新たな依頼
「というわけで、しばらくの間僕に変わって第一部隊の隊長になるルイトさんだ。みんなよろしくね」
「……え?」
い、今隊長って言わなかったか?
軍隊の人たちも、さすがにどよめいている。
というか、俺が一番びっくりなんだけど。
「言ってなかったっけ?」
「言ってませんよ!?」
間違いなく言っていない。
もし隊長とかになれって言われてた絶対に断っていたもの。
しかし、カイトさんはおどけるように笑う。
「ま、半分冗談で半分本当」
「えっと、どういうことですか?」
「やっぱりギルドのようなシステムの方が、君が助かるかなって思ってさ。君たち三人を部隊として僕が認めたんだよ。つまり、僕から依頼を受けて戦う。そんなギルドに近いシステムにしたんだ」
なるほど。それなら納得がいく。
もし隊長になれってことなら間違いなく無理だが、これなら問題ない。
いつも通り、パーティ――形式上は部隊として戦うことができる。
依頼をこなせばお金も手に入るし、帝国で生きていくには完璧なシステムだ。
「なるほど。それならありがたいです」
「いやいや。国家に貢献する可能性のある人には良い待遇をしないとね。これ、帝国の常識」
「はあ……帝国の常識ですか」
常識云々はよく分からないが、ともあれありがたい。
カイトさんには感謝しないとな。
「それじゃあ、早速頼まれてくれないかな? 魔物退治のお願いなんだけど」
「もちろん構いませんよ。全力でやらせていただきます」
そう言うと、カイトさんは「いいね」と言う。
「まあ、正確には暴走した……元軍人の討伐なんだけど」
「暴走した元軍人……ですか?」
「うん。君は人間が魔物――魔族になる現象を知っているかい?」
「……はい」
ナナも知っている――というか、一番関係がありそうなのだが今は黙っておくべきだ。
彼はひとまず信用できるが、一応は帝国の人間。
ここに王国の王女がいるとなると、大変な事態になる可能性も否めない。
「なら話が早い。彼の討伐を請け負ってほしいんだ。生憎、帝国の技術力では限界があってね。ここは魔法も使えて剣技も素晴らしい君に託したい」
「倒して、いいんですか?」
俺は……知っている。
人間が魔族になってしまう理由。
神を名乗る人物が関係していることを。
「倒してやってくれないか。僕の、親友なんだ。彼が苦しんでいる姿なんて見たくない」
「……分かりました。任せてください」
責任重大だな。
ひとまず、やるしかないか。
もしかすると、神を名乗る人物とも邂逅できるかもしれない。
その部下でもいい。とにかく、この異常事態を誰かが解決する必要がある。
「任せたよ、ルイトさん。それと……アイラさんに、ナナ第三王女さん」
「なっ!?」
やばい。さすがにバレていたか……!
俺がどうにか誤魔化そうかと慌てると、カイトさんがくすりと笑う。
「僕はそういうの、興味ないから安心してね。結局は君が有益か有益じゃないか、そこが問題。ま、皇帝さんにはバレないようにね」
「……は、はい」
まあ……俺のことを知っているくらいだもんな。
逆に今の待遇には感謝しないといけない。
「アイラ、ナナ。早速依頼へ向かおう」
「……了解です」
「いぇーい!」
相変わらずアイラはテンション高いな。
別にいいけれども。
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