僕は違うよ
【★☆★あとがきに大切なお知らせがあります★☆★】
扉を開くと、目の前は土煙のせいでまともに視界が確保できない状況だった。
咳払いを抑えながら、どうにか目を凝らす。
「おやぁ。これは……この気配はぁ?」
遠くから、聞き覚えのある声が響いてきた。
俺は剣に手を当てて、いつでも引き抜ける準備をする。
「……いるんだろ! リイド!」
牽制も兼ねて叫ぶと、遠くからカツカツと足音が響いてくる。
間違いなく、こちらに近づいてきている。
固唾を飲み込む。
握っている拳に力が更にこもった。
「この国の国王を暗殺――しようってところに、お前が来るなんてな。これも神様が仕組んだ運命……面白い」
視界が晴れてきて、久々にリイドの姿が瞳に映る。
以前とは全くと言っていいほど、服装が変わっている。
禍々しい、これがもし神様だとかが関係しているというのなら、悪趣味にも程がある。
さながら魔族のような形をして、剣を握っていた。
「国王はどうした! 発言的に、まだ殺してはいないだろうが……」
「もちろん殺してないよ。いや、殺そうとはしていたんだけどね。僕が大大大嫌いなルイトくんが来るって言うからさ。僕もドキドキしちゃって」
ケラケラと笑いながら、リイドは俺の目の前までやってくる。
そして、コツンと俺の額に指を当てた。
「やっぱり殺すのは後回しにしたんだ。今は大人しく眠ってもらってるよ」
どうやら国王は無事らしい。
ならばひとまず、最悪の事態は避けることができたと言えよう。
それなら、もうやることは決まっている。
「リイド、お前……自分がやっていること分かっているのか?」
「分かっているさ。分かった上で、楽しみながらやっている」
「……落ちたもんだな」
俺が吐き出すように呟くと、リイドの口角が上がる。
「落ちたぁ? 僕がかい? いやはや、勘違いも甚だしいね」
言いながら、俺の肩を叩いてくる。
やけに馴れ馴れしいが、今動いたら国王に何かあっては困る。
なので、とにかく話を聞くことしか出来ない。
「上がったんだよ。お前よりも、ずっと高い高い場所にね」
「へぇ……それが、今のお前か」
「そうだよ。で、ベレアは倒れたのかい?」
「ベレアは倒した。もう、お前だけだ」
そう言うと、リイドは肩で笑いながら涙を流す。
何がそこまで面白いのだろうか。
俺には分からないが、ただリイドが今までとは違うってのは分かった。
「そうか。まあ、あいつは弱いからなぁ。仕方ないよね」
リイドは息を切らしながら、俺のことを見る。
「でも、僕は違うよ?」
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