69話 フューフェとフィーファ
フューフェによって招かれた屋敷は彼女が保有している広大な敷地の隅に建てられた質素な屋敷だった
内装はお世辞にも良いとは言えず、見た目からあまり高給感を感じさせない、
生活に最低限な物のみが置かれている様なイメージを持たされるモノだった。
「なんとも飾り気が無いな、アンタはそれなりの立場にあるんだろ?」
「私、あまり形に囚われる様な人間にはなりたくありませんの、人間が生きていくのに必要な物のみを取捨選択して生きていけるなら無駄な飾り物などそれこそ無駄だとは思いません?」
「意外だな、アンタみたいなタイプは見た目にも気を使いそうなもんだけどな?」
「見た目を飾るのは必要だと思いますわ、私も貴族の端くれ、他者になめられるような行いは悪だと存じておりますの」
「なるほど…アンタの人となりが見えて来たよ、」
「あら!それは良いですわね、私もアルフィダ様の事もっと知りたいですわね〜」
「しかし、なんというか、妙な気分だな、あの姫さんと瓜二つなのに姫さんとは似ても似つかない性格してるよ、アンタ、」
「それは当然ですわ、私とあの娘、同じ人間の腹から生まれた姉妹でも物心が付くころには別の環境で生活する事を余儀なくされました、アルフィダ様はこう言うお話はご存知ではありませんか?全く同じ人物でも環境によって人格も正確も変わる、もうそれは全くの別人と変わらない、というお話を…、」
「極端な例だが分からなくもない話だ、俺の周りに見た目そっくりさんの奴なんていないが確かに人の本質は環境で変わるのかもしれないな、」
「ふふ、要はそういう事です、見た目が似ていてもあの娘と私は別の人、他人なんですよ…、あっ!あそこが私の自室です、皆様どうぞ」
フューフェがアルフィダやレイラを伴い自室に招こうとしたとき彼女の側でずっと黙って付いてきていた護衛騎士が声を挟んだ
「お嬢様、くれぐれも…」
「わかってますわ、貴方は席を外しなさい、」
「しかし…」
「聞こえなったの?外しなさいと言ったのよ?」
「……、申し訳ありませんでした、」
護衛兵は渋々といった形で彼女の言葉に従ったが最後にアルフィダ達をチラッとだけ見たあとはそそくさと出ていった、
何はともあれこれで落ち着いて話が出きる、
彼女にとってもこの時間は楽しみにしていた事柄の一つであり、それは彼女の態度からも容易に想像できた、
自身のベットに腰掛けた彼女はニコニコと笑顔を浮かべながらそれではお話の続きをしましょうと切り出す
「先ずは皆様私に聞きたい事がお有りでしょうし、なんなりとどうぞ♪」
「じゃ、お言葉に甘えて単刀直入に聞くがアンタの目的はなんだ?」
「先程も言いましたがあの娘、フィーファに対する嫌がらせですわよ?」
「いや…、抽象的過ぎるだろ?それだけが目的でこんな大掛かりな事、普通はしないもんだぜ?」
「私にとってはその価値があるからこそ、してますのよ?」
「そうかい、まず前提として、レイラ達をあの盗賊達に攫わせたのはアンタで間違いないのか?」
「えぇ、私の独断ですわよ?」
「……、独断と来たか……、」
「何故貴女は私達を攫うなんて、リスクのある行動にでたのですか、貴女には何もメリットもないじゃないですか!」
今まで黙って事の成り行きを見守っていたレコがフューフェに問いかける、
彼女からしてみればフューフェの行動は何一つとして理解出来ないものだ、
そんな理解出来ない行動理念に振り回されたくはない、
それが彼女の願いだった
「マグラーナとアングリッタにはなんらかの繋がりがあると言うのは存じています、それを考慮に入れても私やレイラを拐う意味が分からない!私達にそこまでの価値なんてない……貴女に拐われる価値なんて…私には…」
「価値はありますよ、お二人共とても素敵な方々ですもの、是非お友達になりたいですわ」
「え……」
「まず誤解を解いておかないといけませんね、
国は関係ありませんわ、全て私の独断ですからね、
最も国同士の諍いごとに発展しない範囲で行動してはいるつもりですけどもね、私としてはあの娘に嫌がらせが出来るなら何だっていいのですから、」
「何故貴方はそこまでしてフィーファ様に拘るのですか?姉妹とはいえ、他人と言い切ってる相手に…」
「あの娘が何者なのか、知ってからでもそんな事を言っていられるのかしら…ふふ、楽しみですね、」
クスクスと微笑むフューフェ、
しかしその顔は笑っていない、心底から何かを軽蔑する者に見られる目だ、
「あの娘の地位も立場も全て私が手にするハズの物だった、姉である私こそ、正しい継承者であるべき、そう思いません?あの娘はそんな立場すら私から奪ったのですよ?祖父レスティーナ王からの寵愛も、あの秀でた才能も…全て本来私にもたらされるべきはずのものだった、
でも結局私には何も残らなかった、いいえ、この空っぽの私という人間だけが残ったのです、」
「フィーファ様を侮辱するのはやめていただきたいのですが……、」
「ふふ、あの娘ったら随分とたらしこんだものですわねぇ〜、良いお友達が沢山いて、羨ましい限りですわね、でもね、そんな価値はあの娘にはないのですよ?
