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王太子さまの愛する人は  作者: 家紋 武範
小さな恋の物語
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第14話 秘密の約束

ある暑い日に、モロスも侍女も王子の母である王妃のお見舞いに行ってしまったので、二人は暇を持て余した。

余りに暑いので、警護騎士の二人を呼んで水を運ばせてクローディア王女の浴場で水浴びをして遊ぶことにした。

二人の出会いの日にも水の掛け合いをしたが、あの楽しさをもう一度楽しみたかったのだ。召し物を着用したままでは濡らしてしまうので、互いに服を脱いでしばらく天使のような姿で遊んでいたが王子はふと王女と自分の体のつくりが違うことに興味を持った。


「クローディア。キミはボクにあるものがないな」

「まぁ。それは男女の差ですわ」


「そうなのか。男と女は違うんだな。それはなぜだろう?」

「それは……。クローディアも分かりません」


王女は本当に意味は分からなかったが、それに触れるのは子どもではおかしいと感じたのかモジモジとうつむいてしまった。

王子はそんな王女がますます可愛いと感じ、彼女に近づいて、思わず抱き締めてしまった。そしてモロスに止められていたキス。それは頬であったが、王女の方では固まってしまい動けずにいる。王子も自分の行動にハッとしてうろたえた。


「す、すまない」

「い、いえ」


小さな二人は、恋や愛の意味は知らない。だが互いに男女として意識し合う。それは余りにも早すぎるのかも知れない。王子の抱き締める腕に力が入る。王女も何も言えずにされるがままだった。


「クローディア。キミをとても大事に思うよ。なぜだろう。この感覚……」

「あ、あの。は、はい……」


「クローディア。モロスに内緒でたまにこういうことをしてもいいかなぁ」

「は、はい。あの。大丈夫で……」


「そ、そうか。よ、よかった……」


幼い二人はそれ以上前に進めようはずもない。だが二人で遊んではまわりを伺いながら物陰に隠れ、いけないと思いながらも頬にキス。それは一方的にフレデリック王子からするだけではない。クローディア王女からすることもあった。

互いに自分の抑えきれない恋心を相手の頬へとぶつけ合っていたことを大人たちは誰も知らなかった。

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