怪しい依頼
一度派手にやった事もあってその後、山を抜けるまでに再び襲撃があることはなかった。
山を抜けたあとのことはコノミさんに任せてあたし達は一度家に戻った。
「ただいまー」
「あれ、早かったわね……って何があったの!?」
シグニアさんが入ってきたところでリリアちゃんはそんな驚いた反応をする。
まあ、服だけ見ると怪我してるように見えるよね。
「怪我は特にしてないから大丈夫だ」
「そ、そうなのね。でも着替えたほうがいいわよ」
「そうさせてもらおう」
「リリアちゃんシグニアさんをお願いね。あたしは一度、街行ってくるから」
「今からだと遅くない?」
「アリアさんに用事があるから、遅いほうがあっちの空き時間になってるかもしれないから。ご飯とか食べちゃって、最悪寝ちゃっててもいいわ」
あたしはそう伝えてから再び家を出て今度は街に向かって走る。
街につく頃には空はオレンジに染まりながらも徐々に薄暗くなり始めていた。
あたしはその足で城へ向かって近くにいた見覚えのある兵士に話しかけてアリアさんへの伝言を頼む。
「あ、アンジュ様。どうかいたしましたか?」
「アリアさんに伝えたいことがあって、なるべく急ぎなんだけど今日って城にいるかしら?」
「まだ職務中ではあると思いますが」
「それなら伝言頼める? 休憩時間でもいいからギルドの2階でアンジュが待ってるって」
「わかりました」
あたしは一度その場を後にする。
ギルドにたどり着けばいつもどおりの賑わいを見せているが、1階が何やら騒がしかった。
覗き込もうにも人が密集しすぎて隙間もない。
そう思っていた時、見覚えのある青いドラゴンマンが話しかけられそうな位置にいたので、軽く肩を叩いた。
「ん? あれ、シエーラさんか」
「久しぶりね。この騒ぎは何?」
「なんか変な依頼が来たらしい。そんで、このギルドによく来る実力者が集まったってことで、審議中だ」
「有名な冒険者が集まったから騒ぎになってると」
「まあそういうことだな。どうかしたのか?」
「ちょっと待ち合わせにね。特に今日は依頼とかには興味ないから2階にいくわ」
「そんならオレも2階に行くかな。特に興味は湧かない話だったしな。時間つぶしぐらいなら付き合うが」
「じゃあお願いしようかしら」
あたしはハンツと一緒に2階に上がって、ひとまず夕飯となるようなご飯を注文した。
「とは言え、特に話題らしい話題ないのよね」
「そんなら下の騒ぎについてでも話すか?」
「そうね。それで、何の依頼の話だったの?」
「前に話したドラゴンの前兆の依頼が進んだことと、探し魔族の依頼がきたらしい」
「探し魔族?」
「そうだ。ただ、依頼者とかの信頼性が怪しいってことでそっちは審議になって、ドラゴンの前兆についても違和感が残ってるってことでこれからどうするかの話になってるらしい」
「そういうことなのね」
魔族の依頼は気になる。ドラゴンはまあ自然の成り行きに任せておけばいいでしょう。森に現れるとか言うなら別だけど。
「魔族の依頼ってどんな魔族なの?」
「片方は白銀の獣人らしい。ただ細かく種族までは指定されてないらしくてな」
「ふーん」
おそらくこれはシグニアさんだ。
「片方ってことはもう一つあるの?」
「そうだ。こっちはなんか元々は何処かの奴隷だったらしいが、失踪したとからしくてな。そんで、依頼主というか奴隷の持ち主が幅を広げてこの街にも依頼を出したわけだ。ただ、こっちはこっちでその奴隷が合法か信用ならないってやつだな」
「まあ、魔族の奴隷って時点で今の時代は合法であってもいい目では見られないでしょうしね」
人族の奴隷ですら受け入れられない人はいるでしょうし。
その後も、ハンツに時間つぶしというなの会話に付き合ってもらいながらしばらくアリアさんの反応を待った。
多分、無理なら無理でいる場所は伝えたから使いの1人くらいは出してくれると思うしね。




