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王太子さまの愛する人は  作者: 家紋 武範
小さな恋の物語
16/34

第16話 モロスの心配

しばらく時間が経つと、塔の下が大騒ぎとなっていた。


「殿下! フレデリック王子殿下! クローディア王女殿下! どこへおいでです!」


それを二人は別な小窓を開けて眺めていると、かなりの数の兵士がそこかしこと飛び散って二人を捜索しているようだった。


「ほほう。物々しいな。朝食前だったからすぐにバレてしまったんだろう」


王子がのんきに眺めているとひと際甲高い声。


「きっと荒ワシにさらわれたんだわ!」


それは両膝を地面につけて泣きしおる侍従長モロス。余りにも大げさなのでフレデリック王子は噴き出してしまった。


「おお、モロスも心配しているな。なんで荒ワシに二人もさらわれるんだ。本当に極端だなモロスは。どれ腹が減ったであろう。下におりようか。クローディア。アイツらを安心させてやらねばならん」

「はい殿下」


階段をゆっくりと下りる王女に合わせて、王子もゆっくりと塔を下りる。子どもの足だし、疲れもある。二人は気にならなかったが塔からおりるのにずいぶんな時間を消費した。

下に下りると、ますます兵士を増員したようで大騒ぎになっていた。

王子と王女は静かにそこへ近づいて行って大声を上げた。


「うろたえるな! フレデリックはここにいるぞ!」


一斉に兵士たちがその小さい王子へと目を移す。そこには王女もいてホッとした。

兵士に守られながら侍従長モロスの前に王子と王女はやってくるとモロスは緊張の極みであったのであろう息も粗く喘ぎながら王子の前へとやってきた。


「殿下! ああ、殿下!」

「モロス。そんなに心配をするな。荒ワシになどさらわれるものか?」


しかしモロスは王子のその言葉を最後まで聞く前に、国王から預かりし一粒種の王子と他国の客人である王女を一度失った極度の緊張から昏倒してしまい、そこは別の騒ぎとなってしまった。

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