抜けた聖剣
少しして視界が戻ると、何処かしらない場所というわけでもなく薄暗い洞窟の中心に冒険者2人がいた。しかし、前と変わっていることが一つだけある。
洞窟の中心に謎の台座とそこに真っ直ぐに刺さっている剣が現れていた。
「おそらくこいつが例の剣で間違いないはずだ。柄の彫り込みなども伝説と一致する」
「それじゃあ、ひとまず……小さな可能性にかけてボクが挑戦しよう」
レオンさんはそう言って柄を握りしめて勢い良く抜こうとする。だが、剣はびくともしない。
「ならば私が……駄目だな」
リオさんも柄を握って力を入れてみているが、抜ける気配は全く無い。
「おーい、カレンも試してみろよ!」
「私はいい……それより、見つけたならいじらずに帰って報告するべきだ」
ローブの人は声からして女性らしい。
「えっと……これどういうことなんですか?」
恐る恐るだが一番近くにいる彼女に聞いてみる。
「いえ、お気になさらず。ですが、ここのことはしばらくは何もなかったということで通していただけると幸いです」
「は、はあ……」
よくわからないけどあんまり首を突っ込んではいけないということだろう。
「ジーグくんも試しにやってみたまえー!」
「あ、こら! はあ……すいません」
「い、いえ、別にいいですよ」
「多分一度やっていただければ気が済むとおもいますので、危険はないと思いますのでどうか」
彼女もどこか諦めた様子で二人の元へと移動する。俺も一緒に呼ばれたので移動して剣を目の前にした。
よく見ると素人の俺でもわかるほど良い剣だ。聖剣とか言っていたしすごいものなんだろうけど、なんでうちの村の近くの洞窟にこんなものがあったんだ。
しかも、変な仕掛けか魔法を使わないとでてこない形にまでして。
「私にも無理だ」
「じゃあ、最後にジーグくんも試してみよう」
「まあ、都合よく抜けるなんてことがあれば、ボク達はとんでもない豪運の持ち主になってしまうと思うけどな」
「よくわかんないけど、この剣を抜けば良いんですか?」
「柄を握って上に引っ張ってみてくれ」
言われたままに剣の柄をつかむ。その瞬間、剣から何かが体の中に入ってくるような感覚に襲われる。
「どうかしたか?」
「い、いえ」
思わず柄を握ったまま止まってしまった。改めて強く握って上に引くと――剣は簡単に抜けた。
「うん? 別に固定されてないじゃないですか」
「な……」「え……」「まさか……」
三人は俺の手に握られた剣を見ながら口を開けて固まってしまう。そして数秒後。
「「「えええええ!?」」」
驚きの声が洞窟内を埋め尽くすほどに反響した。
この数日後、レオンさん達に連れられてある大国へと行き俺が勇者であることを告げられる。そして、長い旅と激しい戦いの日々が始まることになった。
次回からアンジュに戻ります。




