解放
「お前……言葉は分かるか」
「ココ、コロス」
これは……酷いな。
完全にこっちは洗脳されているパターンか。
銃剣をこちらに突きつけて、俺から離れようとしない。
下手に相手に力があるせいで、普通に剣先が当たりそうだ。
「とりあえず……!」
思い切り、銃剣を握る。
力技だが、今の俺ならできる……そう信じて!
思い切りへし折る!
バキンと音を立てて、銃剣がへし折れた。
よし……かなり馬鹿みたいな戦法だったが上手くいったな。
「弾丸はどうした。弾切れか」
「……コ!」
ならチャンスだ。
俺は《威圧》を発動し、相手の動きを封じる。
そして、急ぎで魔法一覧を開いた。
どっかにいい魔法が……あった!
「《フラッシュ》!」
俺が叫んだ瞬間、辺りが明るくなる。
どこだ。どこにあいつらがいる!
「ちっ……剣士のくせに魔法をよく使う」
「大丈夫だ。我々には神のご加護がある」
「前から言っているが、神って誰なんだよ。お前らは一体誰に従っているんだ」
「神は神だ。皆の近くにいて、一番遠い存在である」
「へえ。そんな胡散臭いもんに従ってんだな。お前らは」
「言っておけ。前回は敗北をきしたが、今回は勝てると思うなよ」
そう言って、男が指を弾くと俺の目の前で爆発が起こった。
突然のことだったが、咄嗟に受け身を取る。
「これが神の力だ。強大な力を前にひれ伏すがいい」
「そうだ。神の力を前にすれば、皆下民」
神の力か。
面白い。さっきから聞いていたが、なんて胡散臭いんだ。
「そんなの、一人で言ってろ。お前らの望みなんて知らないが、他人を巻き込むな」
俺は剣を構え、そして一瞬にして加速した。
《速度加速》をさらに強化した魔法。
《重加速》。初めて発動したが、あまりの速さに自分でも驚いてしまう。
一瞬にして間合いを詰めた俺は、一人の男に対して剣を突き立てた。
「なっ……? こ、これは……? 神の力を前に私の腹を突き刺したというのか……?」
「しゅ、修復ができるうちに帰還せねば!」
修復……? まるで道具のような言い方をするな。
しかし関係はない。今がチャンスだ。
「お前らの負けだ。いいからさっさと吐け」
思い切り剣を突き刺す。
これはお前たちが殺してきた人間たちの思いを込めて。
そして、カイトさんの悲しみを込めて!
「……敗北だ。態勢を立て……直す……」
「《転移》」
瞬間、男たちが目の前から消えた。
くそ……また逃げられたか。
ともあれ、今は魔族を……。
「あ、あれ。俺は一体何をしていたんだ……?」
「おい……お前、大丈夫なのか?」
「え? どういうことなんだ。俺はどうしてこんなところに……」
人間に、戻っただと?
魔力の反応も人間レベルに戻っている。
それに言動も問題ない。
「俺は確か……二人の男に何かを飲まされて……いっつ……」
以前会った魔族とは経緯が違うようだ。
前の女性は神に直接力を貰ったと言っていた。
しかしこの人はあいつらから力を貰ったと捉えることができる。
「俺が一撃を与えたから……隙を与えた瞬間に戻ったのか?」
そう考える他ない。
ともあれ、今は今だ。
「無理はしないでください。ひとまず、戻りましょう」
「お、お前は……よく分からないけど、ありがとう……」
しかし大きな一歩だ。
根本である存在を倒せば、魔族になった人間は解放される。
それだけでも、功績は大きい。
ひとまずは帰還してカイトさんに伝えよう。
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