自分の前世
あれから4日が過ぎた。
明日はアリアさんが来る日ということもあって掃除をいつもより少し細かめにしたり、快晴なので外で洗濯をほしたりしている。
「シエーラさん、ちょっといいかい?」
「なに?」
洗濯物をシワができないように伸ばしながらほしていると、横で手伝ってくれてるシグニアさんが作業しながら話しかけてくる。
「いや、この前リリアちゃんの部屋で奇妙なものを見てね」
いつの間にかちゃん呼びになってる。重要な事だから街に行かないといけないのはわかってるけど、何があったんだかとてもあたしは気になります。
「何があったの?」
「剣の柄だよ」
「あー……」
そう言えばあの柄リリアちゃんに好きにしていいよって任せてたんだっけ。部屋に残してあったんだ。
「リリアちゃんによれば、よくわからないけど捨ててはいけない気がしてお守り代わりにといっていたが、どうにも本当に小さくだが聖なる力を感じた」
「えっ!?」
あの柄触ったけど、もう勇者の聖剣としての力はないと感じてた。あたしが意識散漫で気づかなかったのか、それとも何かをきっかけに力が戻ってきたのか。
でも、もうあれの刃をわざわざ探し出して使うような事態には巻き込まれたくないな。
「聞いたらシエーラさんの物らしいじゃないか。あなたは一体何者なのか少し気になってね」
「何者って言われてもね……普通に森のなかに住んでいる美少女よ」
ごまかすようにポーズつきで言ってみた。
「まあたしかにシエーラさんは美人だが」
「ちょっと、ストレートにそういう反応は照れるからやめよう。あたしが悪かったから?」
「素直な感想なのだけどね。それで、実際にはどんな人物なんだい?」
「うぅん……」
話して良いものか悩む。何より話して信じてもらえるか悩んでしまう。
それ以上にリリアちゃんよりも先に他の誰かに元勇者である事実を話して良いのかという悩みが頭のなかにでてきてしまった。
「じゃあ、洗濯終わったら話せそうな事は話すわ……」
うん、いい機会だしリリアちゃんにも聞いてもらえばいいか。それと、少し確認しておきたいこともできたしね。
今日やるつもりだった家事などが全て終わった。あたしはリリアちゃんに柄を居間に持ってきてもらって改めて握ってみる。
体が変わってるから感覚は大きく違うけど、昔自分が使っていたものだということだけは頭が理解する。
改めて席に2人と向き合うように座る。
「話を始める前に確認したいんだけど……一番最近の勇者の話ってどんな話?」
「勇者? えっと……たしか長い間世界に様々な災厄を起こしていた魔王を相打ちで倒したっていうのだったわ」
「魔族のほうでは一番最近の魔王がそのように倒されたと聞いたな。しかし、魔王も度が過ぎていて魔族の中でも反乱が何度も起きている状態だったらしく、喜んでいる人たちもいたと聞いたことがある」
状況的にはあたしの話か。その後には勇者は現れてないってことね。
「えっと、それじゃあ何から話そうかしらね……剣について話すなら最初だけ話せばいっか」
「最初ってどういうこと?」
「まあリリアちゃんひとまず話を聞いてみよう」
あとで二人の関係も問い詰めてやろう。一息置いてからあたしは何百年も昔の前世を思い出しながら話始める。勇者として旅を始めたその日のことを。