貴方方も知ってる事かと存じますが、私達姉妹は望まれて生まれた命ではない、あの忌まわしい男の欲望、性欲の捌け口の結果生まれた、汚らしい、おぞましい行為の結果の命だった、それでも、生まれた順番で言えば私が先、お母様もお祖母様もいないなら血縁を1に考えるお祖父様の指針から私がレスティーナの正当な後継者になるはずだった、それをあの娘は私から奪った、だからあの娘が大事にしている物の全て、そう、全てをあの娘から奪う、それが私の目的、私の生き甲斐!!」
「そんな事の為に……?…貴方は……」
「そんな事…?
レイラさん今貴方…
そんな事とおっしゃいましたか?………、
ふふふ、………うふふふふ……、
………、そんな事ではない!!!
私の…これは私の全てなんですのよ…?
あの娘に嫌がらせをする、それが私の全てなんですのよ!!」
「何がアンタをそうさせたんだ?姫さんにそこまでの憎悪を向ける程の切っ掛けは何なんだよ?」
「ディオールさん、よく聞いてくれましたわ、是非!聞いてくださいな!
私は許せないのです、私がこんなに辛い思いをしているのに全て忘れて今をのうのうと生きるあの娘が!
忘れたくとも忘れられない呪いを持つ私はいつもあの日を回想してばかりなのに!あの娘はそんな事知りもせず!私の事も忘れて今を謳歌している、そんな権利あの娘には無いのに!」
「貴方こそ、なんの権利があってフィーファ様をそこまで侮辱する!彼女は彼女だ!貴方に侮辱されるいわれなんてない!」
「ふふふふふふ、本当におめでたい人達ですわ、
いいでしょう、なら教えてあげます、あの娘がどれだけおぞましい存在か、」
フューフェは今までは自身のベットに座りながら口を開いていたがここからが大事な所だと言わんばかりに立ち上がり両手で身振り手振りを交え語りだす、
「あの娘はね、一度死んでいるのですよ!
