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日常シリーズ

喜んだり悔しがったりするもの

作者: 葉月ネル

「喜んたり悔しがったりするもの?パッと思いつくのは…

ゲームとかかな…?」

「ちっちっち、そんな薄っぺらいものじゃないよ…

それはね…!



体育祭だよ!!!」




『白組、かなりリードしています!』


軽快な音楽が流れる中、生徒会長の実況がグラウンドに

響き渡る。


「がんばれ〜!!!!」


ダッダッダッダッ


靴で砂を踏み鳴らす音が耐えず聞こえる。

そしていろんな人の声援と共に、彼は前へと進む。


「まだアンカーまで五人以上はいる…逆転の

チャンスはまだある…!」


そして手を伸ばし、前方にいる人にバトンを繋ぐ。


「頼んだ…!」

「任せろ!」


ザ・体育会系の大柄な男が、バトンを受け取り、

スタートダッシュを切る。


『白組、体育会系エースの斎藤にバトンが渡ったぁ!

これは分からないぞ…!』


さらにグラウンドは声援に包まれる。



…ちなみに私は何をしているのかというと…


「痛っ…もー!なんでいっつもこうなの…!」


なんと救護室にいた。

何故いるのかというと…


体育祭の最初の種目は綱引き。私は体幹が弱すぎて

綱を引き切った後に「やった!勝った!」と言った瞬間

後ろにずっこけて足をひねり負傷。

そのため体育祭の種目はほぼ出ていない。


「…始めての体育祭もこんなもんかぁ…」


ふとグラウンドの中央の方をみると…

なんかもうアンカーが立っている。

さらに赤組の白組の差がかなり縮まっている。


…あれ?これ…


「いけるぞ…?」


私は渾身の力を片足に込めて立ち上がる。

そしてカーテンを開けて身を乗り出す。


「いけ!俺ら全員の思いだ!」


アンカーの手前の人が、アンカーにバトンを渡す。

かなり綺麗な受け渡しだ。


「うぉぉぁ…!!!!!」


前を走っている赤組の人に食らいついているその様は、

まさに映画のようだった。


そして…


「届けぇぇぇぇぇ……!!!!!」


アンカーが叫ぶ。そしてゴールテープに先に手がついたのは…





『結果発表。次は紅白対抗リレーです。』


またまた、生徒会長の声が響き渡る。

グラウンドに全生徒が集められ、ざわざわと

みんなの喋りが聞こえる。


「あれまじでどっちだ?」

「俺結構頑張ってたぞ?けど真横だったからわからねぇ…」


後ろにいる体育会系とアンカーが喋っている。


『勝利チームは……!』


息が詰まりそうな空気が流れたその時…


『白組です!』


「うわ負けたぁぁ…!!!!」

「一歩無理だったかぁ…」


後ろの2人がめっちゃ悔しがっている。


「私怪我してたからなんもしてない…」


そんな悲しいことを呟きながら終わった体育祭は

地味な思い出になったのであった。



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― 新着の感想 ―
学生の頃の思い出としては、楽しくないイベントだったなー。 別に運動神経悪いわけじゃないけど、妙に燃えてる人たちがめんどくさかった。 個人競技だと、燃えれるけど。 集団競技はやる気わかないw
それもまた、大事な青春の……。 一ページ。 (。・_・。)ノ 貴方の歴史の一ページ。
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