが叫ぼうとした瞬間。
「《豪火球》」
「はっ――」
俺は再度同じ魔法を放った。
「《速度加速》」
同時に、一気に距離を詰める。
爆煙と同じ速度で、リイドへと走る。
火球がリイドの剣にぶつかろうとした瞬間、俺は咄嗟に剣を抜いた。
「《斬撃・激紋章》」
火球が当たると同時に、剣をぶつける。
「クソっ!?」
巨大な火球がぶつかると同時に放たれた一撃は、ほぼ回避することなんて不可能だ。
その読みは見事当たったらしい。
リイドは何もできずに、後方へと吹き飛んでいく。
壁に激突し、噴煙が周囲を覆った。
俺は咳払いしながらも、リイドの方へと歩く。
「ふぅ……こんな荒技、初めてしたよ」
自分の行動に、思わず笑ってしまう。
初めてかもしれない。
こんなにスムーズに魔法を発動したのは。
俺、魔法とか苦手なんだけどな。
でも……こいつを倒すことを考えると、自然と体が動いた。
「くっ……」
「そりゃ、まだ倒れてないよな」
俺は、土煙の中立ち上がるリイドを見て苦笑した。




