何もない洞窟
あたしがアンジュ・シエーラになる前世の俺であるジーグ・エルメラだったときの話。
まだ年齢も成人には程遠く村で畑仕事を手伝って過ごしたいたある日のことだった。
突然村長に呼ばれて家に向かうと見覚えのない冒険者と思わしき三人。
「俺が案内?」
「そう。この人達が何かを探しているらしくてのう」
「そんなこといっても……あんな森の中のどこに案内しろっていうんですか」
俺が覚えている限り近くの森なんて、ただただ広いだけの場所だと記憶してる。
「ほら、森のおーくにある洞窟があるだろう」
「あー……でも、あそここそ何もなくないですか? 鉱石1つ存在しませんよ」
「わしもよくはわからんよ。まあ、冒険者さんたちが知りたいらしい。もしもの時は守ってくれるとも言ってるからお願いできんか?」
村長の頼みだと断りにくいな。
「まあいいですけど」
「よかった。じゃあ、わしはこのへんで仕事に戻ります。また何かあれば」
「ありがとうございます」
リーダーと思わしき金髪の男が村長にお礼を言ったあとに俺の方へと向き直ってじっと見てくる。
「はじめまして。今回は突然すまない。ボクはレオンという」
「ジーグです。ほんとになにもないんですけどいいんですか?」
「ああ、大丈夫だ。自分の目で確認をしたいんだ」
「まあそういうことならいいですけど。じゃあ、行きましょう」
「どのくらいかかるんだ?」
「迷わなければ往復でも夕方になる前かなる頃には戻ってこれます。森の中は庭みたいなものなんでついてきてくれれば」
「助かる。それなら、すぐに行こう」
日が丁度頭の真上ほどまで高く上がった時間に俺はレオンさん率いる謎の三人を案内することになった。
***
この森は熊とかの動物がでてないなら安全な森になっている。
彼らの目的地である洞窟がある場所には簡単にたどり着いた。緩やかな坂を作ってさながら小さな山ができたとも言えそうな歪な形の中にポッカリとできている洞窟だ。
浅い上に掘ってもただの石しかでないので、村の人がくるのは夏の暑い時期に野菜等が溢れた場合に一時的に中がひんやりしているから置きに来る程度だ。
「ここです」
「ふむ……リオ、どう思う?」
「そう急かすな」
リオと呼ばれたローブを来た頭の良さそうな雰囲気を醸し出す人物は洞窟に入ると壁や床をしゃがみこんだり小さく叩いたりと細かく調べ始めた。
ただ、それで何がわかるかは想像もつかない。
「むっ? レオン!」
「あったか!?」
「ああ! ここだ。やっと見つけたぞ」
レオンさんはそう言うと洞窟の中央にいるリオさんの元へと駆け寄っていく。もう一人いる顔までローブで隠して性別すらわからない人は入口付近でそれを見ていた。
俺もとりあえずその様子を入口の近くから眺めていると、荷物から1つの巻物を出して地面に置きブツブツと言い始める。
遠くて何を言ってるかわからないけど、あれも魔法の何かなのかと思っていた次の瞬間、巻物とともに大きな魔法陣のようなものが地面に浮き出て輝きだした。
そして俺の視界は光に包まれていった。




