出発
あたしが走って家へと戻ると、リリアちゃんが畑仕事していた。
「あれ? シエーラさんどうしたのそんなに走って」
「ちょっとね。シグニアさんはいる?」
「中で準備してたけど」
「そう。ありがとう」
「結局行ってくるの?」
「急いだほうがいいかもしれない案件になってきてね」
「気をつけてね」
「ありがとう」
あたしは家の中に入る。
中に入るとシグニアさんはあたしが夜に言われて用意しておいた動きやすい服を着て身体を伸ばしていた。
「おや? おかえり、ワタシの力は必要かな?」
「ええ、少しきな臭いことになってきたからね。それで、改めて確認。もしかするとロクでなしとはいえ、人族か魔族を相手にする可能性が出てきたわ。それでも手伝ってくれる?」
「ワタシの種族は前にも言ったが今まで孤立してきた。それに罰されるべき行いをしたならそれは罰されるべきだ」
「ありがとう。それじゃあ、あたしも用意したらすぐに出るわよ」
「了解した。倉庫から狩り用のでいいから武器を少し拝借してもいいかい?」
「もちろん」
あたしはそう言って自室へと入る。
そして冒険者用のベルトを装着して、壁に掛けていたローブを着る。
最後にワンドの杖部分を最大まで伸ばして状態を確認した。
「なにもないならそれでいいんだけどね」
あたしはそう呟いてからワンドを再び小さくて腰につけたベルトに装着する。
これで一応、今できる準備は完了だ。
あたしが居間へと戻ると、メイスを軽く試し振りするシグニアさんがいた。
「今更だが、狩り用にしてはいいものを使っている気がするが、どこで調達しているんだ?」
「武器屋で買っているわね。だから多分普通に冒険者も使えるやつだと思うわ」
「なるほど。だからか使いやすい」
シグニアさんはそう言うとメイスを背負う。
「山っていうのが結構近いから道中で話すよりも今話しちゃいたいけど大丈夫?」
「大丈夫だ。むしろそういうことならここでじっくり聞いていったほうが現地で対応しやすい」
あたしは家の倉庫に眠っていた地図を持ってきて机の上に広げた。部屋に戻る時畑にいたリリアちゃんも一緒についてきて3人で見ることになる。
「ここの道があるでしょ」
「あるな」
「あるわね」
あたしが指さした道をすぐに理解してくれる。
次にその道の中で途中にある山を指で円状になぞる。
「この山にサーベルウルフがいついているみたい。依頼はそれの退治になるわ」
「サーベルウルフがいつくとは珍しいな。それほど食料になる動物が多いのか?」
「サーベルウルフ?」
どうやらシグニアさんは、サーベルウルフの習性を知っているみたい。
「いいえ。むしろ交易でよく使われるルートになってる程度には落ち着いた場所のはず」
「そうか。だからさっきあんなことを言ったのか」
「そういうこと。サーベルウルフを使役してる何者かが関わっている可能性がある。もちろんどこかから追いやられてきたって場合も否定はできないけどね。そこは調査が必要だと考えるわ」
「状況はわかった」
「私はよくわからないけど、2人がわかったならいっか。この山に基本的には行くのね?」
あたしとシグニアさんが状況把握したのを察するとリリアちゃんがそう言ってくる。
「まあ、そうなるわ」
「わかったわ。じゃあもしもの時はね」
「どういうこと?」
「帰りが遅いときに、騎士の人とか誰かに言う場合にどこに行ったかわからないとどうしようもないでしょ」
あたしとシグニアさんは一度顔を見合わせた後にリリアちゃんを撫でた。
「何で二人して撫でるのよ!?」
「いや、いい子だなって思って」
「ワタシもそう思ってな」
「撫でるなー!!」
あたしはリリアちゃんに軽く怒られてから家を出発した。