語弊なくそのままの意味、命を落としていると言う事ですわ、しかもあの娘からその命を奪ったのは私とあの娘の母親、エルミナ・レスティーナ、あの娘はね……あの娘は!!実の母親から命を奪われた忌み子なのですよ!その時のお母様の憎悪に濡れた顔は傑作だったわ!何度も血に濡れたナイフを我が子に振り下ろして、何度も何度も何度も……ふふふふふふふふふふふふ…………、」
狂気に濡れた笑顔で語るフューフェ、
しかしこの話には決定的な矛盾がある、
そしてそれに気付かないアルフィダ達でもない、
「茶番はそこまでにしろ、フューフェ・ウラニティ、あんたが何故それを知ってる、当時のあんたが物心もつかない幼い赤子ならそんなの解るはずもない、誰の入れ知恵か知らんが……」
「くふふふふふふ………何故知らないと言う前提で話されるのです?何故覚えていないと言う前提で話されるのです?覚えていますよ?全て、一言一句全て隈なく」
「バカバカしい、そんな訳無いだろうが…幼い赤子の身でそんな事………っ!?……そんな……アンタ…まさか…」
「アルフィダさん……知ってますわよ貴方の事も…私は一度見聞きしたことは絶対に忘れません、文字通り忘れられないのですよ、私はね?」
突然アルフィダの様子がおかしくなる、明らかに動揺が見て取れる。
これまでアルフィダが動揺をあらわにしたことなど無かった、彼はいつも飄々と相手より優位に立てる位置取りを心がけていた、
そんな彼がああも取り乱しているのだからレイラが心配するのも仕方のない事だろう。
「大丈夫ですか…?アルフィダ?」
「……、あぁ…大丈夫だ、、それよりも…
なぁ、フューフェ・ウラニティ…アンタ…もしかしてバグ持ちなのか?」
「バグ持ち!?」
バグ持ちとはこの世界の中でも極めて少数の人間に発現する得意能力を持った者達につけられる総称だ。
個人が世界に干渉する様な、この世の理に反するレベルの奇跡は起こせないが、能力を発現する自分自身はその限りではなく、非常識な奇跡を行使出来るという。
かつてマグラーナを支配した疑勇者も人の心を操る奇跡をもっ特異能力者だった。
世界にとっての不純物、それ故に彼等特異能力者はバグ持ちと称されている。
「どうなんだ…?」
「ふふふ、何故そう思われるので?バグ持ちなんて只の噂…民間伝承の域を出ない存在じゃありませんの?」
「そうでも無いさ…少なくとも俺個人はバグ持ちを2人知ってる、」
「あら?世界は広いのですね?」
他者の心を自在に操作し、操る能力を持っていたマグラーナの元勇者アノス、彼もまた後発的なバグ発現者だった、なら彼女もその力を有していても何も不思議ではないだろう。
「お察しの通り私はバグ発現者ですわ、生粋のね、」
「生粋……?」
「多くのバグ持ちは後発的発現が多いと聞きますが私は生まれ持ったバグ発現者ですの、一度見た事、聞いた事、触れた感覚、痛覚味覚触覚何もかも体験すれば忘れる事は無い、それが私のバグ。」
「完全記憶能力と言った所か」
「えぇ、そういう認識で間違い無いかと?
私はね、この世界に生を受けたその時から全てを忘れる事なく記憶しています、母の腹の中の温もり、安らぎ、へその緒を切られた時の痛み、痛くて痛くて、泣きわめきましたわ、私にとっての思い出です。」
「斬新な思い出話だ……」
「ご存知の通り私の母、エルミナと父は愛し合ってなどいませんわ、父は有り体に言ってクズです、母を性欲の捌け口としか見なしておらず暇が有れば肉欲に溺れていました、そうした行為の結果、生まれたのが私です、当然父は私にも愛情など向けてくれる訳も無く、路頭に這う虫を見るような視線を向けて来ていたのを今でも忘れる事は出来ません。父は良くも悪くも自身の欲望に忠実な、よく言えば人間味のある、悪く言えば何処にでもいる凡人でしたわね…」
髪を弄りながらつらつらとフューフェは自分の両親の事を話す、そこにはなんの感慨も興味もない様に聞こえる、それがレイラやレコには不気味に見えた。
「お母様、エルミナには懇意を寄せていた殿方がいたらしいです、バーミントと呼んでいましたね、
お母様は苦しい時、悲しい時、逃げ出したい時、必ず彼の名前を呼んでいましたわ、父との行為の最中でもね、そして自身が味わった苦痛、絶望、悲哀、それら全てを自分の子に…私達に分け与えようとした、母は魔法使いとしても一流でした、たがら私達に分け与えた痛み、苦しみを魔法ど治療してまた痛みを与える…ふふ、今でもとてもおぞましく思う…思い出の数数ですわね、コレは……」
エルミナはアングリッタ元王子から受けた仕打ち、辱め、虐待、それら全てをフューフェやフィーファにする事で自分を保っていた。
産まれて間もない赤子に虐待を加えていたのだ
無論大人の腕力で加えられる暴力が産まれて間もない赤子に耐えられる訳がない。
だから死にそうになる度エルミナは自分の子供達に治癒の魔法をかけて、蘇生させ、何度も何度も繰り返した。
物心も付かない赤子相手に何度も何度も。
言葉と言う概念すらもたなかった赤子、当時のフューフェには何も分からない、目の前のソレから加えられる行為の良し悪しも、ただ言葉がなくとも解る事がある。
生物皆が全て持つ当たり前の痛覚、
生き物は生きている限り性に執着する、
死を恐れる、だから逃げる、自分の生を脅かすソレから、それをエルミナは良しとしない。
赤子が生きている限り壊して治してを繰り返し、壊れた自分を保っているのだ。
「サヴァン症候群と言う言葉をご存知ですが?
