家があるということ
ギリギリ日が落ちきる前に自宅にたどり着く事ができた。
家に入る前に畑や家の周りを覘くと、今日の分の作業は2人がきっちりと終わらせてくれていたらしい。
扉を開けて家の中に入る。するとあたしの耳には温かい声が聞こえてきた。
「あ、おかえりなさい!」
リリアちゃんがそう言って出迎えてくれる。
あんまり意識してないけど、たまにふと思ってしまう。帰る家があるって本当に良いな。
「シエーラさんどうしたの? 満足そうな顔して」
「ううん。ただいまー!」
「ちょっ、抱きつかないで!」
剥がされてしまった。
「おや、シエーラさん。帰ったか」
「ただいま、シグニアさんも留守番ありがとう」
「いや、礼には及ばないさ。ワタシも泊まらせてもらってる身だからね」
「そんなこといいのに」
あたしはそう言ってから自室に荷物を置いて居間の机の席に座る。
「お目当てのものはあったの?」
「一応、簡易的に装備は整えられたわ。だけど、消耗品の方がちょっと色々あって一つ依頼を受けることになってね。明日もまた家空けないといけなさそうなの」
あたしがぐったりと机に体を預ける。
「依頼となると人手が必要か?」
「あー……そうなる可能性も少しはあるかも」
「町の外なら手伝うことも可能かもしれないが」
「明日に契約してくるってだけで、明日すぐにってなるかはわからないの。だから、行くにしても一度はうちに戻ってくるわ。だから、もし手伝ってくれるなら準備だけでもお願い……って言いたいけど、魔物退治になるけど大丈夫?」
「怪我はもう大丈夫だ。むしろ少し動いて調子が見たいくらいにね」
「そう、そういうことなら準備はしておいてくれると助かるわ」
「任された」
「私は?」
リリアちゃんが自分を指さして聞いてくる。
「荒事になるかもしれないから留守番しててくれると嬉しいけど……」
ただ来たいって言われたらそれはそれであたしが守ればいい。町にも最近は一緒には行ってないから外に出たいっていうなら連れて行くことも考えないでもない。
さて、どうしよう。
あたしが少し葛藤しているとそれが表情にでていたのかリリアちゃんは何かを察したように言ってくれる。
「わかったわよ。私は留守番してる」
「ごめんね」
「謝らないでよ。私のためってことはわかってるから」
「……リリアちゃん今日一緒に」
「断る!」
「やっぱり?」
一緒に寝るくらいはそろそろ許してくれてもいいのに。今一瞬、好感度が上がったような雰囲気だったのはあたしの気のせいだったみたいだ。
やっぱり人付き合いって難しい。
あたしはそう実感しながら今日1日を終えた。




