魔族の現状
「はじめまして。サラン・シグニアだ」
「はじめまして。私はアリア・ミリアーナです」
ひとまず第一段階はお互い問題なく握手をかわすことができた。
椅子に座ってお茶を出しつつ後は2人に任せよう。あたしも同席して話は聞いているけどね。
「一応、魔族の方とは話したことあるけれど、ここまで人に近い見た目の方は初めてですよ」
「ワタシはここにいる2人を除いたら初めて人族と話す。そもそも、魔族の中でも孤立気味の種族でね」
「伝統とかそういうことですか?」
「まあそんなところかな。魔族とひとくくりにしてしまうのもあれだけれど、好戦的な人たちが多いのは事実だ」
「一応話は軽く聞いてるんですけど、一体何が……?」
「何か……そうだな」
自分の中で改めて整理をつけているのかシグニアさんは腕を組んで少し唸った後に改めてお茶を一口して話だした。
「魔族は今いくつかのグループに分かれていると言える状態なのは知っているか?」
「たしか前魔王の意思を継ぐという人族対抗派に共存派。そして、どれにも属さない人たちと言った所?」
「まあ、実を言うとさらに魔族の中でも劣等種族と呼ばれる奴らを潰そうとする更なる過激派が少数いると言ったところだ。さすがに少数で現状は大きな動きもないし、見張りをつけられているようなものだが」
前に少しだけ聞いた気がするけど、詳しい話になると更に殺伐としてるみたい。魔族は自分たちですら潰し合っているのね。まあそこは人族も同じかもしれないけど。
「まあ、ワタシはその中で言えばどこにも属していなかった。ワタシはというよりワタシの種族だな」
「まあ、希少種族であるということは知っているし、人族に近い種族ですもんね」
「そういうことだ。まあ、そんなときにワタシの村でも若いのと年寄りたちが別れ始めてな」
「は、はあ……」
流石にアリアさんもそこには戸惑った。思った以上に身内感のある状況の話になってきたからだろう。
「若い衆は共存。言ってしまえばいい加減伝統だ種族だという考えを緩めて外に出るべきだと。逆に年寄り達は伝統を崩すわけにも行かないし外に出れば何をされるかワカッタもんじゃないと考えていてな」
「言い方に若干棘がありますが、その感じだとシグニアさんは若い衆の考えで?」
「まあどちらかといえばな。だが、外とどう関わっていけば良いかわからないのもまた事実だ。その時に、若いのの1人が影で外とつながりを持っていたらしく。それが、魔族主義の陣営のものだったんだ」
「もしかして、それで……?」
「ワタシとしては共存は共存でも人族との事も考えてと思っていた。だが、やってきた魔族の奴らは碌でもないことをし始めてな。その中でワタシはなにやら狙われてしまったというわけだ」
「そういうことでしたか。でも、そうなると人族と魔族の共存の足がかりというわけにはいきそうにない……というのが騎士としての本音ですね」
「力になれずにすまない」
「でもまあそれとは別に、個人としてはその問題は少し解決したいところもありますけどね」
アリアさんはそう言うと何故かあたしのほうにアイコンタクトしてきた。問題はちゃんとそれを読み取れそうにないことだ。
「まあ……そうね。このままじゃどちらにせよ帰る場所もないでしょうし」
「ですです」
どうやらこれであっていたらしい。
でもだからといってこの人は何する気だろう。