幼少期に辛い体験をした者に発現する精神疾患だそうです、私の能力がそうした精神病に由来するものだと診断されているらしいのですが、クスクス、おかしいですよね?それなら後天的な疾患になるはずです、私はね、全部覚えているのですよ、生まれたその時から全てを……ね」
レイラからすればずっと明かされる事の無かったフィーファの出生にまつわる話をこんな所で、こんな形で知る事になるとは予想すらしていなかった。
それはフィーファ自身が知ろうとしても決して知る事の出来ない話だ、彼女自身が知らない彼女の過去、この事実、その真実を知ってしまった罪悪感にも似た感情がレイラの中にはあった。
「フィーファが産まれた後エルミナの怒りの矛先はフィーファに向けられましたわ、さしずめ私は飽きられた遊具、妹を哀れに思っても代わってあげよう、助けてあげよう、など微塵も思いませんもの、だって私は言葉も分からない赤子、そんな立派な心掛けなんて持てよう筈もありませんもの…」
アルフィダもレイラも、その後ろにいるレコもディオールもアランも誰一人彼女を糾弾したり攻めようとは思はない、そんな事は意味を成さないと誰もが理解しているのだから…
彼女の話は過去、回想に過ぎない、
過去に実際にあった事実に過ぎないのだ
「母の虐待は日を増すごとにその苛烈さをましていきましたわ、あの娘は苛烈な母の暴力に等々壊れた、母が魔法で治そうとしても治らない、単刀直入に言いますとね、死んでいたのです」
「フィーファ様が……死んでいた…?」
「えぇ、言っておきますけど、例え話の類ではありません事よ?腹を裂かれ中身が露出し垂れ下がった赤子の死骸を見て生きてる等とはたして思いますか?」
「そ…、そんな…、」
「まっ、待ってください…、なら今のフィーファ様は何なんですか…?そんな、そんなの……もう……」
言い淀みながらもレコがフューフェに問いただす
もしフューフェの話が嘘偽りない事実ならフィーファは人の粋から外れた…それこそ化け物となってしまう、
「お母様が消息不明になってからしばらくしてフィーファは息を吹き返しましたわ、バラバラに解体された体も時間が巻き戻る様に元通りになって…彼女は生き返った、もとから死んだなんて事実なんて何処にも無かったかの様にね……この事を知っているのは私だけ、いえ、実を言うとお祖父様やその他の家臣達にも話しましたの、でも誰もが信じて下さりません、子供の話す荒唐無稽な世迷言、母が私達に虐待していた事も、妹が生き返った事も誰も信じはしなかった、貴方方も信じては下さらないかも知れませんが……これが私の知る事実ですのよ?」
レイラはこの話を無下には出来なかった、見ているからだ、シェインがラミュアの魔法で消し飛び、そして生き返った事を、
フューフェの時間が巻き戻るという表現、
アレはその例えがしっくり来るほどの異常だった
消し飛び、消滅したはずのシェイン、
しかし彼は生き返った、
あの現象に時間が巻き戻ると言う表現はとても一致している、それ故にレイラは戦慄する
「私はね、あの様な化け物に取って代わられるのが心底不愉快なのですよ、私の産まれも決して褒められたモノではない事は理解していますわ、ですが私はレスティーナの正当な血を引いた王族、いかな辱めを受けていようとそれは変わらぬ事実なんですのよ、あの娘は私のたった一人の妹、あの娘が妹のまま証を立てたなら納得も出来た、でもね、あの娘は化け物に取って代わられた、偽物なんですよ、妹の皮を被った何か、アレはそうした類なんですのよ、」
「……なるほど、、つまりアンタは姫さんを今の立場から引き摺り下ろしたいと…そういう訳かい?」
フューフェはフィーファを認めない
自分ではなく妹に立場を奪われた
今の彼女は一介の下級貴族、生まれ持っていたはずの地位は妹の…妹の形をした何かに奪われた
それが我慢ならなかった
