断然違う
「僕は、断然違う。圧倒的に違う。死ぬほど違う」
鞘に収まった剣を、指で何度もとんとんと叩いている。
リイドからは禍々しいオーラが放たれ、地面はミシミシと軋んでいた。
「ベレアは序の口さ。彼女はまあ……少し頭も弱い。それに、力も弱いってなると残念にも程があるよね」
「とことん言うな」
「とことん言うさ。僕は仲間にだって遠慮はしない。逆に、それが真の仲間とも言えるだろう?」
ニヤつきながら、リイドは歯を見せる。
「それがお前にとっての仲間か。まるで道具みたいな言い方だな」
普通、人間相手にそんなことはいない。
それこそ、本当に仲間ならそんな言い方なんてしないだろう。
俺なら絶対にしない。
アイラやナナに言っている姿なんて想像できないし、万が一言ったら自分のことを殴らないといけない。
「そりゃそうさ。あくまで仲間は俺にとっての道具。勇者ランクを維持するための道具だ」
そう言った瞬間、リイドの周囲の空間が更に歪む。
地面は遂に悲鳴をあげて、亀裂が入った。
「でも! お前のせいで勇者の称号は剥奪された! 今はもう最低ランクの人間だ!」
鞘に手を持っていき、ギュッと握る。
「大恥をかいた! お前のせいで、俺は最低な人間になっちまった!」
剣をゆっくりと引き抜き、俺に向けてくる。
リイドは怒りを露わにした様子。
剣先は震えていて、唇を強く噛み締めていた。
「でも今は違う。今の僕なら、僕をとことん貶めた野郎をぶっ殺すことができる!」
「ぶっ殺す……か」
「ああそうだ! 神から与えられたこの力……有効活用しないわけにはいかないわな!」
リイドはすっと剣を引き込み、俺の方を睨めつけてくる。
「勝負しようぜ、ルイト。てめえをぶっ殺したいからよ」




