緊張
「ナナ、アイラ。二人は勇者たちを頼む」
「で、ですが!」
「分かった。ナナ、ここはルイトの指示に従おう」
「でも――」
焦るナナの気持ちも分かる。
ベレアや勇者たちの姿を見れば当然思うことだ。
これ以上先はかなり危険だ、と。
でも――これは俺がやるべきことなのだ。
俺が決着を付けなければならないことなのだ。
ベレアもそうだが……ルイトも。
彼らはこうなってしまったけど、元をたどれば仲間である。
彼らの過ちを止めるのも、俺の役目ではのだろうか。
「お前たちを巻き込むわけにはいかない。これは俺と、リイドとの喧嘩だ」
とはいえ……国家すらも巻き込まれたら洒落にならないんだけど。
正直困ったものだ。
本当に責任が重大すぎる。
自分の尻拭いをするわけではないが、これじゃあフェアじゃないよな。
まあ仕方がないことだ。
別に今更気にするようなことでもない。
「……分かりました。信じていますから」
「ああ。信じていてくれ。ナナも、頼んだよ」
「もちろん。任せてちょうだい」
さすがは俺のナビゲーターだ。
頼りになる。
「それじゃあ、行ってくる」
俺は剣を引き抜き、前を向く。
この先にあるのは王の間である。
間違いなくそこに、リイドがいる。
「信じていますから……!」
「いってら~」
「おう!」
俺は地面を蹴り飛ばして走る。
土煙が上がる中、全力で駆け抜ける。
ボコボコになった床を蹴り飛ばしながら進み。
「ここだな」
目の前に大きな扉が現れた。
ここが間違いなく王の間だろう。
胸がバクバクと音を立てる。
かなり緊張してしまっている。
それもそうだ。
こんな惨状にした相手と決着を付けないといけないのだ。
緊張しないわけがないし、手が震えないわけがない。
大丈夫だ。これが俺の役目なんだ。
「前を向け。集中しろ。俺がするべきことをするんだ」
意を決して、俺は扉を開いた。




