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魔女の気まま暮らし~元勇者は不老で最強になってました~  作者: ゆっき
第2章 新たな住民と人族と魔族

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マジックショップの店主

 奥にたどり着くと武器屋の区画とは打って変わってオシャレな建築の店が立ち並んでいた。

 機能性よりも見栄え重視というのはいいすぎかもしれないけれど、宝石が埋め込まれている店の看板なども多い。

 魔法使い特有のなにかなのかな。


「おや、見慣れない顔だね」


 あたしがどの店がどんな店なのかを知るためにきょろきょろとしていると、その中でもひときわ大きな店から1人のエルフの男性がでてきた。


「はじめまして」

「ご丁寧にどうも。このあたりは冒険者向けの魔法関連の装備を売ったり製作依頼を受けている店が多いが、何が必要かな?」


 エルフさんはあたしの側まで来てそう言ってくれる。もしかするとこの区画のまとめ役的な立ち位置の人かもしれない。


「一通り揃えたくはあるんですけど、初めてで」

「そうか。そうだな、あそこの左奥にある店があるだろ。あそこがオススメだな」

「ありがとうございます」

「いやいや、せっかく来てくれたし、この街で活動していくならぜひこの区画をご贔屓に」

「そうさせていただきます」


 あたしは頭を下げて挨拶をした後、エルフさんが行っていた店の前まで小走りで移動した。


「ここでいいのよね」


 看板には自己主張が激しく『ダンテのマジックショップ』とかいてある。更に濁点などが全部宝石で作られてるあたり、細かく発注したであろうことが簡単に想像できた。

 お店は開いているようなので扉を開けて中に入ると、店内はしっかりと棚が並んでいて魔本や魔石に謎の畳まれた布などが陳列されている。そして壁を見るとスタッフやワンドが並べられていた。


「おや、初めてのお客さんだ。こんにちは!」


 あたしがスタッフなどを見てコツコツと足音を鳴らしながら歩いていると、奥から1人の男が出てきた。

 鉢巻をつけている無精髭を生やした男だ。視線を下げれば主張の激しい青い宝石のネックレスをつけている。


「こんにちは」

「俺の名はダンテだ。この店の店主兼、新人魔法使いの教官の真似事なんかをしている色男だぜ。よろしく!」

「よろしくおねがいします。エルフの方から初心者魔法使いが装備を整えるならここがおすすめと聞いたのだけど」

「旦那から? そういうことならしっかりと案内しないとな。いや、もちろんそうじゃなくたってちゃんと案内するけどな。予算はどのくらいある?」

「そこそこはありますけど」

「一応ここらへんの店だと、基本装備を全部揃えるならうちが安い。だが、それぞれの店に特化しているものはあってうちならワンドになる。ので、やはりワンドに金をかけて欲しいんだけどな」


 ダンテさんは立てかけられているうちの一本を手にとってあたしの方に見せるようにそういった。

 宝石のアピールは魔石のアピールでもあったのね。


「ただ、まあ見ての通り魔石だの宝石を使うからどれだけ安くしようとしても、いい感じの値段になっちまうから予算を聞いたわけだ」

「まあそうなるでしょうね。ローブとか防具とか服装とかも魔法使いにあったものがあるのよ……んですよね」


 一応、こういう場所とかではかしこまっていたのに相手の雰囲気で思わず砕けた口調がでてしまいそうになる。


「お嬢さん、俺は気楽に話してくれてもいいぜ。まあそいつは置いといてまあそうなるな。棚の方になかったか?」

「えっと」

「あぁ……駄目だな。直したつもりなのに癖でいつものたたみ方になっちまってる、あれじゃ布にしか見えねえよな。棚に並べてあるあれ大人の腰程度の長さのローブなんだよ」


 やっちまったと言わんばかりに後頭部をてでかきながら、棚の布を一つ広げる。

 広げられたそれはたしかに大人の人間男性の腰程度の長さになるローブだった。あたしが着たら腰より少し下くらいになるかもしれない。


「まあローブは魔法使いにおいて、体内の魔力コントロールを手助けしてくれる効果を持っている。だから着るだけ得だし、苦手な魔法を練習して精度を上げたいならいいローブ職人に出会うことをおすすめするってなるな」

「ローブにはそういう効果があったのね」

「スタッフや魔石にワンドは魔力増強の補助効果が多いな。それ故に魔法使いの基本装備になっている」

「わかりやすくて助かるわね」

「仮にも教官してるからな。お嬢ちゃんは魔法の知識自体はそこそこあるが、装備とかに疎いってだけみたいだし俺からの魔法の伝授はいらないだろう」

「見てわかるの?」

「まあな。雰囲気とかもだが、そもそも魔力コントロールとか増強って言葉をすぐに受け入れてる時点で、知識はあるといえる」

「そうなのね……もしも新しい魔法とか覚えたら聞きに来たりしてもいいかしら?」

「お嬢さんみたいな人なら大歓迎だ。それで、今日なにか買っていくかい?」

「そうね……」


 あたしは少し悩む。仮に揃えるとしてどんな装備を揃えればいいのか。

 とりあえずあたしは知識にある魔法は練習不足で威力の加減がドヘタだ。そうなると積極的に使えるのは土と火の魔法になるし、それに特化したものがいいかもしれない。


「土属性と火属性に相性のいい装備は揃えられるかしら?」

「そうだな。ローブならこいつでいいと思うが、ワンドはどうしても複数の属性に対応したものが値が張るってところだ」

「土と火のものはまずあるのかしら?」

「一応まああるぞ」


 そういってダンテは少し暗い赤の魔石のついたワンドを持ってくる。


「火に寄ってはいるが土の魔法も強化してくれるのはこいつくらいだな。ただ、旦那から紹介だったりべっぴんさんとはいえ、そこそこの値は払ってもらわないと商売にならねえから……こんくらいになるな」


 ダンテがそう言って示した値は正直言えばあたしなら軽く払える額だった。ただ、雰囲気から察するにそこそこの冒険者とかでない限り軽く払う収入にはならない感じがする。

 ただ、命には代えられないからしょうが無い。積極的に戦わないとはいえ土魔法は防御にも使えるから買うことにしよう。


「それじゃあ、今紹介してくれたの全部頂戴」


 あたしは持ってる額から言われてた額をそのままだした。


「おっと……嬢ちゃんもしかして凄腕か?」

「ご想像におまかせするわ」

「おっとこいつは……じゃあそうさせてもらうぜ。額は足りてるな。また来てくれな」

「えぇ、今日はありがとう」


 あたしは買ったローブは身につけてワンドは杖部分が伸縮できるみたいだから小さくしてしまっておく。

 空を見ると徐々に日が落ち始めている。明日から場合によっては薬屋の依頼を開始しなければならない可能性も考えたら余裕を持って家に帰って休んだほうがよさそう。

 あたしはそう考えて、街を後にして森へ向かって小走りし始めた。


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