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お気楽領主の楽しい領地防衛 〜生産系魔術で名もなき村を最強の城塞都市に〜  作者: 赤池宗


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強引なるドワーフ達

「ヴァン様! 俺達に預けてくれ!」


「オリハルコンの全身鎧(フルアーマー)を作れるぞ!」


「うおぉぉっ!」


 まだ渡すとも言ってないのにお祭り騒ぎとなっているドワーフ達。


「い、いやいや、まだすぐに加工しようとは思ってなくて……」


 その勢いに押されながらも何とか抵抗を試みる。しかし、すでにトランス状態になっているハベル達には聞こえもしない。


「よぉし! そんじゃあ早速持って帰って炉を整えるぞ!」


「いつものミスリルとは違うからな! どんどん高温にしなきゃなんねぇぞ!」


「おうよ! こっから一週間は炉から離れられねぇ! 食いもん仕入れとけ!」


 ワーワーと大騒ぎするハベル達に、通りがかった人々も何事かと集まりだした。


「ちょ、ちょっと待って! これは一度、領主の館に保管をする予定で……」


「保管だぁあ!? 金なんかいらねぇんだぞ!? 俺の名にかけて最高の鎧を作ってやる!」


「オリハルコン製のドワーフの武具っていやぁ大国でも持ってねぇ代物だぞ!?」


「た、頼む! 俺たちにそれをくれ! なんなら俺たちが金を払う!」


 僕が渡さないと口にすると、ドワーフたちは血相を変えてそんなことを言い出した。大国でも持ってないオリハルコンの武具を金を払うから作らせてくれというのも変な気がするが。


 とりあえず、僕は自分で作りたいと思っていたので否定しようとした。しかし、そこで観衆の声が聞こえてくる。


「おい、オリハルコンだとよ」


「大国でも持ってないようなもの、ヴァン様のために作らせてくれって言ってるぞ」


「あの頑固なドワーフたちが?」


 ハベル達の声が無駄に大きいため、会話の内容は観衆に筒抜けだった。ざわざわと騒がしくなってきた上に、ドワーフが自らオリハルコンの武具を作りたいと言ったというのは、間違いなくセアト村の外にまで広まるような噂になるだろう。


 こうなったら、逆にそれを利用するしかない。


「……はぁ、分かったよ。それじゃあ、僕の作ったミスリルの刀よりも斬れ味がある刀を作れたら、その技術を認めてオリハルコンを打たせてあげようかな」


 わざと溜め息を吐いてから苦笑し、オリハルコンを打つ条件を言い渡す。すると、ハベル達はぐっと歯を食いしばるような顔で一歩後ずさった。その様子に、最近セアト村に来た住民が首を傾げる。


「ヴァン様の武器は凄いって聞くけど、ドワーフ達の作る武器より上なのか?」


「まさか、そんなことは無いだろう」


 そんな声が聞こえたが、その近くにいた古参の村人が腕を組んで不敵な笑みを浮かべ、否定の言葉を口にした。


「知らないのか? ヴァン様の武器はドワーフの武器と比べても優れているって話だぞ。特に、切れ味だけに絞れば遥かに上だってよ」


「ああ。ディー様や冒険者の人たちも言っていたな」


 と、解説が入る。その言葉を聞こえないふりをしながら聞き、頭を働かせる。これは、とても良い後押しである。内心ほくそ笑みながら、困ったように肩を竦めて口を開く。


「仕方ない。それじゃあ、ディーが納得できるだけのミスリルの鎧を作ってくれたら、オリハルコンの鎧の制作許可を出そうかな。ただ、出来上がった鎧はディーの鎧となるので、最前線で使われてしまうけど」


「うむ! それならなんとかなるわい!」


「おお! 出来上がったもんを飾られたら意味が無いわい!」


「使ってもらわなドワーフの武具の凄さが分からんじゃろうが!」


 条件を緩和した途端、ハベル達はテンションを上げて笑い出した。どうやら、防具については自信があるらしい。いや、単純に僕が作った刀に勝つ自信がないのか。


 どちらにしても、斬撃や衝撃を受けたりする防具に関しては僕もまだまだ研究中だ。鉄でもミスリルでも、純粋な金属にするよりも他の金属を混ぜ込んで合金とした方が強い鎧となることもある。別にステンレスを作ろうなどとは思っていないので、そこまで研究はできていない。その為、僕が純粋な金属や適当な合金を作るよりもドワーフ達の方がバランスの良い金属で鎧を作ってくれる可能性もある。


 それらのことを考慮して、前向きにハベル達にオリハルコンの鎧の発注をしようと決めた。


「それじゃあ、ミスリルの鎧を楽しみにしてるね。多分、三か月後には帰ってくるから」


「おお! 任せとけぃ!」


 期限を決めてお願いすると、ハベル達は腕を曲げて力こぶを作りながら力強く返事をする。そして、すぐさまもと来た道を戻るように踵を返した。


「おう、野郎ども! 急いで鎧造りだ!」


「おお! ちょうど良いことに俺が世界最強の鎧を思いついたばかりだ!」


「嘘吐け、この野郎! お前よか俺の方が腕も頭も良いだろうが!」


 と、ハベル達は周囲から集まる注目など一切気にせずに大騒ぎしながら自らの鍛冶場へと戻っていったのだった。


 まったく、ドワーフらしい強引さと鍛冶への執念である。一応、旅に出ることは伝えられたので当初の目的は果たせたとしようか。


 ちなみに後日、予定通りドワーフがオリハルコンの鎧をプレゼントすると言っていたと噂になり、セアト村の知名度はまた少し上がったようだった。





皆さまのお陰で次にくるライトノベル大賞2022にて、単行本部門3位の快挙☆*:.。. o(≧▽≦)o .。.:*☆

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