ひとまずの結末
ギルドに戻って報告した後、あたしとハンツは城の中へと来ていた。
報告した結果、すぐに軍から呼び出されたのだ。
「まさかの状況だな」
「そうね」
少し待っていてほしいと言われて椅子に座って待っているが、妙に落ち着かない。まあ軍の詰所みたいな場所で長机とかもある会議室らしき部屋だから当たり前といえば当たり前だ。
「お待たせしました」
更に少しした後、軍服を来た人間の男性がやってきた。
「はじめまして、カイン・メルドです。アンジュ様にはいつもミリアーナがお世話になっています」
「いえ、こちらこそ」
そうか。アリアさんの上司の人だったか。
「ハンツ様もご足労頂きありがとうございます」
「いや、大丈夫です。それで、オレ達を呼んだのは例の路地であったやつですか?」
「はい。それを含めてですね。これを見ていただけますか」
そういってメルドさんは複数の紙を机の上に広げる。
その一枚を手にとって見ると、手配書のような見た目になっていた。
「人間に獣人……エルフもいるわね」
「だな。基本的には人族の人相書きってところか」
ある程度見終わると、改めてメルドさんが話し出す。
「これは現在も人族の国とは敵対関係にある魔族のとある国で配られているものだ」
「なんでまた魔族の国で人族の?」
「昔の戦争でのいざこざであちらに残ってしまった人族の子孫や、長寿種族たちが奴隷として扱われているみたいだな」
「もしかしてこれはその中でも逃げ出した子たちってこと?」
「そうなる。我が国のみならず人族国家の一部が話し合いによってそこの解消を目指しているものの状況は芳しくない。これらは魔族国家の中でも良好な関係にある国から提供された情報でな」
「でも……それをなんでまたここで話すのよ。何かあるってことよね」
「まさか、オレたちが助けたあの子供もか?」
「そうなる。現在この逃げ出した人族の一部が奴隷商人や旅商人にまぎれて逃げてやってきたらしい。しかし、それを察知して追いかけてきている刺客もいるらしくてな」
あの男はそういうことだったのね。
「つまり、そういう人たちを探すのは路地裏調査の目的だったってこと?」
「見つけるまではいかなくとも、逃げて隠れたりしている場合に1人で狙われやすそうな路地裏に警備をつけたかった。しかし、軍が主導でやるための人手も足りなくてな。とはいえ、直接この事実を公にする訳にもいかない。それこそまた戦争を起こす奴らが現れかねない」
「そういうことだったのね。まあ、でもさすがにあんなの見た本人たちには説明しないといけないってことで、呼んだってところかしら」
「察しが良くて助かる。この事はできればもうしばらくは秘密にしておいてほしい。そしてついでにだが、なにか情報があれば提供を頼みたい」
「あたしはいいけど」
「オレは依頼で国の外に居ることも多いが、それでもいいならな」
「ありがたい」
メルドさんは立ち上がって頭を下げてくる。
あたしは改めて子供の今後の処遇などを簡単に聞いた後に城を後にした。気づけば夜もふけて、家に帰るかどうか悩むような時間だ。
「でも、あたしの選択肢は帰るしかないのよね。だって、あたしの家だし」
あたしはそう呟いた後、1人国を後にした。




