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魔女の気まま暮らし~元勇者は不老で最強になってました~  作者: ゆっき
第2章 新たな住民と人族と魔族

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冒険者の噂

 翌日、リリアちゃんに家を任せてあたしは街へと来ている。

 最初に市場によって多くて食べ切れなさそうな野菜類を売ったら、思ったよりお金になったのと喜ばれたところまでは上手くいった。けれどさすがにアリアさんというかお城は忙しそうだ。

 多分、例の魔族側との交渉とか色々とやることが多いんだろう。兵士の人にアリアさんに『また夕方に来るので、可能なら大丈夫な日付や時間を伝言でもいいので教えてもらえると助かります』という感じの伝言を頼んでおいた。

 まあそう言ってしまったからには夕方までは街にいないと、さすがに往復は辛い。

 何をしようかなとあたしは悩んでいた。

 その時だった。後ろから大きな手で控えめに肩を叩かれる。


「どうも」

「あら、えっと……ハンツ? だったかしら」


 振り返るとそこには青鱗のドラゴンマン冒険者がいた。


「はい。ハンツ・ゴニアです。こんなところに立っててどうかしたんで?」

「いえ、ちょっと時間つぶししたいんだけど、何をしようか悩んでいたの」

「時間つぶしですか」

「ちなみにあなたは依頼帰り?」

「まあ、お使い程度の依頼ですが、ちょっとやり終わってギルドまでいくところですね」

「へえ……」


 そういえば、この街の魔族の扱いってそもそもどうなってるのか。

 あたしの知識は残念ながら大昔といえるくらいのものだ。冒険者証もそうだけど、大きく変わってしまっていることも多い。


 冒険者なら結構そういう雰囲気については詳しいかもしれない。それに1つの街の思考に囚われすぎることもない気がする。

 まあ、専属だとかここのギルドでしか依頼を受けてないとかだと別だけど、聞いてみないことには始まらないから考えないことにしよう。


「ねえ、ちょっとこの後、時間あるかしら?」

「オレですか?」

「そうよ。ちょっと聞きたいことがあってね。せっかくここで会ったから」

「ギルドで報告した後なら大丈夫ですが」

「それなら一緒にギルドまでいくから、そこで話しましょう」

「は、はい!」


 ***


 ハンツが依頼を報告した後、ギルドの二階で軽食を取りつつ話せることになった。

 ただ、何故か周りの人もチラチラとこっちを見てくる。この前のギルドでの一件だけで注目されるにはおかしい気がするんだけど、他に何かした覚えがない。


「今更だけど、さっき呼び捨てしちゃったけど大丈夫だったかしら?」

「あ、いえ、むしろさん付けとか苦手なんでそっちのほうが」

「まあ、それであたしが敬語苦手って言っても、あの一件の後じゃ難しいわよね」

「いや、まあそれでいいならそうしますけど」

「じゃあ、普通にタメ口なり普段の口調でいいわ。堅苦しいのとか敬われるのがそんなに得意じゃなくて」


 普通に初対面だから敬語っていうのは気にしないけど、ハンツの場合は冒険者証とリリアちゃんの一件が原因だと思う。

 助けたわけでもないのにそういう関係になるのが苦手というほうが正しいかもしれない。


「えっと、それでそのシエーラさんは何が聞きたいん……だ?」


 若干たどたどしいけどこのままいけば自然になれる気がするから突っ込まないでおこう。


「ここ最近の街であったこととか、冒険者の中で噂になってることってある?」


 まずは話題にそもそもなっているかどうかだ。


「オレが知ってるのだと、近くの街にドラゴンスレイヤーが訪れたとかいう噂が一番大きい。まあ他だと細々してて信憑性も薄い」

「ド、ドラゴンスレイヤー?」

「そう。冒険者の中でもドラゴン種の過多や暴走が原因で討伐依頼がでると現れると言われてるドラゴンの専門家だな。ただ、いかんせんドラゴンがそもそも知能を持っている上位種も多い。それこそオレらみたいなドラゴンマンだって一種のドラゴンというやつもいるからな」


 そう言いながらハンツは自分の顔を親指で指差してる。まあ、たしかに隣の大陸から来たら差別対象か知識がなければ魔族や魔物扱いすらありえるか。


「知能が低いやつとかってこと?」

「後は病気や呪いや原因は様々だけど暴走した場合は、正気に戻すか最悪は討伐って形になってる」

「それで、そのドラゴンスレイヤーがこの近くに現れたと」

「そういうことだ」

「つまり、近くでドラゴンが暴れてるとか?」

「それがよくわからないから噂になってるみたいだな。故郷帰りかそれともドラゴンの依頼の前兆を見つけたか。少なくとも依頼としてドラゴンの依頼は出されてない」

「へぇ~……」


 それはたしかに噂になってもおかしくはないか。


「その他に……魔族の関係で噂になってる事とかない?」

「魔族? 魔族っつうと……そういえば、また隣の国が魔族と喧嘩してるっつう噂なら流れてたな。しばらく行ってないから実情は知らないが」

「魔族と喧嘩……?」

「ああ。まあ元々東大陸の中じゃ度を越えて魔族嫌いだっていう歴史の国だからみんなおかしくは思ってねえんだよ。そんなことも知らないのか?」

「まあ、ちょっと遠くからきたからね。逆に友好な国とかあるの?」

「聞いたことねえな」


 この感じだと、あくまでまだ城に留まって一般には明かしていないか認知度が低い計画って事か。

 そうなると直接的に聞くのはアリアさんに聞いてからのほうがいいか。


「ちょっとした興味なんだけど、もう一個聞いても良い?」

「オレでよければ」

「魔族と手を取り合う時代がくるとしたら、冒険者やあなたはそれを受け入れられる?」

「不思議なこと聞くな。でも、まあ冒険者はわりと適当だから、よっぽど大きな事件を魔族が人族に対して起こさない限りは受け入れるやつは多いと思うぜ? それにオレなんかだと西大陸だと魔族扱いすらされるとか聞いて育ったしな」

「そうなの?」

「オレの婆ちゃんは西大陸出身で、東大陸へと渡ってきたらしい」

「ドラゴンマンの寿命って何年くらいなの?」

「だいたい200から250ってところか。オレはまだ120だしな」

「あ、そっか。そうなのね」


 かなり長生きしてる人だったのね。

 勝手な想像でハンツは長くても50年くらいとか想像してた。だって若々しさを感じるから。


「まあ、いいこと聞けたわ。ありがとう」

「まあこれくらいなら時間あるときなら別に構わねえけど。時間つぶしになったか?」

「そうねー」


 あたしは上半身を捻って窓の外を見る。まだ青空が綺麗に広がっていた。


「待ち合わせまでは、まだ時間がありそう」

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