フューフェには力がある
生まれ持っていた地位は奪われたが生まれ持った能力
…、完全記憶能力がある、
彼女はこの力で情報を操作した、
情報は力だ、情報が世界を支配している、
そういったって決して言い過ぎ出はないだろう
一介の小娘に出来る事などたかがしれてる
だから時間をかけた
幸い覚えるのは得意だ、
何せ一度見れば忘れないのだから、
最初は小さな事から始めた
下級貴族だが貴族は貴族だ、
その立場を利用し、傭兵や冒険者なんかに情報を流す情報屋を始めた、
小さな情報のやり取りをして少しずつ少しずつ大きな情報のやり取りが出来る様な形を組み上げていった
貴族間の情報も掌握出来る様になった
私の情報は正確だ、何せ忘れる事がない、
紙等に書き留める従来の方法ではなく私自身が情報の塊なのだ、その正確さ、速さ、情報屋を始めた事で私は世界の裏側に干渉出来るだけの立場を手にいれたのだ
無論、列国五大国家に干渉出来るだけの情報操作能力すらも10歳の頃には手にしていた、
だから徐々にあの娘の立場が危ぶまれる様に干渉していったのだ、
マグラーナ国に情報をながし、イノセンㇳ国に情報を流し、違和感を持たれないように、慎重に、
そうしてあのマグラーナ国が列国所属国に諍い事をしかける状況を作り上げたのだ。
あの娘を処分出来る状況が作り上る
マグラーナからレスティーナに人が送られ
レスティーナはマグラーナに水面下で支配されていった
マグラーナなどは無能が王だった事もありやりたい放題だった。
マグラーナの勇者の出現はフューフェに取って朗報だった、いや歓喜するほどの僥倖だった、
頭が良くないのに人を支配する能力を持っている事から同類の種だとはすぐに察する事が出来た
なんて扱い易い人間だろうか。
父に似た種類の俗人、考えが手に取る様にわかる
思った通りの行動を取ってくれる
神に愛されてる、そう真面目に思った程だ。
しかし物事とは得てして思い通りに行かないものだと思い知らされる。
あの化け物は本当の意味で神に愛されてると思ったのだ、
全てがあの化け物に味方する。
人、環境、境遇、状況、時間、全てがあの娘に味方する。
情報をどれだけ操作しても、どれだけいじくり返してもあの娘を殺す事は出来なかった、
マグラーナの陰謀を退け、
イノセントを味方に付け、
沢山の仲間に恵まれ、
祖父とすら和解した、
「ええ、でももういいのですわ、あの娘自身を壊す事が出来ないなら、あの娘の大事にしている存在の全てを私が奪って差し上げようと思いましたの…」
「成る程…それで私やレコさんを……」
「かっ…買い被りです…、私にそんな価値なんて…、」
「いいえ…レコさん…私からすれば貴方はなかなか素敵な人ですことよ?あれほどあの娘を憎んでいた貴方が、今ではあの娘に忠誠すら誓っている…その心変わりの理由、是非とも拝聴させていただきたいモノですわ」
「聞かせて欲しいもんだな、」
「あら?何かしら?」
「フィーファ姫の心を折りたいならもっと手っ取り早い人材がいるだろう?何故そいつに手を出さない?」
「………、」
ディオールやアランはアルフィダが誰の事を指しているのかいまいち判然とはしていない、しかしレイラもレコにはすぐわかった、推測の余地などないだろう、フィーファにとってあの少年がどれだけ大きな心の支えとなっているかなどもはや論じる意味すらないほど明白だ。
しかし……、
「それは誰ですの……?」
「…………、え?」
疑問の声を出したのはアルフィダだ。
無論レイラやレコも驚愕に当てられた顔をしている
それはそうだ、これだけ情報に精通してる彼女がこんな誰でも知ってるような事を知らないなんて……
「そりゃ無いだろ……」
と言いたくもなるだろう
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